2021/04/27進藤大典ヤーデージブック

米国選抜打倒のキーマン “ダブルス巧者”そろう豪州&南ア

PGAツアー唯一のダブルス戦「チューリッヒクラシック・オブ・ニューオーリンズ」をマーク・レイシュマンとキャメロン・スミスのオーストラリアコンビが制しました。 松山英樹選手のキャディとして何度か経験したダブルス戦。世界選抜と米国選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」、石川遼選手との同学年ペアで挑んだ2016年「ワールドカップ」、17年には谷原秀人選手とのチームでこの試合にも出場しました。その17年大会でヨナス・ブリクスト(スウェーデン)とともにツアー初優勝を飾ったのがスミスでした。 ダブルス戦でもっとも大事なのは、ボギーを打たないこと。そこに“打順”の要素も絡んでくるのが、このフォーマットならでは...
2021/04/20進藤大典ヤーデージブック

親子タッグの恩恵 スチュワート・シンクは“ピりつかない”

スチュワート・シンクが「RBCヘリテージ」で今季2勝目を挙げました。47歳以上でのシーズン複数回Vは1960年以降でサム・スニード、ジュリアス・ボロス、ケニー・ペリー(2度達成)に次ぐ4人目のレアケース。2020―21年シーズンに2回以上優勝しているのが稀代の飛ばし屋ブライソン・デシャンボーとベテランのシンクだけというのも面白い現象です。 昨年9月の開幕戦「セーフウェイオープン」で2009年「全英オープン」以来となる優勝。復活を印象付けていたとはいえ、予選ラウンドで「63」をそろえて36ホールの大会最少ストローク記録を更新。若手に負けない爆発力を見せつけた後、週末はリードを生かして逃げ切るクレ...
2021/04/18国内男子

5年前の記憶も頼りに 金谷拓実が開幕戦V

過ごし、最終ラウンドに向けて気持ちを高めた。「天気予報で風が強いとあった。最初の2日間とは逆の風。コースの印象も変わるのでヤーデージブックを見ながら考えていた」。アマチュアだった5年前の16年大会(96
2021/04/14進藤大典ヤーデージブック

【進藤キャディ手記】“救われた”かつての相棒 松山英樹へ「ありがとう」

まさに松山英樹選手の真骨頂を見せてもらいました。トーナメントリーダーで迎える最終日最終組。世界中のゴルファーが憧れてやまない「マスターズ」の舞台です。日本の悲願を背負い、誰も想像できないプレッシャーを感じていたと思います。その中でも堂々と、風格すら感じる王者にふさわしいプレーでした。 4日間を通じてスイングのフィニッシュが崩れる場面もありましたが、しっかりとフェアウェイを捉え続けていました。それこそが、いま松山選手が目指すスイングができつつある証拠なのではないでしょうか。 昨年12月に2人でラウンドしたときのことです。11月開催だった「マスターズ」以来と話していたラウンド中、目澤秀憲コーチとス...
2021/04/06進藤大典ヤーデージブック

吉兆!? オーガスタでスピースの“ぼやき節”は聞こえるか

ジョーダン・スピースは、やはりオーガスタナショナルGCに愛された男なのかもしれません。「バレロテキサスオープン」での1351日ぶりとなる復活優勝。8日(木)に開幕するメジャー「マスターズ」へ最高の形で臨むことができます。 4日間のフェアウェイキープ率51.79%はフィールド78位、パーオン率58.33%は同66位と優勝した選手とは思えない数字が並んでいます。それでもスクランブリング80%、サンドセーブ率100%とリカバリーはさすが。得意のパッティングもパーオンホールの平均パット数「1.524」は堂々の1位。卓越したマネジメントとショートゲームという強みをしっかり生かしての勝利でした。 僕が松山...
2021/03/30進藤大典ヤーデージブック

色あせない2013年「全米オープン」 ビリー・ホーシェルは“超ポジティブ”

松山英樹選手のプロ入り後初の海外遠征となった、2013年「全米オープン」予選ラウンドのことです。舞台はメリオンGC。ビリー・ホーシェル、ジョーダン・スピースとの若手注目株3人のペアリングでした。 ホーシェルはその年の「チューリッヒクラシック」で初優勝を飾ったばかり。フロリダ大でもトップアマチュアとして鳴らした素晴らしい選手とは聞いていましたが、実際のプレーは想像以上。アイアンショットの衝撃は、いまも脳裏に焼き付いています。 ターゲットに向かって、めくれ上がるようなスピンの利いたショットを繰り出すボールストライカー。アスファルトのような硬いグリーンにだってボールを止めてしまうのではないかと思うほ...
2021/03/23進藤大典ヤーデージブック

