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50歳・谷口徹の奇跡ではない物語

2018/05/14 11:30


◇国内メジャー◇日本プロ選手権 最終日(13日)◇房総カントリークラブ 房総ゴルフ場(千葉県)◇7324yd(パー72)

勝負はグリーン上と踏んだ。全盛期をとうに過ぎたはずのベテランは、雨降る勝負どころで集中力を高めていた。「入れなきゃいけないときは、入れるしかない」。5mのウィニングパットを決め、22歳下の藤本佳則をプレーオフで下した。解き放たれたように豪快にこぶしを突き上げる。“プロ日本一”の称号を得た50歳の谷口徹は数分後、涙をためて「奇跡です」と声を絞り出した。

「ラフに入ると0.5罰打」。日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長が大会前に語ったように厄介なラフ、厳しいピンポジションに多くの選手が苦戦した。悪天候もあり、我慢比べとなって、優勝スコアはここ5年で最も低い通算6アンダーになった。

谷口も、ラフに苦しんだ。大会4日間のフェアウェイキープ率は57.14%の全体30位タイ。「ティショットは悪かった。でもどんな手段でも、パーを拾うことでつながっていく。タイガー・ウッズだってパーを拾っていけばチャンスは来ると言っていた」。

幾度となく訪れたピンチはグリーン上で回避した。正規の72ホールのうち半分の36ホールが1パット。終盤はプレーオフ2ホールを含め、最後の4ホールで5mを3度決めた。

飛距離やショット精度では、若手選手に劣る。2002年と07年の賞金王は、衰えを素直に認める。「むかしはショットでもパットでも圧倒できるパフォーマンスがあったけど」。健康そのものだが、がむしゃらだった昔と違い、トレーニングでは体の左右のバランスを気にし、ケガをしないように負担をかけすぎない。下位にいるときは、モチベーションの発揮は難しい。「やっぱり裏街道のときなんかギアはなかなか入らない」。だが、チャンスと見ると獲物は逃さない。

PL学園高で同学年の元プロ野球選手の桑田真澄さんや清原和博さんが現役を退いたとき「プロゴルファーに引退はない。もっと頑張らないといけない」と感じた。野球やサッカーは球団やチームからときに戦力外通告をくらうが、引退時期を自分で決められるプロゴルファーは経験に裏打ちされた嗅覚や感覚が武器になる。

米ツアーでは今年3月の世界選手権シリーズ「WGCメキシコ選手権」で47歳のフィル・ミケルソンが、23歳下(大会当時)のジャスティン・トーマスをプレーオフで破り6年ぶりに優勝した。欧米ツアー通算45勝の60歳ベルンハルト・ランガー(ドイツ)はかつて「ゴルフはサッカーやフットボールと違う。スピードや強さじゃない。自分自身を知ることが大切」と言った。

日本ツアーの誇る中年の星は自らの現状をこう分析する。「アイアンだって精度は落ちている。メンタルが強いとも思わない。でも、きれいなゴルフだけじゃ優勝できないことは分かる。いくらショットが良くても、パットが決まらないと勝てない。最後のグリーン上は感覚を信じた」。50歳の優勝物語は、決して奇跡ではない。(千葉県睦沢町/林洋平)

林洋平(はやしようへい) プロフィール

1991年、横浜市生まれ、A型。大学卒業後の2015年にGDO入社。チーム内では最年少。トーナメント取材に行くが、自身のプレーは勉強中。当面の目標はドライバーをスライスさせないこと。大のビール党で、出張先の名物で晩酌するのが、ささやかな楽しみ。

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