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細川和彦 思い出の地でシード復帰へ大きな3位

2005年までにツアー通算8勝目を挙げながらもその後は低迷が続き、昨年末には出場権を争う予選会に初参戦した細川和彦。しかしその名手が、今季5試合目の出場にして、衰えぬ実力を印象付けた。福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で開催された「VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」の全ラウンドで60台をマークし、通算15アンダー。単独3位に食い込んでみせた。

首位と4打差の5位タイからスタートした細川の視線は、ショットの合間にリーダーボードに注がれていた。もちろん7年ぶりの復活優勝となれば最高だ。しかしそれ以前に、ツアーで次戦の出場権を獲得できる「5位以内」を確保することが第1の目標だった。

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出だしの1番でいきなりボギーが先行したが、その後は粘り強さを光らせた。5番で6メートルを沈めて3つ目のバーディを奪うと、後半は15番までに2バーディをマーク。16番では左ラフから残り190ヤードを4番アイアンでグリーンを攻め、アゲンストの風に負けることなくピン奥へ。4日間の最難関ホールでパーを拾い、最終18番で1.5メートルのバーディパットを沈めるとガッツポーズが飛び出した。

同コースは17年前にツアー初優勝を飾った思い出の地。今大会は毎日のラウンド後、テレビに目をやり青木功の解説を聞きながら攻略イメージを再度膨らませたという。前夜には昨年から所属先となっている茨城GCの関係者から激励を受けた。「お世話になって一年。恩返しになったかな」と安堵感も漂わせる。

公言どおりトップ5入りを果たしたことで、4日後に始まる次戦「フジサンケイクラシック」の出場権を手にした。当初は明日27日(月)のマンデートーナメントを受験するため、この最終日には自らキャディバッグを福岡から移動させる予定だった。しかし「宅急便で送れる。良かった~」と満面の笑み。今後の成績および主催者推薦により、続く「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN 涼仙」、「ANAオープンゴルフトーナメント」の出場も濃厚となっているが“綱渡り”で残りシーズンを戦う状態は続く。しかし「この勢いで、次からの3試合でシード権を決めたいね」と意気込んだ。

今大会で17年ぶりに起用したハウスキャディ。細川は最後まで芥屋ゴルフ倶楽部の伊勢順子さんに感謝した。「こっちがミスショットすると笑ってるんだから。でも、それで気楽にできた。どうしても帯同(プロ)キャディと一緒だと、自分のミスにこっちがイライラして、怒ってしまうこともあるからね。楽しい一週間でした」。シードを喪失して帰ってきた初優勝の場所で、つかんだものは決して小さくなかったはずだ。

この猛暑の中でのラウンドをしのぐため、伊勢さんは自宅から梅干をタッパーに入れてコースに持ち込み、プレー中に差し出していた。「梅干食べると、バーディが来たんだよ」と細川は笑顔でコースを去った。そして「幸せな4日間でした」とは伊勢さん。汗を拭くのも忘れ、2人は笑顔で再会を誓い合った。(福岡県糸島市/桂川洋一)

桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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