2021/12/07進藤大典ヤーデージブック

【進藤コラム番外編】ジュニア大会を初開催 ステーブルフォード方式で学ぶ、攻める気持ちとゴルフの楽しさ

「ジュニアトーナメントを開催する」――。いま思えば荒唐無稽ではありましたが、それが今年の僕の目標でした。日本、米国でキャディとしてプロツアーに参加した経験をもとに、いずれ世界へとつながる理念を掲げる大会を開きたい。日本の男女のゴルファーが素晴らしい活躍を見せてくれた2021年は、個人的にはそんなプランを具体化させるのに奔走した一年でもあったのです。 そして、去る11月27日。多くの方々の協力のおかけで、中高生男女を対象にした大会「ステーブルフォード ジュニアチャレンジ トーナメント2021」を実施することができました。会場の千葉県・成田ヒルズカントリークラブは当日天候にも恵まれ、大会を終えられ...
2021/12/02米国男子

R&AとUSGAが“グリーン読み”の制限強化へ 水準器も使用禁止に

ヤーデージブックのみを使うことが許可され、その他のいかなる地図や資料も使えない。ヤーデージブックに手書きのメモを書き込むことは可能だが、その情報は、選手もしくはキャディ自身の経験やグリーン上で球を転がした観察に…
2021/11/24進藤大典ヤーデージブック

【進藤大典キャディ解説】松山英樹の快挙に感涙した2021年 “あの選手”の完全復活にも期待の22年

テーラー・ゴーチの初優勝で幕を閉じた「ザ・RSMクラシック」。この大会で2021年のPGAツアートーナメントは全日程を消化しました。 12月はタイガー・ウッズが主催する「ヒーローワールドチャレンジ」、ダブルス戦の「QBEシュートアウト」といったツアー外競技を残すのみ。2021-22年シーズンは来年1月にハワイで開催される「セントリートーナメントofチャンピオンズ」から再開となります。 振り返ってみれば、これまでにないほど濃密な一年でした。松山英樹選手の「マスターズ」初制覇、日本開催「ZOZOチャンピオンシップ」凱旋Vの感動と興奮が、まるで昨日のことのようによみがえります。 ジョーダン・スピース...
2021/11/16進藤大典ヤーデージブック

「オレが優勝させてやる」 谷原秀人とつかんだ初Vの記憶

これまでPGAツアーから話題をピックアップしてきた本コーナーですが、今回は特別編です。「三井住友VISA太平洋マスターズ」で谷原秀人選手が5年ぶりの優勝。僕にとっては、プロキャディ人生で初めて優勝をサポートさせてもらった大恩人。黙っていられず(笑)、スペシャル版として筆を執ることになりました。 「オレがお前を優勝させてやる」。専属キャディとしてともに戦うことになった2006年、最初にそう言われたことをはっきりと覚えています。 そして、6月の「JCBクラシック仙台」で優勝。すでに夢見心地だった僕は、表彰式でスピーチする谷原選手に突然名前を呼ばれて驚きました。「きょう勝てたのは君のおかげです、進藤...
2021/11/02進藤大典ヤーデージブック

公傷クリアへ残り2戦 うれしいダニー・リーの復活

ルーカス・ハーバート(オーストラリア)の初優勝で幕を閉じた「バミューダ選手権」。僕は久しぶりに上位で戦うダニー・リー(ニュージーランド)を見てうれしくなりました。 最終日の後半11番までは首位だっただけに、本人の中では2015年「ザ・グリーンブライアークラシック」以来のツアー2勝目に届かなかった悔しさも大きいかもしれません。 しかし、昨季は出場24試合でトップ10入りゼロ。予選落ちが12試合を数え、棄権も4試合ありました。肩のケガで「マイナー・メディカルエクステンション(メジャー・メディカルエクステンションより出場優先順位の低い公傷制度)」の適用を受け、まさに瀬戸際にいるのです。 雨と風が吹き...
2021/10/26進藤大典ヤーデージブック

