2022/04/13進藤大典ヤーデージブック

タイガー・ウッズはジャック・ニクラスのメジャー18勝を超えられるか

ゴルフの祭典はスコッティ・シェフラーのメジャー初優勝で幕を閉じました。世界ランキング1位の選手による「マスターズ」制覇はイアン・ウーズナム(ウェールズ、1991年)、フレッド・カプルス(92年)、タイガー・ウッズ(2001、02年)、ダスティン・ジョンソン(20年)に続く6回目(5人目)。ナンバーワンプレーヤーであっても、世界中から名手が集うオーガスタで勝ち切るのが容易ではないことを示しています。 初タイトルとなった2月「WMフェニックスオープン」から6戦4勝。やはり勢いのあるキャメロン・スミス(オーストラリア)との最終日最終組で際立ったのは総合力の高さでしたね。 4日間のフェアウェイキープ率...
2022/04/05進藤大典ヤーデージブック

オーガスタはタイガー・ウッズが最高に映える場所

J.J.スポーンが前週「バレロテキサスオープン」で初優勝を飾り、7日(木)に開幕する「マスターズ」の最後の1枠を手中に収めました。これでフィールドが出そろった…と言いたいところですが、ことしに限っては状況が特殊です。昨年2月の自動車事故で大けがを負ったタイガー・ウッズが復帰する可能性があるのですから。 練習日とはいえ、オーガスタでボールを打つウッズの映像を見てテンションが上がったのは僕だけではないでしょう。いろいろなトーナメントで戦う様子はもちろん、アドレナリン全開で優勝する瞬間だって何度も目撃してきました。その中でもオーガスタでのウッズは別格。彼がコースにいるだけでパトロンの熱量が一気に上が...
2022/03/29進藤大典ヤーデージブック

いま最も勢いがある男 シェフラーのロールモデルはスピース先輩

いま世界で最も勢いのある選手と言って良いでしょう。スコッティ・シェフラーが一気に世界ランキング1位まで上り詰めました。6週前の「WMフェニックスオープン」でようやく初優勝の壁を破ってからは、まさに破竹の勢い。3週前の「アーノルド・パーマー招待」で2勝目、そして「WGCデルテクノロジーズ・マッチプレー」で3勝目。本コーナーでも、この短期間で立て続けにシェフラーを取り上げることになるとは思ってもみませんでした(笑) 金谷拓実選手が世界ランクで自身より上位の選手に競り勝っていったように、番狂わせも起きやすいマッチプレー方式。世界ランク5位で大会に臨んだシェフラーも2日目にトミー・フリートウッド(イ...
2022/03/22進藤大典ヤーデージブック

世界11位でも物足りない? ダスティン・ジョンソンは不調なのか

サム・バーンズが「バルスパー選手権」で大会連覇を成し遂げ、自己最高に並ぶ世界ランキング10位に浮上しました。初優勝から1年も経たないうちに3勝目を挙げた25歳によってはじき出される形となったのがダスティン・ジョンソン。PGAツアー300試合出場という節目の一戦を39位で終えていた元世界ナンバーワンが、2015年3月以来7年ぶりにランクトップ10を外れることになったのです。 世界ランク1位に君臨した期間(135週)はタイガー・ウッズ(683週)、グレッグ・ノーマン(オーストラリア、331週)に次ぐ3番目。出場300試合のうちトップ10入り113試合というのも、世界最高峰のツアーにあって驚異的な記...
2022/03/16進藤大典ヤーデージブック

強気の裏に緻密な計算? キャメロン・スミスが18番で1Wを握ったワケは

キャメロン・スミス(オーストラリア)が乗りに乗っています。2022年の初戦だった1月「セントリートーナメントofチャンピオンズ」で1950年以降のPGAツアーで最多アンダーパー記録となる通算34アンダーで優勝。そして、第5のメジャー「ザ・プレーヤーズ選手権」の頂点に立ちました。 もともと正確なアイアンショットとショートゲームに定評のあった選手。今季トップ10フィニッシュ4回は、スコッティ・シェフラーの5回に次ぐ2番目で松山英樹選手らと並ぶ数字です。自分のゴルフに対する自信も、どんどん深まってきているはず。強気でアグレッシブなプレーに磨きがかかってきた感があります。 それが顕著に出ていたのが優勝...
2022/03/08進藤大典ヤーデージブック

