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<佐渡充高の選手名鑑 82>マイケル・トンプソン

■ アマ世界ランク1位でプロ転向も、マイケル・トンプソンってどんな選手!?

マイケル・トンプソン(28)と言って「あー、あの選手!」と明確なイメージを抱く読者は少ないかもしれない。しかし彼はプレースタイルもルックスも際立つ個性はないが、ポテンシャルを秘めた注目すべき選手だ。トンプソンといえば、昨年の全米オープンで優勝したウェブ・シンプソンに、1打及ばず2位タイでのフィニッシュで存在をアピール、今季はホンダクラシックで念願の初優勝を飾った。世界ランク114位から、一気に50位以内に浮上し(現在45位)、米国でもようやくトッププロとして認知されはじめた。

1985年アリゾナ州ツーソンで生れたトンプソンは、ニューオリンズにあるトュレン大学に進学したが、校舎や部室などがハリケーン・カトリーナで甚大な被害に遭い、ゴルフ部は廃部に。母校へ強い思いを残しながら、ゴルフを続けるためにアラバマ大学に転校した。ニューオリンズ復興への熱い思いを秘め、カレッジゴルフで次々に目標を達成。2008年の全米オープンではローアマに輝き、翌週のトラベラーズ選手権に推薦出場を果たすと、見事予選通過。2試合続けての快挙だったが、当時は3歳下のリッキー・ファウラーが話題をさらってしまった。そしてトンプソンは、大学卒業後の2008年にプロ転向を果たすと、アマチュア世界ランク1位という実績を備えていたが、ヨーロッパで、同じく世界ランク1位のアマチュアだったロリー・マキロイのような目立った存在感はなく、トンプソンのプロ転向は小さな話題に留まった。トンプソンは常に大小のゴールを設定し、ファウラーやマキロイと言った話題の中心人物のすぐ近くで、静かに着実に目標へと辿り着いてきた。そんなこれまでの経歴と重なるように、気がつけば優勝をさらうような“クワイエットキラー”になろうとしている。

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■ 女性たちの強力なバックアップ

トンプソンはツアーでは珍しく女性コーチに師事している。アリゾナ大学出身でLPGAでもプレー経験のあるスージー・メイヤーズ(53)で、14歳の時に出会い、現在に至るまでコーチは彼女1人だけ。アマチュア時代に、全米オープンでローアマになった際も、彼のプロ顔負けの冷静沈着なプレーは、メイヤーズの“ZEN(禅)”の考え方を取り入れた助言(インサイドがアウトサイドを動かす)の影響が大きかったと話題になった。そして妻レイチェル(旧姓もトンプソン)のサポートも大きい。トュレン大学在学中に知り合い、ミニツアー時代にはキャディとして支え、優勝した経験もある。彼女もハリケーン後にエモリー大学に転校し、フィジカルセラピーを専攻して医師として従事。トンプソンは心も体も、頼もしい女性たちのバックアップで思う存分プレーに邁進している。

■ 「攻めと忍耐」の絶妙コントロール

ツアー初優勝となった今年3月のホンダクラシックのプレーぶりは、“粘り”という彼の持ち味をよく表していた。世界の強豪らが集結する大会、そして舞台は難コースであるPGAナショナル、最終日は強風という難コンディションと、強力な集中力や忍耐力を競うメジャーのような雰囲気が漂う中、攻めながらも、幾度とピンチを凌いでアンダーパーでプレーし、最後は2位のジェフ・オギルビー(豪)に2打のリードで逃げ切った。ほとんど表情を変えることのない彼だったが、最後のパットを沈め、張り詰めていたプレッシャーから解放された瞬間、表情がほころび両手ガッツポーズで喜びを表現した。トンプソンの「耐えながら攻める」スタイルはメジャーやビッグイベントで不可欠な要素。“初優勝”という第一目標を達成したトンプソンには、ますます活躍の気配が漂う。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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