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「今はほぼ“野生の勘”」 姉も計り知れない渋野暉璃子のポテンシャル

◇シモーネ アジアパシフィックカップ 最終日(20日)◇ポンドックインダGC(インドネシア)◇6806yd(パー72)

428ydのパー4となる16番、1Wを振り抜いたアマチュア渋野暉璃子(明大)のセカンドはピンまで102ydしか残っていなかった。ホールアウト後、その数字を聞いた姉・日向子は耳を疑った。「私が(残り)144ydだったから、40yd置いていかれてる。意味わかんない」

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最終18番(パー5)も力強いトライを披露した。グリーンを駆け上がったボールが奥のラフまでこぼれたセカンド。暉璃子は「最後に2オンしかけ、みたいな。アプローチは失敗しちゃいましたけど、あれだけで満足です」とうなずくと、姉も「よう打ったわ、あれ」と豪快に笑った。

ピンに向かって下る寄せをミスしてパーでフィニッシュ。何度も目の覚めるようなショットを打った一方、ショートゲームやグリーン上では苦しんだ。初めて出場したプロの試合を通算12オーバー31位で終えた。

「今は“野生の勘”みたいなところでやってる感じもあるじゃん?」。姉の言葉に「ほぼ、そう」と認める。小学生のときに姉の練習についていく形でゴルフを始め、同じスクールのコーチに指導を受けた。ソフトボールで右投げ左打ちの投手としてプレーした部分も重なる。しかし、その後の経歴はまるで異なる。

高校はゴルフ部のない県立高校へ進み、推薦入学した明大で人生初のゴルフ部へ飛び込んだ。それまで部活動にも所属したことがなかったから、“体育会系”の上下関係も初体験だった。大会出場が公欠扱いにならないため、一人暮らしをしながら勉学にも励む日々。世界を舞台に活躍する姉をアウトドライブするパワーを持つが、バンカーショットなど小技はほぼ「自己流」。グリーン上のライン読みにも時間をかけず、構えたときのフィーリングで打つことが多い。

それでも、「大学でゴルフをするとなったときから、もうちょっと先までやってみないと損かなって」。しっかりと自分で決めた道を見据えている。在学中は基本的に学生競技に専念し、その後にプロテストを受験予定。文学部の英米文学科で学び、4年時には卒業論文で忙しくなることも予想され、プロテスト挑戦は卒業後になる可能性もある。

伸びしろしかない妹に誰より期待しているのは姉かもしれない。「スイングは何も言うことがない。あんなにしっかり振れる人、なかなかいないでしょ? 今はトレーニングもしていないし、全部自分で考えてやってる状態。これにプラスアルファでいろんなことを勉強していくと、私より絶対すごいから」と力説する。

貴重な経験は、きっと原石に磨きをかける。「とりあえず日本学生(出場)ですね。去年も今年も行けなかったので。3年で行けるように。まずは学生競技でしっかり」と意気込む妹の背中を姉が優しく押す。「オフは一緒にトレーニング、頑張ろっか?」「うん」。姉妹の絆もインドネシアの地でさらに強くなった。(インドネシア・ジャカルタ/亀山泰宏)

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