「四十にして惑わず」と言うけれど…マット・ジョーンズの“岐路”

「ザ・ホンダクラシック」を制したマット・ジョーンズ(オーストラリア)のプレーには驚かされました。特に難度が高い15番からの3ホール=通称ベアトラップを含め、プレッシャーがかかる場面でもショットのテンポがまったく乱れませんでしたね。 シーズン通算でストロークゲインド・パッティングが29位(+0.54)とパットに秀でた選手ですが、最終日はグリーンを外したのが前半7番(パー3)の1ホールだけ。ショットの貢献度を示すストロークゲインド・ティ・トゥ・グリーンは4日間で「+14.301」を記録し、堂々の1位。後続に5打差をつけての逃げ切りは、とても7年ぶりのツアー2勝目とは思えないほどの横綱相撲でした。 ...
2021/03/16進藤大典ヤーデージブック

闘争心と家族愛 ジャスティン・トーマスこそ“ポストタイガー”

開幕まで1カ月を切った「マスターズ」へ主役が調子を上げてきた感が漂います。ジャスティン・トーマスが“第5のメジャー”とも称される「プレーヤーズ選手権」を制しました。 特に決勝ラウンド36ホールは圧巻のプレーでした。フェアウェイを外したのが6ホール、パーオン失敗も5ホール。最終日にいたってはグリーンを外したのがラストの18番だけで、パットのスコア貢献度を示す「ストロークゲインド・パッティング」は「-2.053」。グリーン上の低調なスタッツは、あの難しいTPCソーグラスを相手にどれだけ驚異的なショットを連発したか逆説的に物語っています。 メジャー、WGC、フェデックスカップ(年間王者)に続くビッ...
2021/03/09進藤大典ヤーデージブック

“根拠ある自信” デシャンボーはただの飛ばし屋にあらず

僕がキャディだったら、心の中で「ラッキーだな」とつぶやいていたと思います。「アーノルド・パーマー招待」最終日の後半16番。首位に立つブライソン・デシャンボーのティショットは左のフェアウェイバンカーのアゴにくっついてしまいました。 2打目は出すだけ。ベイヒルクラブ&ロッジの中でも特にタフな17番と18番の直前、バーディが欲しいパー5です。普通に考えれば、ものすごく痛い。 しかし、これがラフに入っていたり、フェアウェイバンカーの悪くないライに止まっていたとしたら…。優勝争いの緊張感は極限状態。池越えの危険度が上がっても、無理してグリーンを狙っていきたくなるもの。池に入れるリスクをゼロにしつつ、10...
2021/03/02進藤大典ヤーデージブック

データ“そこそこ”でも「人生イチ」モリカワ快挙を導いたパットスタイル変更

コリン・モリカワが「WGCワークデイ選手権」で通算4勝目を挙げました。2月に24歳になったばかり。25歳までにメジャーとWGCの両タイトルをそろえるのはタイガー・ウッズ以来2人目という快挙でした。 アマチュア世界ランキング1位に君臨するなど輝かしいキャリアを歩んできた選手。今季ドライビングディスタンス128位(294.1yd)が示すように飛ばし屋ではありませんが、ショットの総合力とアプローチ技術が光ります。 唯一ウィークポイントとして挙げられることもあったパッティング。そのグリーン上で劇的な変化がありました。最近は右手の親指と他の指でグリップを挟むような握り方「saw grip(ソー・グリップ...
2021/02/23進藤大典ヤーデージブック

ウッズゆえの豪華フィールド プレーオフゆえのホマV

「ジェネシス招待」はPGAツアーの選手たちにとって特別な試合です。年間のコースコンディション維持に数億円をかける名門リビエラCCが舞台ということに加え、タイガー・ウッズの財団がホストしていることに大きな意味があります。 ウッズからトロフィーをもらう――。プロゴルファーなら誰もが夢見る瞬間は、数年前までツアー外競技「ヒーローワールドチャレンジ」でしかかなわない栄誉でした。 かつては孤高の絶対王者というイメージだったウッズ。コース内ではあいさつのために声をかけるのもためらわれるレベルで張り詰めたオーラをまとっていたことを覚えています。近年は、すれ違えば向こうからちょっかいをかけて来てくれたほどフレ...
2021/02/16進藤大典ヤーデージブック

“一匹狼”ダニエル・バーガーを変えたケガ

朝からすごいショットを見ました。「AT&Tペブルビーチプロアマ」を制したダニエル・バーガー。最終18番(パー5)は前日OBでダブルボギーをたたいたホールでした。加えて最終組の1組前をプレーし、マーベリック・マクネリと並ぶトップタイというシチュエーション。想像を絶するプレッシャーがかかっていたはずです。 左サイドに広がる海を避けようにも、狭いフェアウェイの右サイドにそびえる1本の木が厄介なポイント。実際、最終組のトム・ホジーも、この木の枝に引っ掛かったボールを見つけられずに紛失球で打ち直していましたね。美しい景色が広がるペブルビーチですが、ティイングエリアに立つと、映像からはわからない威圧感に襲...
2021/02/09進藤大典ヤーデージブック

うれしい“ナイスガイ”ケプカの復活V ライバルたちは戦々恐々!?

