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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

米国選抜打倒のキーマン “ダブルス巧者”そろう豪州&南ア

PGAツアー唯一のダブルス戦「チューリッヒクラシック・オブ・ニューオーリンズ」をマーク・レイシュマンキャメロン・スミスのオーストラリアコンビが制しました。

松山英樹選手のキャディとして何度か経験したダブルス戦。世界選抜と米国選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」、石川遼選手との同学年ペアで挑んだ2016年「ワールドカップ」、17年には谷原秀人選手とのチームでこの試合にも出場しました。その17年大会でヨナス・ブリクスト(スウェーデン)とともにツアー初優勝を飾ったのがスミスでした。

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ダブルス戦でもっとも大事なのは、ボギーを打たないこと。そこに“打順”の要素も絡んでくるのが、このフォーマットならではの面白い部分です。

フォアボール(別々のボールでプレーして良い方のスコアを採用)でも、フォアサム(ひとつのボールを交互に打ってプレー)でも、先に打つ選手はセーフティなショットでパートナーの負担を減らすのがセオリー。当たり前のようで、これが意外と難しいのです。

後からもう一人が助けてくれると思えば、アグレッシブにピンを狙っていくこともできます。しかし、果敢に攻めてミスしたときはパートナーに大きな負担をかけてしまうことになります。

先にフェアウェイに置く、しっかりとグリーンに乗せる、パットもいきなり狙いにいきすぎない…パートナーを気持ちよくプレーさせること、お互いのミスをフォローすることが重要です。気を遣いすぎるのも良くないですが、責任を押しつけ合ってギスギスしまったら、コンビを組んで大会に出場するほど仲良しの2人であっても友情にヒビが入ってしまうかもしれません(笑)。

オーストラリアチームのコンビネーションは抜群でした。そろってメンバー入りした19年「プレジデンツカップ」では主将を務めたアーニー・エルス(南アフリカ)の指示で別々の選手とペアを組むことになって驚いたそうですが、18年「ワールドカップ」では2位に入った実績のある2人です。お互いのキャディ同士も親交が深く、今週は4人でコース近くに家を借りていたと聞きます。

最終日が行われた4月25日は第一次世界大戦の戦没者を追悼し、オーストラリアやニュージーランドで休日となっている「アンザックデー」とあって気合もみなぎっていました。若く勢いのある27歳を温厚な兄貴分的存在の37歳が巧みにフォローする構図。スミスがティショットを池に入れた直後、レイシュマンがチップインバーディを決めた後半16番は象徴的なシーンだったと思います。

南アフリカのルイ・ウーストハイゼンシャール・シュワルツェルの活躍も、やはり「プレジデンツカップ」でのダブルス戦の経験が大きいでしょう。15年大会ではブランデン・グレースとの強力デュオで米国選抜をあと一歩のところまで追いつめたウーストハイゼン、松山選手も17年大会でペアを組んだことがあるシュワルツェル。

初めて一緒にプレーしたのはウーストハイゼンが12歳、シュワルツェルが10歳のときのジュニア大会だったといいます。ともにエルスがジュニア育成のために設立した基金のサポートを受けて力をつけ、若手時代には2人で国を代表して世界各地を転戦したこともあったとのことですから、プレーオフまで優勝を争ったのも納得のチームワークでした。

特にレイシュマン、スミス、ウーストハイゼンはノースカロライナ州クエイルホロークラブで開催される22年大会でも世界選抜に名を連ねる可能性が高い選手たち。現時点ではチームトップランカーにあたる松山選手とともに、米国選抜のホームで番狂わせを期待したいですね。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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