感情と、自らのゲームをコントロールするタイガー・ウッズ
1997年 全米オープン
期間:06/12〜06/15 場所:コングレッショナルCC(メリーランド州)
試合は雷雨で中断。加瀬秀樹は現在1オーバー。タイガーは追い込んで現時点で9位グループ
心配されていた雷雨がやはり襲来して第2ラウンドは約2時間半にわたって中断。遅くスタートした組は途中で日没となり、続きは土曜に繰り延べということになった。加瀬秀樹は9番終了で中止。この時点では踏みとどまって1オーバー。またジャンボは12番で9オーバーと変わらず。
加瀬にとってはこのサスペンドがよかったのか、悪かったのか。初日の貯金をズルズル減らし始めているだけに、ここで一休みすることでまた新しい気持ちでプレーできるようなら幸いというべきだろう。しかしいずれにしても、明日の土曜は忙しい。ほとんど練習もできずに続きのプレーを継続しなければならないのだから。
<< 下に続く >>
初日4オーバーと出遅れたタイガー・ウッズはその点、ラッキーだったと言えるだろう。2ラウンド目のスタートが早かったため前半では天候を気にせずプレー。1番、3番、5番、7番とバーディを奪取。前日のイメージを完全に払拭するような自信に満ちたプレーぶりだった。15番を終えた時点では1アンダー。
モンゴメリーは確かに5アンダーと大幅な貯金をもっているようだが、このコングレッショナルでは貯金ほど不確かなものはない。ちょっと崩れたら、5つや6つのアドバンテージなどあっというまに無くなってしまう。タイガーがアンダーパーの世界に突入した時点で、もう事実上の優勝圏内に足を踏み入れたといってもよかった。
実際、モンゴメリーは2ラウンド目を76。初日と11打も違うスコアを叩いてしまった。平凡な選手ではなく、絶好調、欧州の4年連続賞金王でさえ、こうなってしまう。全米オープンという特殊な舞台、USGAが総力をあげて設定したコースコンディションが、こういう結果をもたらす。だから油断がならないし、見ているほうにすればワクワクしてしまう。
劇的な快進撃かと思われたタイガーも終盤の16番、17番でボギー。せっかくの貯金を減らしてしまった。なにかが特に悪かったからボキーになったというわけではなく、ほんとうに紙一重のショットの転がりが、パーとボギーを分けてしまう。フェアウェイかセミラフか。セミラフかディープラフか。その差があっというまに1打、2打の相違となって跳ねかえってくる。
このコースでは、パーを持続できるというだけで、信じられないようなツキと実力とノリのある選手なのだ。バーディ? バーディは神業とでもいうしかない。あるいは普通のトーナメントでのホールインワンのようなものだ。
だから、たとえば5アンダーを続けて2日出すことなんか不可能。どんな名選手でも、ホールインワンを狙って入れられますか? 極端な例えかもしれないが、実際、そんな程度のレベルではないだろうか。
タイガーが失地回復をはかってどんなに巧みに攻めたとしても、神様の領域にまでふみこむことはできない。初日の4オーバーを1オーバーに戻しただけで、素晴らしいプレーだったと言うべきだ。もし、明日もまた3打縮めることがもしできれば、あっというまに2位か3位。ひっとしたらトップかもしれない。もう一回67を出したら? 間違いなく優勝だ。考えようによっては、一瞬も気を許せないサディスティックな試合。それが全米オープンなのかもしれない。
第2ラウンドが終了していないため断定はできないが、現在のところマーク・マクナリティは2アンダー(14番)、デビッド・オグリン1アンダー(17番)、ハル・サットン1アンダー(15番)、スコット・ホークがイーブン(15番)。このあたりが上位にくる可能性が高い。
特派・近藤雅美