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「手を殺した」松田鈴英、父と乗り越えたパターイップス

◇国内女子◇富士通レディース 最終日(14日)◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6675yd(パー72)

目の前にあるカップに手は震えたという。「怖くなった。(震えが)止まらなかった」。松田鈴英はこの4年間パターイップスに苦しんできた。

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地元滋賀県を離れ、福井工業大学附属福井高等で寮生活を送った時期。「もともと中学のころはパターうまかったんですよ」。きっかけや時期は明確には覚えていない。「たしか高校1年生のころ」。次第に決まらなくなり、恐怖心は手に伝わった。

部活の顧問らにも言わなかった。ツアーに帯同する父・直樹さんには当初「最近パターが決まらん」とだけ相談していたが、最後は「なんか手が動かない感じになっている」と白状した。親子二人三脚、順手からクロスハンドに握り方を変え、何本もパターを交換した。

昨年7月のプロテストで勝みなみ新垣比菜ら1学年下の世代をおさえトップ合格した。「いつもより決まったけど、本当にショットが絶好調だっただけ」。後半戦の出場権を手にし、スポンサーもついた。期待は重く「あの状態で活躍できるなんて思わなかった」。昨年の14試合で10試合の予選落ちを喫し、1ラウンド平均32パットを要した。

「めちゃくちゃ近くから本当によく外した。1mから3パットなんかも頻繁。手がきちんと動かないから変な方向に球が出る。ずっと予選も通れなかった。でも、あの状態だったらそうなると思う」。

今年の春からはクローグリップに挑戦。右手でパターのグリップを握る代わりに親指、人差し指や中指を使ってグリップを挟むようにして持つ。女子選手には少し不格好に思えるスタイル。「ちょっと嫌だったけど、でもそんなこと言っている場合じゃなかった」。左手にはグローブをしたまま打つことにした。

どちらも「とにかく感覚を変えないといけない。動かなかった手を殺さなきゃと思った。勘ですね」という直樹さんからの提案だった。試合後、松田は「これだったらいけそう」と手応えをつかんだ。

優勝した成田美寿々に2打届かない自己ベストタイの3位で終えた。終盤15番で2mのスライスラインを外し、17番(パー3)は「良いライン」の4mを決められなかった。初日に35パットするなどまだまだパッティングが足を引っ張る。ただ「きょうも結構外したけど、もう少し伸ばせたら(優勝も)いけるかなと思えた。いまは怖さはまったくない。オトンのお陰」。夢見ることすらできなかった優勝に手が届きかけた最終日だった。(千葉市緑区/林洋平)

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