コロナ禍を吹き飛ばす“鳥肌イーグル” 松山英樹は役者が違った

まさに役者が違いました。松山英樹選手が「ZOZOチャンピオンシップ」でPGAツアー通算7勝目を飾りました。2019年大会で優勝争いを演じたタイガー・ウッズの足跡をたどるように、同一年の「マスターズ」と「ZOZO」を制覇。2017年「WGC ブリヂストン招待」最終日にウッズのコースレコードに並ぶ「61」をマークして逆転勝ちを収めたときもそうでしたが、同じ日本人として誇らしい気持ちになります。 今回は仕事で会場に足を運んでいたため、久しぶりに生で松山選手の優勝を見届けることができました。本人がインタビューで繰り返していたように、練習場を見る限り少しボールが散らばっている感じはありましたし、状態その...
2021/10/19進藤大典ヤーデージブック

マキロイの“横綱相撲”とファウラー復活の予感

ロリー・マキロイ(北アイルランド)が「ザ・CJカップ」で永久シード獲得の条件となるツアー通算20勝の節目を飾りました。 最近のマキロイは1日の爆発力は健在の一方、要所で攻めすぎてしまう場面があったり、安定感に欠ける部分がありました。8歳のときから地元の北アイルランド・ベルファストでマイケル・バノンさんに師事してきましたが、コロナ禍で直接チェックしてもらうことも難しくなり、今年3月からは新たにピート・コーウェンさんをコーチに迎えました。 5月「ウェルズファーゴ選手権」で2019年以来の優勝。20歳だった2010年にPGAツアー初優勝を飾った舞台で完全復活を印象づけたと思いきや、その後は波に乗り切...
2021/10/12進藤大典ヤーデージブック

昨季498バーディは史上最多 “若き鉄人”イム・ソンジェ

イム・ソンジェ(韓国)がPGAツアー出場100試合目となった「シュライナーズチルドレンズオープン」でツアー2勝目を挙げました。初優勝だった昨年「ザ・ホンダクラシック」が50試合目。節目の勝負強さとともに際立つのが、23歳の若さで100試合も出場しているという事実です。 2016年から2シーズンは日本ツアーでプレー。18年に挑戦した米下部ツアーではデビュー戦でいきなり優勝を果たしました。19歳9カ月17日での優勝は元世界ランキング1位ジェイソン・デイ(オーストラリア)の19歳7カ月26日に次ぐツアー2番目の年少記録。アジア勢として初の同ツアー賞金王にも輝きました。 PGAツアーに昇格した翌年はプ...
2021/10/05進藤大典ヤーデージブック

サム・バーンズの“キレキレ”ショットで思い出す伝説の「61」

サム・バーンズが余力すら感じさせるプレーで「サンダーソンファームズ選手権」を制しました。 最終日に優勝争いを演じた多くの選手が下部コーンフェリーツアーからの昇格組。1打差2位でフィニッシュしたニック・ワトニーもツアー5勝の実力者ですが、けがを境に低迷して今シーズンは一度しか使えない生涯獲得賞金50位以内という資格を行使しての参戦と後がない立場です。 一方のバーンズは出場選手中トップの世界ランキング25位。下部ツアーから上がって3シーズン目の昨季、5月「バルスパー選手権」で初優勝、最終戦「ツアー選手権」にも初めて進出して飛躍を遂げました。 松山英樹選手が惜敗した8月「WGCフェデックス セントジ...
2021/09/21進藤大典ヤーデージブック

“中1週”でリスタート 長丁場を戦い抜くPGAツアーの猛者たち

PGAツアーの2021-22年シーズンが開幕しました。前シーズンの最終戦はわずか2週前のこと。世界最高峰のツアーでしのぎを削る選手たちに求められるのは、技術だけではありません。ロングシーズンを戦い抜く体力と精神力、パフォーマンスを維持もしくは向上させていくための継続的なトレーニング、4大メジャーをはじめとするビッグトーナメントにピークを合わせるためのスケジューリングなど多岐にわたります。 数カ月のオフを挟むカレンダーであれば、体を休めつつシーズンの戦いを整理し、新たな目標を立て、腰を据えて取り組む時間があります。PGAツアーで生き残っていくためには目の前の試合を全力で戦いながら常に先を見据え、...
2021/09/08進藤大典ヤーデージブック

