藤田幸希のスイングをスーパースローで見る
2011年 富士通レディース
期間:10/14〜10/16 場所:東急セブンハンドレッドC(千葉)
藤田幸希「私、成長しているのかな」
2週前に開催された「日本女子オープンゴルフ選手権競技」で、初日が6位タイ、2日目が8位タイ、3日目は少し後退して14位となった藤田幸希。そして最終日に9ホールを終えたところで突然“棄権”を申し出た。3週間前から痛みが出ていた右肩痛がピークに達し、スイングが出来なくなってしまったのだ。
先週は療養にあてて試合を休み、今週は予選通過を目標に試合への出場を決めた。極力練習量を減らす決意をした藤田は、指定練習日の水曜日は男子の「日本オープンゴルフ選手権競技」の会場に出向き、同じトーシン契約プロの薗田峻輔などの激励をしていた。
<< 下に続く >>
そして、大会中もスタート前にはショットの練習を行うが、ラウンド後はアプローチとパッティングのみに抑えて右腕への負担を軽減した。ラウンド中も、強く打ち込まないようにゆったりとしたリズムを心がけた結果、2日目を終えて首位と1打差の2位タイに浮上。
今季は何度か優勝を逃してきたという感覚を持つ藤田は、会見の場で「明日は勝ちに行きます。今年はチャンスがきても冷静にいようとして勝てていないので、明日は勝つ気持ちで行きます」と話していた。
藤田はこれまでツアー4勝を果たしているが、1打を争うデッドヒートの経験がない。1打差を追いかける立場で迎えた今回は、競り勝つための最高のポジションだと感じていた。奇しくも優勝を争う相手は、同じ最終組の選手ではなく、1つ前をラウンドするアン・ソンジュ(韓国)。「彼女のプレーを後ろで見ていたので、冷静にプレーができました」。
14番でボギーをたたき、1打差で逆転され2位に後退した藤田は、15番で7mのバーディパットを決めた。痛い右腕を3回、力強く握り締め闘志を前面に出した。「相手が強いと燃えるというのではないですが、崩れることはないと思っているので、自分が伸ばすしかないですよね」という藤田は、17番でアンのボギーを確認したが、最終18番まで気を抜かずにパーセーブを繰り返した。
「最近、周りから大人しくなったって言われることが多いんですよね。もう若手じゃないよ、プロでも中堅なんだからって言われて。たしかに、ゴルフに対する考え方もいろいろと、経験してきたかなって思いますね。私、成長しているんですかね」とおどけるあたりは以前と変わりはないが、確かに話し方が少し落ち着いてきた印象はある。「勝ちたいという気持ちをこれだけ強くもって勝てたのが初めてなので本当に嬉しいです」と率直な感想を話す藤田。新たな勝ちパターンを掴んだ藤田は、年間複数回優勝という目標をクリアすることが出来るかも知れない。(千葉県千葉市/本橋英治)