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2021年 サンダーソンファームズ選手権
期間:09/30〜10/03 場所:ザ・カントリークラブofジャクソン(ミシシッピ州)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

サム・バーンズの“キレキレ”ショットで思い出す伝説の「61」

サム・バーンズが余力すら感じさせるプレーで「サンダーソンファームズ選手権」を制しました。

最終日に優勝争いを演じた多くの選手が下部コーンフェリーツアーからの昇格組。1打差2位でフィニッシュしたニック・ワトニーもツアー5勝の実力者ですが、けがを境に低迷して今シーズンは一度しか使えない生涯獲得賞金50位以内という資格を行使しての参戦と後がない立場です。

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一方のバーンズは出場選手中トップの世界ランキング25位。下部ツアーから上がって3シーズン目の昨季、5月「バルスパー選手権」で初優勝、最終戦「ツアー選手権」にも初めて進出して飛躍を遂げました。

松山英樹選手が惜敗した8月「WGCフェデックス セントジュード招待」で最終日同組を回り、2人そろってアブラム・アンセル(メキシコ)と三つどもえのプレーオフまで進んだことを覚えているファンの方も多いのではないでしょうか。

昨季からカウントして最終日を3位以内で迎えるのは今大会が6度目。これはジョーダン・スピースと並んでもっとも多い数字ですから、それだけコンスタントに優勝争いに絡んでいたということ。積み重ねた経験が貫録のゲーム運びとなって表れていました。

とにかくショットがキレキレでした。貢献度を示すストロークゲインド・ティ・トゥ・グリーンは「+14.824」で堂々の1位。細かく見ても、パー4とパー5のティショットを反映する「オフ・ザ・ティ」が「+6.162」で1位、主にグリーンを狙うショットの指標となる「アプローチ・トゥ・ザ・グリーン」が「+8.278」で2位。4日間でグリーンを9ホールしか外さず、パーオン率もトップタイの87.50%を記録しました。

まさにスキが見当たらないショットのスタッツとは裏腹に、ストロークゲインド・パッティングは「-1.985」で57位といまひとつ。「67」で回った最終日もマイナスとなるなど、いかにショット力で勝ち切ったかを証明しています。

僕がキャディをしていた松山選手もPGAツアー屈指のショットメーカー。ハマったときは、それはもうまるでゲームをしているような感覚に陥ったことを思い出します。

狙ったところと寸分たがわぬラインに出し、1yd単位で打ち分けられるような技術と感覚。その正確性は、もはやゲームをも上回っているのではないかと思うレベルでした。池を越えてすぐのエリアにピンが切られていようが、奥まで突っ込まないといけないピンの後方に池が口をあけていようが、お構いなし。風、傾斜、気温といった諸条件をインプットして、ピンやターゲットをダイレクトに狙っていけるのです。

もちろん選手が一番すごいのですが、あの“全能感”ともいうべき全てを超越した感覚は忘れられません。伝えた情報がそのまま生かされ、イメージ通りのプレーでバーディを量産していく―。まさにキャディ冥利に尽きる瞬間です。

大会連覇を決めるプレーオフに持ち込んだ2017年「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」のサンデーバックナイン、タイガー・ウッズが出した伝説の「61」に並んだ同年「WGCブリヂストン招待」最終日は、まさにそんな状況でした。

パターがなかなか入らなくても、あれだけのショットがあれば、バーンズも相棒のキャディも心にゆとりがあったと思います。きっと楽しくて仕方がなかったのではないでしょうか。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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