2018/12/26GDOEYE

フロム・センダイ(後編) 僕らは“松山英樹2世”じゃない

7年ぶり 2018年10月、シンガポールでの「アジアパシフィックアマチュア選手権」で7年ぶりの日本人チャンピオンが誕生した。20歳の金谷拓実(かなや・たくみ)は、10年&11年大会を連覇した松山英樹がかつて在籍した東北福祉大の現役の2年生。来年4月の「マスターズ」、7月「全英オープン」の2つのメジャーチケットを獲得した。 東北福祉大ゴルフ部は今年、創部30周年。節目の年に男女で「全国大学対抗戦」、「信夫杯争奪日本大学対抗戦」を制覇した。卒業生は続々とプロツアーへの門をたたき、強豪校の伝統が連綿と受け継がれている。前編の松山英樹インタビューに続く後編では、金谷らの言葉で強さの源泉をのぞいた。 *...
2018/12/25GDOEYE

フロム・センダイ(前編) 松山英樹とゆかりの地を歩く

住民票のある街 愛媛で生まれ、中高時代を高知・明徳義塾で過ごした松山英樹は当時、卒業後のプロ転向を断念し、東北福祉大に進学した。在学中の2011年4月に「マスターズ」でローアマチュアを獲得し、日本ツアーでも優勝。鳴り物入りで飛び込んだ13年には賞金王になった。翌年には主戦場を米国に移し、現在までにPGAツアーで5勝。世界のトッププロのひとりになって久しいが、今も多くの試合のティオフ時には、こう紹介アナウンスがある。 “From SENDAI JAPAN, Hideki Matsuyama”――― 拠点は米国・フロリダ州オーランドに置いている。それでも松山はいまだに国内の住民票を仙台市に預け、年...
2018/09/04GDOEYE

いちからわかるゴルフの大会ボランティア 役割、魅力、大変さは?

◇国内男子◇フジサンケイクラシック◇富士桜カントリー倶楽部(山梨県)◇7566yd(パー71) 11万人が必要とされる2020年東京五輪・パラリンピックのボランティアの募集が9月中旬から始まる。特に大会運営に携わるボランティアは1日8時間で10日間を基本とする無償の活動となるため、「集まるのか」といった声も上がっている。一方で、ゴルフのトーナメントもたくさんの無償ボランティアが大会運営を支えている。どんな役割を担い、どんな魅力や大変さがあるのだろうか?「フジサンケイクラシック」の会場で取材した。 ■花形はスコアラー ボランティアは大会の運営会社側がウェブサイトなどで募集を行う。人数は大会によっ...
2018/08/24GDOEYE

食べ放題&飲み放題 「RIZAP KBCオーガスタ」で実現できる理由

◇国内男子◇RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント 2日目(24日)◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡)◇7151yd(パー72) ダンスミュージックやポップスが一日を通してコースに響き渡る異色のトーナメント。芥屋GCで開催中の「RIZAP KBCオーガスタ」は、あす3日目(25日)に昨年に続いてアイドルグループのHKT48が会場でスペシャルステージを行う。同じく、今年も好評なのが、期間中毎日行われるフードコーナーの食べ放題、ビールの飲み放題サービス。初日、2日目も午前中から店舗前に行列ができた。 場内で食べ放題メニューを展開しているのが、地元福岡などに店舗を持つ7つのお店。メニューは、じとっこ...
2018/08/24GDOEYE

登場曲は“オバQ”で フィリピンから来た「キューちゃん」のファンサービス

◇国内男子◇RIZAP KBCオーガスタゴルフトーナメント 初日(23日)◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡)◇7151yd(パー72) ティオフ前の選手紹介で、各プレーヤーが事前に選んだ曲が場内に流れるのが恒例になったトーナメント。石川遼はSuperflyの「Force」、池田勇太は西部警察のテーマ、藤田寛之は地元福岡・香椎高の先輩である財津和夫の「サボテンの花」…。それぞれのお気に入りのメロディが流れる中、昭和のアニメソングはギャラリーのハートをグッとつかんだ。 「オバケのQ太郎」を選んだのは、アンジェロ・キュー(フィリピン)。日本ツアー参戦4年目、初勝利を狙う39歳だ。 6番(パー5)でのイーグル...
2018/10/15GDOEYE