【進藤キャディ解説】強靭メンタルでつかんだ16億円 カントレーが乗り越えてきたモノ

メジャー6試合を含め50試合が開催されたPGAツアーの“スーパーシーズン”は、パトリック・カントレーが年間王者に輝き、ビッグボーナス1500万ドル(約16億4000万円)を獲得して幕を閉じました。 初日10アンダー首位スタートというポイントランキング1位のアドバンテージは、裏を返せばプレッシャーでもあります。その重圧をものともせず、トップを守り切る見事な完全優勝でした。 プレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」からの2連勝の要因は、さえわたっていたパッティングと強靭なメンタルでしょう。 ブライソン・デシャンボーと激闘を演じた前週に続き、最終戦は世界ランク1位ジョン・ラーム(スペイン)との一騎打...
2021/08/31進藤大典ヤーデージブック

「ツアー選手権」8年連続進出の偉業 イーストレイクは一年の頑張りが報われる場所

松山英樹選手が最終戦「ツアー選手権」に8年連続で進出する快挙を達成しました。これは本当にすごい記録です。真っ先にそのすごさをお伝えしたいところですが、プレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」もプレーオフ6ホール目までもつれる激闘でした。まずは、そちらから振り返ります。 最終日は2サム最終組を回ったパトリック・カントレーとブライソン・デシャンボーの一騎打ち。4日間を通してパッティングのタッチが抜群だったカントレー。正規ラウンドの上がり3ホールは、外せばデシャンボーの勝利が決まりかねないクラッチパットの連続でした。 2019年「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」ではグリーン上で神が...
2021/08/25進藤大典ヤーデージブック

【進藤キャディ解説】1975日ぶり2勝目のディナーは寿司 トニー・フィナウは日本食が大好物

6月に仕事の関係で米国を訪れたとき、トニー・フィナウと2度ほど夕食のテーブルを囲む機会がありました。頼んだメニューといえば、焼きそば、ラーメン、うどん、焼きおにぎり(炭水化物ばっかりですね、笑)、揚げ出し豆腐×3皿…とにかく日本食が大好きなんです。身長193㎝の長身選手で、学生時代にプレーしていたバスケットボールでも大学からスカウトされたほどのアスリート。食べる量もすさまじくて驚きました。 そのフィナウが「ザ・ノーザントラスト」で優勝しました。ツアーデビュー翌年の2016年「プエルトリコオープン」で初優勝してから実に1975日。長い長い2勝目までの道のりでした。ちなみに祝勝ディナーは「寿司だね...
2021/08/17進藤大典ヤーデージブック

ファウラー、ローズが125位に入れない PGAツアーの過酷なサバイバル

ケビン・キズナーが「ウィンダム選手権」を制しました。 ノースカロライナ州グリーンズボロにあるセッジフィールドCCは7131yd(パー70)と距離が短く、タイガー・ウッズが初めて大会に出場して大いに盛り上がった2015年は51歳のデービス・ラブIIIが優勝したことでも話題になりました。ショットの正確性とアンジュレーションのきついグリーン攻略がキーとなります。 ドライビングディスタンス289.2ydはツアー169位のキズナーですが、パットのスコア貢献度を示す「ストロークゲインド・パッティング」では上位常連のパター巧者。同スタッツで2016年に最高3位を記録すると、その後も30位→12位→20位→1...
2021/08/16米国女子

引退覚悟で初V 34歳オトゥール「人生をかけてきた」

できるだけ見ませんでした」。ラウンド中はヤーデージブックに「自分の心を満たすように」と花や波の絵を描いて気持ちを落ち着かせた。 「人生のある時期になると、いつまでここにいるのだろうかと思うようになる。子供も
2021/08/10進藤大典ヤーデージブック

東京五輪から147ホール目 松山英樹がプレーオフで見せたショットはすごかった

松山英樹選手が2週連続で見せ場を作ってくれました。週末に「64」「63」をそろえての大まくり。最終日9打差スタートからプレーオフまで持ち込む爆発力は圧巻でした。 ハードなセッティングに風も吹いた最終ラウンドのフィールド平均スコアは「70.923」と4日間で初めてオーバーパーを記録。ノーボギーが松山選手とコリン・モリカワ、今シーズンメジャーを勝った2人しかいなかったことも、難度の高さを物語っているでしょう。 特にパッティングが冴えていた最終日ですが、注目したいのはプレーオフ2ホール目のセカンドショットです。左サイドに広がる池のプレッシャーをより感じる左ピン。ティショットで右ラフに入れたボールは見...