PGAツアー随一の観客動員を誇るモンスタートーナメント「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」。コロナ禍で1日あたり5000人の来場制限をかけての開催でも、試合は激アツでしたね。 PGAツアーの黄金世代となるジョーダン・スピース、ザンダー・シャウフェレ、ジャスティン・トーマスが上位にひしめくリーダーボード。3日目に「61」を出したスピースにはしびれました。魔法がかかったようにパットを決めまくってギャラリーを熱狂の渦に巻き込み、ゲームを支配していく姿は頂点を極めたころとダブります。完全復活を期待せずにはいられません。 かつての世界ナンバーワンのカムバックといえば、やはり優勝したブルックス...
2021/02/02進藤大典ヤーデージブック

“外野”は騒がしくても…激変リードの静かなスイングにビックリ

「ファーマーズインシュランスオープン」が行われたトーリーパインズGCは非常にタフな舞台です。6月に「全米オープン」を開催予定のサウスコースは、シーズンのPGAツアーで最も長かった昨季と同じ総距離7765yd。さらにことしは2日目に雹(ひょう)まで降るなど気温も下がり、ボールがなかなか飛んでくれない二重苦。4日間の平均スコアは「73.340」と、この5年で最もハードなセッティングになりました。 天候が荒れた2日目を含め、そのサウスコースで3日間オーバーパーをたたかず、トータル6アンダーで回ったパトリック・リード。何よりもスイングの変わりように驚かされました。 2018年に「マスターズ」を勝ったこ...
2021/01/26進藤大典ヤーデージブック

“韓国版”松山英樹!? キム・シウーは練習の鬼

現在はイム・ソンジェの活躍が目覚ましい韓国勢。僕が松山英樹選手のキャディとしてPGAツアーを戦っていたときに次世代のエースと目されていた選手がいました。それが「ザ・アメリカンエキスプレス」で優勝したキム・シウーです。 2017年に「ザ・プレーヤーズ選手権」を勝ったときは、まだ21歳。史上最年少で“第5のメジャー”とも呼ばれる大舞台の頂点に立ちました。その5年前にはPGAツアーの最終予選会を史上最年少の17歳5カ月6日で通過。4年ぶりのタイトルは、どれだけすごいスピードで階段を駆け上っていたのかを実感させます。 とにかく練習をする選手です。韓国版の松山選手と言ってもいいほどのすさまじい練習量。本...
2021/01/19進藤大典ヤーデージブック

飛距離以外“オール5”のケビン・ナ 4季連続Vの陰に名参謀アリ

2017年にはジャスティン・トーマスが72ホールの最少ストローク記録を更新する「253」を出したように、ビッグスコアが続出する「ソニーオープンinハワイ」。 例年通りの伸ばし合いが展開される中、ケビン・ナが4シーズン連続となる通算5勝目を挙げました。後半12番で3パットボギーを喫した直後に3連続バーディ。パー5の最終18番も獲ってライバルたちを振り切りました。 7044ydと比較的短いワイアラエCCですが、つくりはタイトでショットメーカー向き。特に14番から左ドッグレッグのホールが続き、ドローヒッター有利となるロケーションをしっかり生かしての勝利だったと言えます。 松山英樹選手が初優勝した2...
2021/01/12進藤大典ヤーデージブック

忘れられない7年前の衝撃 イングリッシュ復活に誇らしさ

みなさま、あけましておめでとうございます。2019年から始まったこの「PGAツアー・ヤーデージブック読解」のコーナーですが、新たな一年を迎えるにあたってリニューアルすることになりました。優勝者を
2020/12/03日本シリーズJTカップ

静寂の18番で聞こえた「歓声」 石川遼は“久々”の好発進

に入れたヤーデージブックを取り出して確認していた。マネジメントへの強い意識をうかがわせる一幕。一方でトッププロの技術をもってしても、綿密に練った戦略通りにいかないこともざらにある。 「『絶対に行きたく