「手を殺した」松田鈴英、父と乗り越えたパターイップス

◇国内女子◇富士通レディース 最終日(14日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6675yd(パー72) 目の前にあるカップに手は震えたという。「怖くなった。(震えが)止まらなかった」。松田鈴英はこの4年間パターイップスに苦しんできた。 地元滋賀県を離れ、福井工業大学附属福井高等で寮生活を送った時期。「もともと中学のころはパターうまかったんですよ」。きっかけや時期は明確には覚えていない。「たしか高校1年生のころ」。次第に決まらなくなり、恐怖心は手に伝わった。 部活の顧問らにも言わなかった。ツアーに帯同する父・直樹さんには当初「最近パターが決まらん」とだけ相談していたが、最後は「なんか手...
2018/06/24GDOEYE

豪華ランチに舌鼓 5万円チケットの観戦ボックスは週末完売

◇国内女子◇アース・モンダミンカップ◇カメリアヒルズCC(千葉県)◇6620d(パー72) 今年で7回目の開催を迎えた「アース・モンダミンカップ」は国内女子ツアーの「マスターズ」を目標に掲げ、高額賞金の4日間大会として2011年にスタート。当初1億円だった賞金総額は1億8000万円まで膨らみ、賞金女王争いを左右するビッグトーナメントとしてその地位を高めてきた。 ギャラリーへのホスピタリティにも独自のアイデアを取り入れ、2年目からはコース内の飲食(アルコール類は除く)をすべて無料にする試みを開始した。入場チケットは4日間セット券が2万円、当日券も平日5000円・土日10000円と高額だが、価格に...
2018/12/04GDOEYE

42年ぶりの珍事 年間1勝の賞金王・今平周吾への評価とエール

◇国内男子メジャー◇ゴルフ日本シリーズJTカップ◇東京よみうりカントリークラブ(東京)◇7023yd(パー70) 2018年の賞金王に輝いたのは、1億3911万9332円を稼いだ26歳の今平周吾。2位のショーン・ノリス(南アフリカ)に3500万円余の大差をつけて、「獲れたことはすごくうれしい」と初めて頂点に立った喜びを表現した。 「まだ実感はないです」と、手にしたばかりの賞金タイトルを冷静に見つめている部分もある。「終盤でなかなか勝ち切れなかった。目標は2勝だったので、もう少しだなと思う」。優勝は10月下旬の「ブリヂストンオープン」のみ。年間1勝で賞金王になったのは1976年の青木功に次ぎツア...
2018/07/10GDOEYE

72ホール完走断念の裏事情 天気予報にテレビ、予備日…

◇国内男子◇長嶋茂雄招待セガサミーカップ 最終日(8日)◇ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(北海道)◇7178yd(パー72) 台風7号から変わった温帯低気圧の影響により、地面を打ちつけるような大雨に見舞われた初日。天候の回復を見込めないまま、午前8時2分に中止が決まった。大会側は翌2日目の第1ラウンドスタート前、72ホールから54ホールの短縮を決定。数日前からの降雨によりコースの水はけが悪く、週末も悪天候が予想され、72ホール完遂に向けた最終日の36ホールプレーは困難と判断した。 だが、3日目の夕方には天気予報が変わり、最終日は予想されていた降雨や霧の気配もなく、ときに青空がのぞく天候に恵ま...
2018/07/09GDOEYE

将来はいい女将さんに? 勢と婚約の比嘉真美子

◇国内女子◇ニッポンハムレディスクラシック 最終日(8日)◇アンビックス函館倶楽部 上磯ゴルフコース(北海道)◇ 6378yd(パー72) 大相撲・東前頭2枚目の勢との婚約が明らかになったツアー4勝の比嘉真美子。「しばらくはお互いの競技に打ち込む生活が続いていくが、競技以外は私の持っている力すべてを使って、関取を支えていきたい」と今後の見通しを語った。 力士とプロゴルファーという異色のカップルだが、過去には阿武松親方(元関脇・益荒雄)と奥村久子さんのケースがある。コンペがきっかけで知り合って1995年に結婚。奥村さんは現在、阿武松部屋の女将として部屋を切り盛りしている。 比嘉は「将来的には女将...
2018/05/14GDOEYE

