ゴルフも手術も戦略が大事。陛下の執刀医・天野教授に聞く
“iPS細胞”山中教授、実はゴルフに悩んでいた
「週刊ゴルフダイジェスト」(2013年1月8・15日号)より
iPS細胞の研究で、2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥・京都大学教授。その山中教授は実は熱心なゴルファーだということをご存じだろうか。調子がいいと70台も出るなかなかの腕前の持ち主だ。しかし教授は、たびたび出てしまうシャンクに悩んでいた。そんな山中教授の悩みを一発解決したのは、藁にもすがる思いで(!?)その門を叩いた、山本幸路プロの指導だった。
山中教授が、プロコーチの山本幸路のもとへレッスンを受けに訪ねてきたのは2012年8月のこと。「知人が山中先生とゴルフ仲間で『山中さんがシャンクに悩んでいるので見てあげてよ』と」
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さっそく、スタジオで山中教授のスウィングを見ると、バックスウィングをアウトに上げ、ダウンではインサイドからクラブが下りてくる。普通に当たればドローで距離も出るが、タイミングがズレるとシャンクも出やすいスウィングだったという。
「だったら、インサイドに上げて、極端にアウトサイドから下ろす意識で振りましょう、とアドバイスしたんです。この逆療法をしばらく続ければ、自然と軌道が修正されますから、と。翌日、先生から『教わった打ち方で500球打ちました』というメールが届き、すごく熱心な方だなぁって」
その後も山中教授は教わったスウィングだけをやり続け、短期間でシャンクを克服。そして70台が出るまでに調子がよくなったのだという。さすがノーベル賞を受ける研究者だけあって、ゴルフにも実に真摯に取り組む姿勢がうかがえる。
「そんな単純な方法で? と先生は驚いていました。結局、多くのアマチュアの人はスウィングを難しく考えすぎだと思います。忍耐が必要ですが、山中先生のように繰り返し続けることで、バランスのいいスウィングに自然に修正されていくんです」
実はこの極端な動きでスウィングを修正する方法は、世界のトッププロも実践しているもの。他にも様々な“アイデア練習”を勧める山本プロ。山中教授を上達させたのだから、その教えはまさに“ノーベル賞級”かも。
●山本幸路 ツアープロ時代には関西オープンや道東オープンなどで7勝をあげる。現在は高山忠洋や富田雅哉のコーチを務める。「エスブランドゴルフアカデミー」(兵庫県・西宮市)を中心にレッスン活動を展開。