【最終日】25歳のK.ブラッドリーがメジャー初制覇! 池田は45位タイ
2011年 全米プロゴルフ選手権
期間:08/11〜08/14 場所:アトランタ アスレチッククラブ(ジョージア州)
新たなアメリカンスターの誕生 <キーガン・ブラッドリー>
第93回PGAチャンピオンシップ(全米プロ選手権)は72ホール終了時点で通算8アンダーで並んだ2人のアメリカ人選手がプレーオフに突入。昨年下部ツアーから昇格してきた25歳のツアールーキー、キーガン・ブラッドリーが34歳のジェイソン・ダフナーを下して優勝。ブラッドリーは、メジャー競技初挑戦でいきなりメジャー制覇するという偉業を達成した(※注)。
最終日は1打差の3位からプレーを開始したブラッドリーは、フロントナインで3バーディ2ボギー、通算7アンダーでバックナインを迎える。2打差を追いかける立場のブラッドリーは12番551ヤードのパー5でイーグルを奪い一気にトップタイに浮上。ビッグドライブを放ったあと2打目はなんと7番アイアンでピン横80cmに寄せるスーパーショットを見せた。大きなミスを犯してしまったのは15番のパー3。ティショットは右の池を避けて左のラフに打ったが、ここからのアプローチを強く打ってしまい池に入れてしまう。4オン2パットのトリプルボギーで3つスコアを落としてしまったブラッドリーは、この時点でトーナメントリーダーのジェイソン・ダフナー(通算11アンダー)と5打差と大きく離れてしまった。
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5打差で残り3ホールと状況としてはかなり厳しい位置から、気迫のこもったバーディを2つ奪うことに成功する。16番は3.5メートル、17番は約14メートルのフックラインをねじ込んで2つスコアを戻し、通算8アンダーで72ホールのプレーを終了する。一方、5打差のリードで残り4ホールを迎えたダフナーは3連続ボギーとスコアを落とし、ブラッドリーと同じ通算8アンダーでプレーを終えた。
勝負の行方は2000年から設定された上がり3ホール(ストロークプレー)のプレーオフになった。16番で先制バーディを奪ったブラッドリーがその後パー、パーと収めて1アンダー。ダフナーはパー、ボギー、バーディとして1打足りず、2011年度最後の栄冠はブラッドリーに輝いた。
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Q:PGAチャンピオンになって今の気持ちは?
ブラッドリー: 信じられません。 夢のようです。あと5分したら夢から覚めてしまって現実ではない・・・ってことならないか怖いですね。PGAチャンピオンになって誇りに思います。父はPGA(全米プロゴルフ協会)のメンバーなので嬉しいです。
Q:15番でトリプルボギーになってから今はこのワナメーカー(優勝者)トロフィーを手にしています。この間の出来事はどうでしたか?
ブラッドリー: 先週のWGC世界ゴルフ選手権で(最終日)バックナインで大叩きをしてしまいました。優勝のチャンスがありながら崩れてしまいました。その後ボブ・ロテラ(メンタルコーチ)、ジム・マクリーン(スイングコーチ)といろいろ話をしました。またフィル・ミケルソンやカミロ・ビジェガスもアドバイスをくれました。今日はミスを犯したあとカムバックが出来て本当に嬉しいです。
Q:争いの中、感情のコントロールはどうでしたか?
ブラッドリー: 実を言うと、今日は12番のセカンドで良いショットを打つことができましたが、あのショットの時が一番緊張しました。リーダーボードを見ないようにしてプレーをしていたのですが、あのショットを打つときが今日一番緊張しましたね。15番は1打目は良いショットだったんです。ボールはグリーンに落ちてましたが前に跳ねてしまいオーバーでした。2打目、ボールのライは最悪でした。どうやって打てばいいのかわからなかったです。その後16番では今週最高のティショットを打つことが出来ました。残りは153ヤードしかなかったです。17番のパットは一生忘れることはないでしょう。今日は長いパットが良い感じだったのですがど真ん中から入ってくれました。信じられませんでしたよ。
Q:パターについて
ブラッドリー: 初めて中尺パター使用者としてメジャーチャンピオンになれて誇りに思います。このパターを使い出した時には他の人から「メジャーチャンピオンにはそんなパターを使っている人はいないよ」なんて言われて、私はそれだったら「私が中尺を使って初のメジャーチャンピオンになりますよ」なんて冗談を含めて話をしていたのですが、それが実現するとは・・・信じられません。中尺は2年半ほど使用しています。
Q: プレーオフでは自信満々に見えましたが?
