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三田村昌鳳が語る日本オープン(4)

この年、ジャンボは41歳だった。尾崎が100勝したときに「僕の誇りは、40歳を過ぎてからの優勝が、それ以前よりも多くなったことだ」と語った。
日本オープンにかける選手たちの想い、情熱、執着が分厚くなればなるほど、ゲームは盛り上がる。
忘れられない言葉がある。
それは、ジャンボが1989年史上4人目の連覇、3度目の優勝をした日の夜のことである。
覚えているだろうか。名古屋ゴルフ倶楽部和合コース、17番ホール、パー3の左バンカーからのチップイン。奇跡的なショットとして記憶に残るものであった。その夜、すでに10時近かった。僕は、ジャンボ邸を訪ねた。そして、庭先でショット練習している尾崎の姿を見ていた。
「あのバンカーからのチップインは、凄かったですね」と言うと、
「馬鹿言え、あんな確率の少ないショットをした原因は、ティショットの4番アイアンにあるんだ。なぜ、土壇場であんなショットになったのか、そっちのほうが重要なんだ。だから、いまも4番アイアンを練習しているんだ」
一喝された気分だった。
「優勝の美酒に浸ることはないということ?」
「厳密に言えば、優勝してカップを手にして、それを掲げた瞬間だけが、嬉しい。そのあとは、次に勝つための反省と課題克服だよ」
こういう姿勢があるうちは、強くなると思った。
そういえば、石川遼が、似たようなことを言っていた。と言っても、彼の場合は「課題」としてのコメントだった。
「優勝すると気持ちがだらけるんですよね。それは嬉しいんですけど、それに浸りすぎるスパンをもっと短くしたい。いかにコンパクトにして切り替えるかも大切だと思うんです」
勝ちたいという想い。一度勝つと、また勝ちたいと執着心を強くする。そしてライバルに負けたくないと競い合う。難しいセッティングを攻略しようという戦う者の本能が増幅する……。そんな様々な思いが強ければ強いほど、トーナメントは面白くなる。日本オープンは、そんな大会である。
ゴルフが、面白いのは、スコアの数字に表れない小数点であると、僕は、いつも思っている。白か黒かの振り分けではなく、スコアには表れない1000分の1の小数点に見え隠れする人間模様やコースとの駆け引きなのだと思う。
そういう醍醐味を見せてくれる日本オープンであって欲しい。

三田村昌鳳(みたむら・しょうほう)
1949年、神奈川県逗子市生まれ。『週刊アサヒゴルフ』副編集長を経てフリーのジャーナリストに。95年、米国でスポーツライター・ホールオブフェイムを受賞後、翌年には第1回ジョニウォーカー・ゴルフジャーナリスト・アウォード最優秀記事賞に選ばれる。翻訳・監修に『タイガー・ウッズ-伝説の序章』、著書に『伝説創生 タイガー・ウッズ神童の旅立ち』など。また、日蓮宗の僧侶として自坊(神奈川県・逗子市の法勝寺)の副住職も兼ねる。

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2011年 日本オープンゴルフ選手権競技



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