マキロイも疲労困憊 ベイヒルのハードセッティングを紐解く

ことしの「アーノルド・パーマー招待」は、あの「全米オープン」が引き合いに出されるほどの超ハードセッティングとなりました。ただでさえ深いラフが厄介なベイヒル。グリーンは日を追うごとにどんどん硬く、速くなって選手たちを翻弄。最終日のフィールド平均スコアは2年続けて「75」を超える数値まで跳ね上がりました。 優勝したスコッティ・シェフラーも、やはりサンデーバックナインはピンチの連続。追い込まれているはずの状況でも、キャディのテッド・スコットさんと2人で醸し出す雰囲気が抜群に良く、タフな戦いを楽しんでいるかのような明るい表情が印象的でした。テキサス育ちで「硬い」「速い」に加えて強い風も吹く“三重苦”は...
2022/03/01進藤大典ヤーデージブック

4000キロ超の連戦 西海岸→東海岸が大変なワケ

これも“PGAツアーあるある”と言ってもいいのかもしれません。前週「ジェネシス招待」で西海岸シリーズがひと区切りを迎え、翌週「ザ・ホンダクラシック」からフロリダスイングがスタート。選手によってスケジュールもさまざまとはいえ、連戦なら4000㎞を超える距離を移動しての戦いとなります。 試合はダニエル・バーガーが最終日、5打差を守れずに逆転負け。18ホールのうち15ホールで池が絡むPGAナショナルのチャンピオンコースはフロリダ特有の強風も相まって、どんなにリードがあっても気が抜けない難関です。最終盤には猛烈な雨も降ってタイトルの行方が混沌とする中、セップ・ストラカがオーストリア勢として初優勝をつか...
2022/02/22進藤大典ヤーデージブック

37年も破られぬ記録 難関リビエラはウッズ未勝利の地

ホアキン・ニーマン(チリ)が「ジェネシス招待」でツアー2勝目を飾りました。この大会で初日から首位を守る完全優勝は、1969年のチャーリー・シフォード以来となる快挙。弱冠20歳でチリ勢初のPGAツアー優勝を成し遂げてから約2年5カ月。新たな勲章が加わりました。 目を疑ったのは予選ラウンド終了時のスコアです。立て続けに「63」をたたき出して通算16アンダー。にわかには信じられませんでした。この大会の最多アンダーパー(72ホール)は、1985年にラニー・ワドキンスがマークした20アンダー。1980年以降のツアートーナメントで最も長く残っている記録なのですから。 いまどきのゴルフ場としては珍しく池がひ...
2022/02/15進藤大典ヤーデージブック

個性派レフティ支えて15年 マスターズ2勝の“黒子役”がシェフラーとタッグ

やっと、と言ってもいいでしょう。スコッティ・シェフラーが「WM フェニックスオープン」でツアー初優勝を飾りました。 ジョーダン・スピースの後輩に当たる名門テキサス大出身で、身長190㎝の大型プレーヤー。高校で「全米ジュニア」制覇、大学で「全米オープン」ローアマと“王道”を歩み、プロ転向後もすさまじいスピードで出世街道をひた走ってきました。 下部コーンフェリーツアー最優秀選手として昇格を果たした2019-20年シーズン。コリン・モリカワが初出場初優勝を遂げた「全米プロ」でダスティン・ジョンソンと最終日最終組を回ったのがシェフラーでした。6試合でトップ5入りするなど、ポイントランキング5位に食い込...
2022/02/08進藤大典ヤーデージブック

