ニュース

米国男子の最新ゴルフニュースをお届け

【WORLD】良いレイアウトは良いプレーに/PGATOURコースランキング特集(5)

Golf World(2012年1月16日号)GW Final say texted by ジェフ・オギルビー

全てのプロがコースに関心を持っているわけではないが、良いレイアウトは良いプレーに繋がる。

何も驚くようなことではないだろうが、PGAツアープレーヤーがゴルフコースを判断する視点は、大半の(アマチュアをはじめとした)プレーヤーと一緒。誰だって、自分が上手くプレー出来るレイアウトのコースを気に入るもので、その傾向はアベレージゴルファーよりも強いだろう。アマチュアにとっては、プレーする場所云々が、その日を楽しもうとする気持ちの持ち方に、さほど影響を与えないだろう。そして何打叩くかということについても、同じだろう。

<< 下に続く >>

同様にして、トッププロにとっても、スコアが伸びないコースを好きになるのは極めて稀。例えばリー・トレビノは世界を代表するゴルファーだが、常にオーガスタ・ナショナルを苦手としていた。つまり、プレーヤーが見るのはコース上の芝生だけで、あとは自分にそのコースを攻略するだけの技量があるかどうかということだ。

だからこそ、多くのプロはどこでプレーするかをいちいち気にしていない。ボールが楽にホールに吸い寄せられるグリーンと賞金さえあれば、彼らはどこでだってプレーする。私の予測では、ツアーメンバーの約半数は、自分以外のプロがある特定のコースを批判したり褒めたりしていることを不思議に思っているはずだ。他人が何を言っているか分からないのだ。

あるコースに関する意見を聞く場合、たいていネガティブな意見が多い。メディアに話す際、長所であれ短所であれ、プレーヤー達は微妙な言い回しで(気に入らない点を)形容するだけの能力を持っている。しかし、これがロッカールームでの分析ともなれば、はっきりと悪い点を指摘する。たとえば「フェアウェイが狭い」、「ラフの芝が長い」、「バンカーが深すぎる」、「バンカーが柔らかすぎる」「パー3なのに距離が長い」等々。逆に「このコースは簡単」という意見は極端に少ない。

プロになるような選手は、至って単純な理由でゴルフ好きになった人が多い。誰よりもボールを強く打つ、遠くに飛ばす、真っ直ぐ飛ばすというのがその主な理由で、誰しも必ず壁にぶち当たり、自分が理想とする姿に達しないからこそ、偉大なゴルファーになろうとする。対峙するのは、一緒にプレーする選手。だからこそ技量を磨こうとする。ゴルフコースというのは、プロにとっては、クラブやボール等の用具の1つ。争うべき対象がコースではないから、コースデザインに関心が無いのだ。

たとえば自分が酷いコースでプレーしたとしても、本来の目的、つまりは出来るだけ良いスコアを出そうという気持ちから逸れることは決してない。何故なら自分がプレーしている環境は頭にないから。もしプレーに集中しているとしても、それはプレーしているという経験を楽しんでいるにしか過ぎない。

話はPGAツアーに変わるが、設計から、より年月の経ったコースほど、ベストコースと評価されるケースが多いように思う。残念ながら、現在開催されている大半の大会は、1960年から95年に設計されたコースでプレーされている。将来的にこの年代に作られたコースが高く評価されるかはわからない。だが、この「Golf World」で頻繁に特集が組まれるコースは、リビエラ、アロニミンク、コロニアル、ペブルビーチ、そしてオーガスタ・ナショナル等、最低でも開場から半世紀近く経過しているコースばかり。

驚くようなことではないし、実際にこれらのコースの何がそこまで良いのかわからなくても問題はない。しかし私にも選手たちがどんなコースについてよく話をしているかは分かる。例えば、WGCアクセンチュアマッチプレー選手権に出場した選手が、ロッカールームで「先週のリビエラは何だよ!」と文句を言うことはないだろう。何故なら、誰もがリビエラでのプレーを気に入っているから。しかし、これが他の大会ならば、「あんなコース2度と行くか!」となることもある。

重要視されるべきはコースの権威よりも、やはりコースの質だ。誰もが最高だと思うコースで全ての大会が開催されれば、プレーは更に見る価値があると判断され、導き出される成績もレベルアップするだろう。昔からそうだったなら、ゴルフという競技は今よりも確実にポピュラーなものになっていたに違いない。それ故、ゴルフという競技をブランドや成績、エンターテイメント性という観点から評価した場合、ゴルフコース(の優先順位)は自然と低くなってしまう。

素晴らしいコースでプレーするゴルフこそ、実際の評価よりも面白い競技になると感じている人、そしてスコアボードに反映される結果がより向上するのを知っている人が、世の中にどれくらいいるかはわからない。もしツアーがセントアンドリュース、オーガスタ・ナショナル、サイプレスポイント、ロイヤル・メルボルン、シネコック・ヒルズ、シカゴGC、もしくはメリオンで毎週開催されていても、きっと成績は世界ランキングに近いものになるだろう。しかし、もし世界のトッププロの技量、イマジネーション、戦略、直観に任せたプレーが生かせないようなコースで開催されてしまったら、本来あるべき結果ではなく、リーダーボードもおかしくなるのではないだろうか。

不思議なことに、これまで私が指摘してきたおかしな問題点を露呈している由緒ある大会が多い。考えればわかるだろうが、マスターズこそ世界一のプレーヤーを決める大会とずっと言われ続けているのだから。もし世界中のゴルファーを対象に「テレビで見る大会で最も好きなトーナメントは?」というテーマで投票を行ったとしても、結果は満場一致でマスターズとなるだろう。

何故PGAツアーが、“全ての大会”を質の高いコースで開催しないのかがわからない。ゴルフに必要なのは、より良いコースなのだ。(ジェフ・オギルビー

米国ゴルフダイジェスト社提携
Used by permission from the Golf DigestR and Golf WorldR. Copyrightc 2011 Golf Digest Publications. All rights reserved

世界のトッププロの情報をいち早く 「Style-WORLD」
海外トッププロのインタビュー。トッププロコーチによるレッスン、最新ギア・アイテムの紹介など、世界の最新ゴルフ情報が満載。スマートフォン限定として、海外プロコーチによるレッスンコンテンツが楽しめます。

関連リンク



あなたにおすすめ


特集

宮本卓×GDO 旅する写心
ゴルフフォトグラファー宮本卓×GDOのスペシャルコラボコンテンツ。国内外のゴルフ写真を随時更新中!!
やってみよう! フットゴルフナビ
サッカーとゴルフが融合した新スポーツ「フットゴルフ」の総合情報サイトです。広いゴルフ場でサッカーボールを蹴る爽快感を、ぜひ一度体感してみよう!

ブラインドホールで、まさかの打ち込み・打ち込まれ!!ゴルファー保険でいつのプレーも安心補償!