A.ジュタヌガン 悔し涙の向こうに待つ世界
「もっと勝ちたい!」17歳A.ジュタナガンがプロ初勝利
「ハッサンIIトロフィー」の舞台、ゴルフ・ドゥ・パレロワイヤルに隣接するコース、ゴルフ・ドゥ・オーシャンで開催された欧州女子ツアー「ラーラ・メリヤムカップ」で、同ツアーを主戦場とするタイのアリヤ・ジュタナガンがプロ初勝利を飾った。
17歳、バンコク出身のジュタナガン。今年の米国女子ツアー第2戦「ホンダ LPGAタイランド」最終日、2打のリードをつけて単独首位で最終ホールを迎えながら、トリプルボギーを叩いて初のタイトルを逃したのは記憶に新しい。続くシンガポールで開催された「HSBC女子チャンピオン」では単独4位でフィニッシュするなど、世界ランク2位のチェ・ナヨン(韓国)も称賛するほどの若手実力選手だ。
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予選ラウンド2日間でいずれも60台をマークし首位に立ったジュタナガンだったが、3日目を終え、チャーリー・ハル(イングランド)に1打の逆転を許してしまう。迎えた最終日、序盤から3連続バーディを奪う猛攻で形勢逆転。前半に2つのボギーで足踏みするハルを横目に首位の座を奪還すると、中盤にもバーディを重ねて後続を引き離した。
終盤にさしかかった15番(パー5)では、ティショットをフェアウェイ左のブッシュに入れてダブルボギーとし、ジュタナガンに迫るベス・アレン(米国)との差は1打に肉薄。「後続に1打差と迫られてドキドキしました。この前のミスを思い出して少し緊張もしましたね」と悪夢が蘇るも、17番では約3メートルのバーディパットをしっかりと沈めてバーディを奪い、結果、後続に3打差をつけ、逃げ切り優勝を飾った。
試合後には「昨日はパッティングの調子が良くなかったのですが、今日のフロントナインでの好調なパットで自信を取り戻せました」と過去を払拭して得た初優勝の喜び以上に、この日のプレーの充実感に浸った。この優勝により、4万8750ユーロ(およそ585万円)を獲得したジュタナガン。インタビューでその使い道を質問されると、「すべてお父さんにプレゼントします。これからも欧州女子ツアーでプレーし続けて、もっと勝ちたいです」と、17歳の少女は無邪気な笑顔を見せていた。(モロッコ・アガディール/糸井順子)