203試合目の歓喜 トム・ホジーが貫いた堅実マネジメント

「AT&Tペブルビーチプロアマ」で初優勝を飾ったトム・ホジーがPGAツアーに初めて出場したのは2011年「RBCカナディアンオープン」でした。直前、3部ツアーにあたるPGAツアーカナダ「プレーヤーズカップ」を制してつかんだ切符でしたが、あえなく予選落ち。2部ツアーを経て2014-15年シーズンから最高峰の舞台へ本格参戦を果たしたものの、3季連続でシード確保に失敗。PGAツアー203試合目での初タイトルは、長い下積みが報われた瞬間でした。 通算200試合目までの最高成績は1度きりの2位(2019年「ア・ミリタリー・トリビュート at ザ・グリーンブライアー」)。それが2週前の「ザ・アメリカンエキ...
2022/02/01進藤大典ヤーデージブック

最終日最終組でもう一度 ジェイソン・デイの復活が見たい

「ファーマーズインシュランスオープン」はルーク・リストが初優勝を飾りました。ルーキーだった2013年にドライビングディスタンスで1位(306.3yd)に輝くなど、早くから注目された長距離砲。37歳となった今季も全体7位(316.7yd)につける飛距離を武器にツアー屈指のロングコースで知られるトリーパインズを攻略しました。 最終組から8組前と比較的プレッシャーもかからない位置で伸び伸びと「66」をマーク。昨季の新人王ウィル・ザラトリスをプレーオフで破るドラマは、遅咲きのキャリアを彩る感動的なシーンとなりました。 17年にこの大会でツアー初タイトルを掲げ、昨年6月に当地で開催された「全米オープン」...
2022/01/25進藤大典ヤーデージブック

異なるコーチで2シーズン連続V スワッフォードの歩み

ハドソン・スワッフォードが「コラレスプンタカナリゾート&クラブ選手権」で3年ぶりの優勝を飾ったのが2020年9月末のこと。「メジャー・メディカル・エクステンション」(公傷制度)の適用を受け、残り2試合とリミットが迫る中での大きな1勝でした。 そして、初Vの舞台でもある「ザ・アメリカンエキスプレス」での大会2勝目で2シーズン連続優勝。肋骨、足の裏と度重なるけがから復活して以降は充実した歩みに映りますが、実際はかなり苦しんでいたようです。 29試合に出場した昨季は予選落ちが17試合。昨年のこの大会から5試合連続で予選落ちを喫すると、ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ「コラレス-」で6位。し...
2022/01/18進藤大典ヤーデージブック

PGA初タッグで予選落ちから9年 松山英樹が積み上げてきたモノ

仕事でホノルルに来ていたため、昨年10月「ZOZOチャンピオンシップ」に続いて現地で松山英樹選手の優勝を見届けることができました。喜び、興奮とともに少しの驚きもありました。 というのも、「ソニーオープンinハワイ」は過去8回出場してトップ10入りがなく、最高は2020年の12位。本人がインタビューで話していたように苦手意識もあるコースでの勝利だったのですから。選手として、またひとつ上の段階に上がった気がします。 実際にコースで見た松山選手からは、これでもかと“オーラ”が出まくっていました。“この会場にいる誰にも負けないよ”と背中で語っているかのよう。代名詞ともいえるアイアンの精度はもちろん、高...
2021/12/10米国女子

古江彩佳は一日20ホールの長丁場へ「切り替えて」

。 濃霧によるスタート遅延の知らせを受けたのは、午前7時半前に会場に到着して間もなくのこと。車中でその日のピン位置をヤーデージブックに書き込み、ウォーミングアップに向かうのがルーティンだが、この日は
2021/12/07進藤大典ヤーデージブック

【進藤コラム番外編】ジュニア大会を初開催 ステーブルフォード方式で学ぶ、攻める気持ちとゴルフの楽しさ

「ジュニアトーナメントを開催する」――。いま思えば荒唐無稽ではありましたが、それが今年の僕の目標でした。日本、米国でキャディとしてプロツアーに参加した経験をもとに、いずれ世界へとつながる理念を掲げる大会を開きたい。日本の男女のゴルファーが素晴らしい活躍を見せてくれた2021年は、個人的にはそんなプランを具体化させるのに奔走した一年でもあったのです。 そして、去る11月27日。多くの方々の協力のおかけで、中高生男女を対象にした大会「ステーブルフォード ジュニアチャレンジ トーナメント2021」を実施することができました。会場の千葉県・成田ヒルズカントリークラブは当日天候にも恵まれ、大会を終えられ...