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石川遼

単独首位の石川遼、スイング修正を呼び込んだ“影”

石川遼が2年ぶりのツアー勝利、史上最年少の通算10勝目に王手をかけた。静岡県の太平洋クラブ御殿場コースで開催中の国内男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」3日目。8アンダーの2位タイから出ると、後半に巻き返して「69」をマーク。2位の松村道央キム・ドフン(韓国)、ハン・リー(米国)に1打差をつけて単独トップに立った。

序盤からショットが左、左へと乱れ、スコアメークに苦しんだ石川。9番ホールで12メートルのスライスラインを読みきりバーディを決めたが、前半アウトは「36」と伸ばせない。しかし、優勝争いから脱落する可能性すら帯びてきたハーフターン直後、10番プレー中の“一瞬”が再浮上のきっかけを生んだ。

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「10番のティショットで、体が沈んだような気がした。ちょうど構えたときに(自分の)正面にあった影が出ていたんです。(スイング中は)もちろんボールを見ているけれど、無意識に影の動きが目に入った。“沈み込むような”感覚があったのに気づいたんです」

上位でのプレーを続けながらも、初日から「インパクトの時に上体が浮き上がってしまう。スムーズに回転ができない」と悩みを口にしていた。しかし、この秋空からの陽光によって、芝の上に映し出されたスイングの残像が、問題点を浮き彫りにしてくれた。

「自分では意識しているつもりでも、ボールに近づいていた。(バックスイングの)トップから切り返すときに、足から体が動く中で、頭が沈んでボールに近づくのは理想的。けれど、トップが完了する前に(上体が)沈んでしまう動作があると、切り返しでさらに沈んで、(インパクトの時には上体が)起き上がるしかなくなってしまう」。上下動の過度な動きが回転軸を不安定にし、ドライバーからショートアイアンに至るまでショットの乱れを呼んでいた。

この直後、10番のセカンドショットはピンそば3メートルにつける。痛い3パットボギーを叩いてしまうが、感覚は体によみがえるばかりだった。11番(パー5)でのバーディに続き、12番では第2打をピンそば15センチにつけ連続バーディを奪った。「『あ、良くなってきた』と確信できた」。さらに終盤3ホールで2バーディを加えてホールアウト。「後半、特にショットの状態が良くなった」とスコア以上の充実感をうかがわせた。

1打差から後続に背中を追われる最終日は、待ち焦がれた2年ぶりの1勝、そして10月の「キヤノンオープン」で、池田勇太が26歳9か月16日で達成した史上最年少10勝記録(1973年のツアー制施行後)の更新を狙うことになる。08年のプロ転向後、一度もトップ10を外したことのない抜群の相性を持つコース。富士山の脇から降り注ぐ西日は明日、石川を再び輝かせるだろうか。(静岡県御殿場市/桂川洋一)

2012年 三井住友VISA太平洋マスターズ



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