「見られているのはスコアじゃない」忘れられない2009年の最終戦/不動裕理コラム

2026年 不動裕理
ギャラリーのみなさんに思うこと (Atsushi Tomura/Getty Images)

国内女子ツアーで通算50勝をマークした不動裕理は、50歳になる(1976年10月14日生まれ)一年も精力的に活動を続けている。昨年は「日本女子シニアオープン」で優勝し、レギュラーツアーにも7試合に出場。日本ゴルフのレジェンドはどんなキャリアを過ごし、いま何を思うのか。GDOの連載コラムで胸の内を明かす。

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サッカーのFIFAワールドカップが世界中を盛り上げていますね。私はあまりサッカーを観ないのですが、サポーターの献身的な応援ぶりを目にすると、自分も長年ファンのみなさんに励まされてきたなぁ…としみじみ思います。

結果がいい時も、悪い時も変わらずに応援してもらえることが、本当にうれしいですね。賞金女王時代だけでなく、シニアの年齢になった今でも会場に足を運んでくれる方たちがいる。特に苦しい時の応援はより心に染みますし、ありがたいなと感じます。

忘れられないのは、2009年の最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。すごく調子が悪く、2日目から最終日まで第1組でのスタートで、しかも(出場選手の人数が奇数で2サムプレーだったため)ひとりラウンドだったんです。優勝争いとはかけ離れた位置(出場23人で21位タイ)での私のプレーに、ギャラリーが大勢ついてきてくれた。「ひとりだけの、こんなに悪いゴルフでも、たくさんの人が見に来てくれた」って…なんていうか、胸が熱くなりました。

あの時初めて「見られているのはスコアじゃない、私がゴルフに向かう姿勢を、みんなは見てくれているんだ」と思えた。その年は優勝のないシーズンだったんですが、悔しさよりも最後にそう気づけたことは優勝以上の財産になりました。

そもそもプレーするわけではないのに、18ホールを歩き切るなんて本当にすごいことですよ。ギャラリーのみなさんは大変です。私たち選手はフェアウェイの歩きやすいルートを進めますが、ギャラリーロープの外は足場の悪いところもあるし、必ずしも平らではありません。それでも、チケットを買って、アップダウンがきついコースでも同行してくれる。…って文字にすると余計に頭が下がる思いです。

ゴルフはみなさんが静寂を作りながら応援してくれる競技ですよね。でも実を言うと、私は周りの音は気にならないタイプで、自分のキャディが「プレー入ります!」なんて音を止めてもらうのは、本当はあまり好きじゃない。もちろん、見られている、という適度な緊張感が自分のプレーにとってプラスの要素になっているとは感じています。

コロナ禍での無観客試合を思い出します。やっぱりギャラリーのいない試合は寂しかった。とくに終盤ホールなどは盛り上がりに欠けました。大歓声の中でプレーする時の高揚感は、プロゴルファー冥利に尽きるものでもありますから。

これだけ長く熱心に応援していただいているのに、私からファンのみなさんに何かを還元できたことはないなぁ、と思います。ラウンドが終わった後に「ありがとうございました。お疲れさまでした」と言葉をかけるくらいで。もどかしいところです。

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