50歳・谷口徹の奇跡ではない物語

◇国内メジャー◇日本プロ選手権 最終日(13日)◇房総カントリークラブ 房総ゴルフ場(千葉県)◇7324yd(パー72) 勝負はグリーン上と踏んだ。全盛期をとうに過ぎたはずのベテランは、雨降る勝負どころで集中力を高めていた。「入れなきゃいけないときは、入れるしかない」。5mのウィニングパットを決め、22歳下の藤本佳則をプレーオフで下した。解き放たれたように豪快にこぶしを突き上げる。“プロ日本一”の称号を得た50歳の谷口徹は数分後、涙をためて「奇跡です」と声を絞り出した。 「ラフに入ると0.5罰打」。日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長が大会前に語ったように厄介なラフ、厳しいピンポジション...
2018/11/07GDOEYE

華やかだけどもったいない?模索が続くプロアマ戦

◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 事前情報(7日)◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡)◇7262 yd(パー70) 華やかで楽しいような、それでいてちょっともったいないような、この日のプロアマ戦だった。国内男子ツアーは2016年から、プロアマ戦ではプロもアマチュアと同じ前方のティグラウンドを使うように推奨している。 今大会もその方式。芸能人らも参加して、2025人という多くの一般ギャラリーを集め、エンターテイメントとしては魅力があったと言えるだろう。 だが、例えば松山英樹は本戦でのグリーンに向けた2打目以降を想定し、多くのホールのティショットで1Wではなくアイアンを使って刻んだ。ギャ...
2018/10/22GDOEYE

終盤4ホールで逆転 今平周吾と川村昌弘の激闘

◇国内男子◇ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 最終日(21日)◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉)◇7119yd(パー71) サンデーバックナインは、最終組の川村昌弘と今平周吾とのデッドヒートとなった。最大4打差を逆転された川村は、15番をカギに挙げた。 打ち上げの第2打をピンにからめ“お先に”バーディを奪った。林からの第2打を真横のフェアウェイに出すしかなかった今平の3mのパーパットを見つめた。これが決まり、潮目が変わった。2打差に広げながら「あれは実質バーディだった」 255ydの地点からほぼ直角に曲がる左ドッグレッグの16番(パー5)。ティグラウンドでは、右からのアゲンス...
2018/10/20GDOEYE

シャイな26歳は語らぬが…賞金トップ今平周吾の向上心と知識欲

◇国内男子◇ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2日目(19日)◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉)◇7119yd(パー71) 賞金ランキング1位の今平周吾が「65」でプレーし、29位から通算7アンダーの5位に浮上した。この日最多の9バーディを奪い、昨年6月の「関西オープン」以来となるツアー通算2勝へ好位置で週末を迎える。首位と2打差に迫り「優勝はしたい」とする一方、「自分が納得できるゴルフをしたいっす。きょうは70点くらい」と自己採点した。 シャイで無口に見られる26歳は、向上心と知識欲を人一倍持つ。大物の背中から吸収しようと必死だ。コンビを組む柏木一了(かずのり)キャディの提...
2022/09/05GDOEYE

コーチの評するド根性 大西魁斗が米国で育んだメンタル

◇国内男子◇フジサンケイクラシック 最終日(4日)◇富士桜CC(山梨)◇7541yd(パー71) 「根性、あるねえ」と名コーチも常々驚かされる。丸山茂樹の米ツアー3勝をサポートしたツアープロコーチで、大西魁斗を指導する内藤雄士氏は教え子の努力が実った瞬間を喜んだ。 2人が最初に出会ったのは2019年。知人を介して「悩んでいる子がいるから聞いてあげて」と紹介された。ほぼ我流で作り上げたスイングがかみ合わずに悩んでいた大学生は、探求心が強く大のゴルフ好き。初対面ながら次々質問をぶつけられ、スイングについて語り続けて気づけば3時間が経っていた。 「当時はいろいろ崩れている状態だったので、すべて作り直...
2022/12/30GDOEYE