ブラッドリー: 今年勝ったバイロンネルソンでの戦いを思い出していました。あのときもプレーオフになるって決まったときから静かな気持ちで、落ち着いてプレーが出来ました。今日もあの16番のティに立ったときは今週で一番静かな気持ちで挑むことができました。
Q:先ほど話していたコーチとフィルからのアドバイスについてもう少し詳しく教えて下さい
ブラッドリー: そんなに特別なことではないんですよ。ただあまり結果を考えすぎないことでしょうか。私にとっては最近新人賞を取りたいという思いが強すぎて焦っていた時がありました。フィルは我慢が必要だと教えてくれました。今週は結果にあんまり反応しないように心掛けました。トリプルボギー時も左右されず反応しないようにしました。ただ17番のパットが入ったときは、だいぶ反応してしまいましたね(笑)。テーマは出来るだけ反応を少なくするということでした。フィルもそうやってプレーしていますよね?
Q:叔母のパットさんやお父さんからの影響について話を聞かせてください
ブラッドリー: 私は子供の頃から叔母の試合を見に行って尊敬していました。彼女のようになりたいという思いが強かったです。叔母は試合会場の集中力が凄くて子供だった私が近くにいても全然気がついてくれないほど競技に集中していました。私はそんな戦う姿がかっこよくみえました。父はずっとゴルフができる環境を与えてくれました。バーモント州で雪が降っていないとき以外はずっとゴルフでした。そのおかげです。
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1986年生まれのブラッドリーは25歳2ヶ月と2日という若さでのメジャー制覇。LPGAツアーでメジャー6勝、殿堂入りしているパット・ブラッドリーの甥にあたるのがこのキーガン・ブラッドリー。今シーズンは5月の「HP バイロンネルソン選手権」で初勝利を飾っていたが、今回のメジャー優勝で世界ランクは108位から29位、FEDEXカップランクは4位、賞金ランクは5位と順位が上がっている。また年間最優秀選手、プレーヤー・オブ・ザ・イヤー候補にも名前が挙がっている。
長身、腕の長さ(リーチ)を生かした抜群の飛距離、弾道の高さに加えて思い切りの良いアグレッシブなプレースタイル。若さ、スマイル、リアクション、そしてなんといっても素直なキャラクター・・・・。新しいアメリカンスターが誕生した。
昨年夏から続いた欧州ツアー勢のメジャーチャンピオンにストップをかけたブラッドリー。昨年2部ツアーから昇格してきた選手からは既に6人のツアー優勝者がでてきていて豊作の年となっている。2011年の4つのメジャー大会はこれで終わってしまったが、再来週からはFEDEXカップのプレーオフがスタート。その後は豪州開催のプレジデンツカップなどもあり、まだまだブラッドリーを含む若手の活躍には期待できそうだ。
(※注)メジャー初挑戦で優勝したのは3人目。過去には1913年フランシス・ウィメット(アマチュア/全米オープン)、2003年ベン・カーティス(全英オープン)が初挑戦でメジャー制覇を成し遂げている。
解説/アンディー和田 (ゴルフチャンネルトーナメント解説者)
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★ラウンド データ
71 - 64 - 69 - 68 = 272(通算8アンダー)
最終日 68(2アンダー)
フロントナイン 34(1アンダー)
バックナイン 34(1アンダー)
・イーグル:1ホール
・バーディ: 5ホール
・パー: 9ホール
・ボギー: 2ホール
・ダブルボギー:0ホール
・トリプルボギー:1ホール
・パー3: 通算2オーバー
・パー4: 通算1アンダー
・パー5: 通算3アンダー
・フェアウエーキープ率: 64.28% (14ホール中 9ホール)
・パーオン率: 77.77%(18ホール中 14ホール)
・合計パット数: 28パット
・バンカーセーブ: 4回中2回1パットセーブ(50%)
・ドライビングディスタンス(計測指定ホール 2番、5番)
2番ホール 313ヤード
5番ホール 282ヤード
2ホール平均 297.5ヤード