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2021年 トラベラーズ選手権
期間:06/24〜06/27 場所:TPCリバーハイランズ(コネチカット州)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

8ホールの死闘にあっぱれ 極限プレーオフは腰が抜ける?

コネチカット州TPCリバーハイランズで行われる「トラベラーズ選手権」の日曜日は、近年数多くのドラマが起きています。2016年大会にジム・フューリックがPGAツアー唯一の「58」を出し、翌年はジョーダン・スピースがバンカーからのチップインバーディで決める劇的な優勝。そして、今年はハリス・イングリッシュクラマー・ヒコックによってPGAツアーで2番目に長さに並ぶ8ホールのプレーオフが繰り広げられました。

サドンデス方式に限れば、1949年「モーターシティオープン」の11ホールがツアー最長記録。暗闇で続行できなくなり、ロイド・マングラムとケリー・ミドルコフの両者優勝、優勝者と2位の賞金を2人でキレイに分け合うという珍しい結末でもありました。

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8ホール目での決着は今大会が6度目。前回が12年「マヤコバクラシック」、その前が1983年「フェニックスオープン」までさかのぼりますから、やはりレアな出来事です。

7ホールはパーを並べる展開でしたが、ホールごとに勝利の女神から試されるかのような息のつけない展開。互いに外したら終わるというクラッチパットを決めるたびに相手をサムアップで称える紳士的な態度が胸を打ちました。

どちらが勝つかわからないというより、どちらにも勝ってもらいたい。ふと、セルヒオ・ガルシア(スペイン)とジャスティン・ローズ(イングランド)が戦った17年の「マスターズ」を思い出しました。

僕も松山英樹選手のキャディとして5度のプレーオフを経験しました。PGAツアー5勝のうち、3勝がプレーオフ。「フェニックスオープン」では16、17年と2年続けて4ホール目までもつれました。

リッキー・ファウラーと激突した16年は完全アウェーの異様な雰囲気に包まれていました。一瞬たりともスキを見せられない、極限のプレッシャー。緊張と疲労からか途中で腰が抜けそうになりました。座ったりしたら立ち上がれなくなりそうで、全身に力が入りっぱなしだったことを覚えています。

その倍のホール数を戦い抜いた2人にはリスペクトしかありません。勝ったイングリッシュは1月「セントリートーナメントofチャンピオンズ」が8年ぶりの優勝。2勝目から3勝目まで193試合を要しましたが、今回はその3勝目を挙げてからわずか14試合目です。

派手さはなくても、トータルドライビング9位、スクランブリング8位(64.16%)、平均パット21位(1.732)というスタッツ面を見てもオールラウンダーぶりは明らか。今シーズン2度行われた「全米オープン」では4位と3位に入るなど、年間ポイントレースで2位、世界ランキングも31歳にして自己最高12位まで上がり、タレントぞろいの米国にあって初の「ライダーカップ」メンバー入りも見えてきました。

イングリッシュから「とんでもないファイター」と称賛されたヒコックにも拍手を送りたいです。テキサス大ではスピースの先輩にあたる29歳。PGAツアー未勝利、これまでシードも獲得したことのない選手です。家族とともに最後まで戦いを見守っていたのがサム・バーンズでした。5月「バルスパー選手権」で一足早く初優勝した年下の親友を追いかけての奮闘。また一人、注目の選手が出てきました。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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