「勝たなきゃ意味がない」の真意 渋野日向子は“後悔”を糧に

いつだって素直な渋野日向子の口から、いつにも増して切実な思いがこぼれた。1年目の米ツアー最終戦「CMEグループ ツアー選手権」開幕前日の11月16日。序盤で続いた優勝争い、苦しい試合が増えた中盤以降も含めて戦い抜いてきたシーズンを総括したときのことだった。 「ホントにいろいろな経験はできたけど、でも、まあ、勝たなきゃ意味がない。まだそこまでね、思いが強くなかったのが…。そこに対して、あんまり強い思いでやっていなかった。ちょっと最近、それを後悔しています」 決して、はなから優勝を度外視して戦っていたというわけではない。「自分自身が一番、自分を信じていなかったから。勝てるとも思っていなかったし…...
2023/01/30GDOEYE

できなかった“勘違い” 蝉川泰果が米ツアー3連戦で得たもの

◇米国男子◇ファーマーズインシュランスオープン 最終日(28日)◇トリーパインズGC サウスコース(カリフォルニア州)◇7765yd(パー72) 蝉川泰果をコースで取材するのは昨年10月「日本オープン」以来のことだった。大会95年ぶりのアマチュア優勝、史上初のアマでツアー2勝を成し遂げてから約3カ月。「ソニーオープンinハワイ」から始まったPGAツアースポット参戦3試合目を前に「だんだん“うつ”みたいになってきますね」と苦笑いした。口調は冗談めかしていても、やはり自信が揺らいでいるように映った。 直前の「ザ・アメリカンエキスプレス」では予選ラウンド3日目に9バーディを奪った。悔しいダブルボギ...
2022/10/18GDOEYE

プレーだけじゃない PGAツアーの魅力を感じた4日間

◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ 最終日(16日)◇アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉)◇7079yd(パー70) 2年ぶりにPGAツアーと日本ゴルフツアー機構(JGTO)の共催で行われた「ZOZOチャンピオンシップ」。第4回大会の今年は、リッキー・ファウラーと最後まで激しい優勝争いを繰り広げたキーガン・ブラッドリーが4年ぶりの復活優勝を遂げて幕を下ろした。 PGAツアーの日本初開催となった2019年の第1回大会は、タイガー・ウッズがサム・スニードの持つツアー最多勝に並ぶ通算82勝目というメモリアルな記録を作った。コロナ禍による渡航制限の影響もあり、米国本土での開催を余儀なくされ...
2022/10/10GDOEYE

アジアの有望選手を引き込めるか JGTOは英語版サイトを強化

◇国内男子◇For The Players By The Players 最終日(9日)◇THE RAYSUM(群馬)◇7137yd(パー71) 日本ゴルフツアー機構(JGTO)公式サイトの英語版に今季からオリジナル記事が掲載されるようになった。最終日はフィリピンのジャスティン・デロスサントスが特集された。 2020年まで13年間アジアンツアーの広報担当者だったカルビン・コー氏が今週、シンガポールから来日。オフィシャルライターの1人として海外勢を中心に取材した。 3年前から英語版は掲載されていたが、日本語記事が翻訳されていただけだった。そこでより世界に向けて発信するべく、英語版強化に本腰を入れ...
2022/10/11GDOEYE

「他人のことなんて誰も気にしない」 上原彩子のルームシェア後日談

◇米国女子◇LPGAメディヒール選手権 最終日(9日)◇サティコイGC(カリフォルニア州)◇6551yd(パー72) 決勝ラウンド前夜に突然始まったパーティーに、さすがの上原彩子もちょっと怒った。「日本の当たり前は、ここでは当たり前じゃない」。今週も、それをひしひしと感じた一週間だった。 大会前に急きょ用意した宿が、そうとは知らず海外の選手3人と共用だった。ベッドルームは別々で、リビングとキッチンが共用の一軒家。「不思議な感じ」と、人生で初めてのルームシェアはちょっとしたハプニングであふれていた。 28位で予選を通って宿に帰ると、日が落ちた頃からほかの部屋が騒がしい。予選落ちをした選手が仲間内...