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2017年 ザ・ホンダクラシック
期間:02/23〜02/26 場所:PGAナショナル(チャンピオン)(フロリダ州)

<選手名鑑228>ブラント・スネデカー(前編)

■ツアー初の快挙!新人王と年間王者の二冠達成

新人王は、ルーキーの中で最も活躍した選手に与えられる賞で、PGAツアーの選手たちの投票で決まる。年間王者は出場試合の成績に応じたポイントを積み重ね、そのシーズン1位の選手に与えられる。新人王は選手にとって生涯1度限り、年間王者は毎シーズンの大きな目標となる。その両方に輝いた選手はブラント・スネデカー(36)と、ジョーダン・スピース(23)の2人だけ。PGAツアー史上、初めて2冠を獲得したのがスネデカーだった。

07年、スネデカーはツアーデビュー4戦目のビュイック招待で、タイガー・ウッズとの優勝争いを繰り広げて単独3位になり、強いインパクトを与えた。同年3月のウィンダム選手権では、最終日18アンダーで、首位のジェフ・オバートンに5打差発進。前半6バーディの「30」で一気に追い上げると、後半も終盤で4バーディを奪う猛攻で「63」をマークして22アンダーまで伸ばし、驚異的な逆転優勝を飾った。クイックで気持ちいいリズムで放つショット、果敢な攻めは“ミラクル・ミラー”と称されたジョニー・ミラーを彷彿とさせた。その後も2位が1回、トップ10に6回、獲得賞金を283万ドル余りに積み上げ、ランク17位の大活躍。ほかの選手たちの圧倒的な支持で新人王に選ばれた。

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■世界選手権シリーズ最少スコアの「60」をマーク

07年は、ポイントによる年間王者が創設された最初のシーズンだった。当時はタイガー・ウッズビジェイ・シンら強豪がひしめく激戦時代で、スネデカーは新人王戴冠から5年後の12年、ついに念願の年間王者に輝いた。

12年は序盤から素晴らしいプレーを展開し、1月に行われたファーマーズインシュランスオープンの最終日を、首位のカイル・スタンリーに7打差でスタートした。スネデカーの優勝は遠いと思われたが、スタンリーが最終18番で池に打ち込みトリプルボギーとして、勝敗の行方はプレーオフへと持ち越された。ショックを隠し切れないスタンリーは、2ホール目をボギーとし、スネデカーは鮮やかな大逆転で優勝した。同年は全英オープンでメジャー自己ベストの3位に食い込むなど快調で、ランク19位でプレーオフシリーズへ突入。シリーズ初戦のバークレイズで2位となり、ランク5位で最終戦ツアー選手権に進出すると「優勝すれば年間王者確定」というミッションを達成した。その瞬間、07年の新人王に加え、年間王者に輝いたツアー最初の選手になった(その後、スピースが13年に新人王、15年に年間王者に輝き、2番目の両賞受賞者になった)。

スネデカーはオフをはさんでも好調が続き、同年11月に中国ミッションヒルズGCオラサバルコースで開催された世界選手権シリーズHSBCチャンピンズの3日目、あわや50台に迫る「60」でプレー。順位は11位に終わったものの、「60」は世界選手権におけるベストスコアで、今もなお破られていない。

■たぎる「何くそッ」魂! 自己ワースト「84」から翌月優勝へ

年間王者から3年が経過した15年末に、“最悪の日”は訪れた。12月のPGA選手権初日、会場のロイヤルパインリゾートは強風が吹き荒れていた。懸命にプレーし、前半を1バーディ、4ボギーの「39」で耐えたものの、後半は1トリプルボギー、1ダブルボギー、4ボギーとして、「45」の大叩きで失速。初日スコアを「84」として、プロ転向後のワーストスコアになった。この日は156人が参加し、80以上のスコアでプレーした選手は32人もいた。最も悪いスコアは、アレックス・ガウガート(米国)の「89」で、いかに難しい条件だったかが分かる。ガウガートは失意からか、2日目に棄権した。

スネデガーは2日目も「75」とスコアを落として予選落ち。足の手術を経て復帰初戦となった帯同キャディのスコット・ヴェイルに優勝をプレゼントしたかったが、残念な結果に終わり、大きなショックを受けた。強風下とはいえ「84」に危機感を覚えたスネデカーは、試合が行われていた豪州から、コーチのブッチ・ハーモンが住むネバダ州ラスベガスへと直行。特別セッションを何度も繰り返し、翌16年を迎えることになった。

年が明けた1月早々、豪州での悪夢を払拭する絶好の機会が訪れた。サンディエゴ郊外開催のファーマーズインシュランスオープンの最終日は、豪雨による悪天候で、多くの選手がスコアを崩した。だがスネデカーは最終日を「69」として、通算6アンダーでホールアウト。荒天で試合は中断し、翌月曜日に順延となった。その時点で、首位は10番を終えたジミー・ウォーカーの通算7アンダーだった。月曜日には雨も上がり晴天となったが、相変わらずの強風で、大半の選手はスコアを崩し続け、トロフィーは最後まで耐え抜いたスネデガーの手に渡ることとなった。最終ラウンドは、80以上でプレーした選手が23人、最も悪いスコアでプレーした選手はスコット・ブラウンの「87」だった。アンダーパーでのプレーは、全71人中、スネデカーただひとりだった。

驚異のバウンスバックは13年にもあった。全英オープンでパットの名手スネデカーが、大会2日目に4パットなどを喫し、4ダブルボギーの「79」でプレーした。だが3日目は「69」、最終日は「72」で挽回し、11位タイでフィニッシュした。失敗を失敗のまま放置せず、即エネルギーに転嫁するガッツこそ、男スネデカーの真骨頂と言える。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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