石川遼の戦績&プロフィール
2011年 ザ・ツアー選手権
期間:09/22〜09/25 場所:イーストレイクGC(ジョージア州)
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第十三回】
PGAツアーに、石川遼選手が参戦するにはどのような方法がありますか?
基本的には、①前年度の賞金ランキング125位以内(相当の賞金額:注1)、②Qスクールを突破する、③出場した試合で優勝する、この3つしかありません。現在、石川選手が参加しているのはスポンサー推薦という資格です。このスポンサー推薦という資格は、各試合4つの枠しかないので、競争率が激しく、その大会で推薦を受けるのはかなり大変なことです。そしてもう一つは、マンデークオリファイと言って、月曜日に出場希望者を募ってラウンドを行い、上位4人に出場枠が与えられるという資格です。このマンデークオリファイでは、5アンダー、6アンダーなど好スコアを出さないと上位4人に入るのは難しく、スポンサー推薦同様かなり高い壁と言えるでしょう。
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さらに世界選手権に関して言えば、世界ランキングトップ50位以内に入るという資格です。石川選手はその資格も含めて、今年ここまで10試合に参加しています。先日、石川選手が、PGAツアーのテンポラリーメンバー(注:1)になることを発表していました。このテンポラリーメンバーというのは、今シーズン(10試合で)獲得した賞金総額が、昨年の150位の賞金額を超えた時点で得られる資格です。ただし、一方的にこの権利が付与されるものではなく、本人がこの権利を行使しますよと承認して、はじめてテンポラリーメンバーになることができます。
スポンサー推薦というのは年間で7回しか受けられない規則があるのですが、このテンポラリーメンバーになると、この限度枠がなくなり、今後何試合でも出場することが出来るようになります。とは言えレギュラーシーズンも終了しているため、プレーオフシリーズの出場資格はありません。(※ポイント対象外のため)となると、プレーオフシリーズの次に行われるフォールシリーズの4試合には参加出来ます。石川選手は、現在57万ドル獲得しているので、あとおよそ20万ドルの賞金を稼げば、125位以内に入るだろうと予想されており、そこで晴れてシード選手になれるのです。
今回、石川選手がテンポラリーメンバーを承認したということは、その4試合のうちの何試合かに出場し、なんとか125位以内に入ってやろうという気持ちの表れだと思っています。ところが、フォールシリーズの時期は、国内ツアーではビッグトーナメントが続くので、実質出場するのは難しいかもしれません。しかし、スケジュールの組み方次第ではありますが、1試合でも出場して、トップ5に入ればシード権の可能性もありますからね。
しかし、惜しかったですね。「世界選手権BS招待-」で石川選手が4位になったのは素晴らしい結果だと思いますが、最終ホールをボギーではなくパーであがり、2位タイでフィニッシュしていたら、今シーズンの獲得賞金額が125位に入ったであろう額に到達していたと思われます。おそらく来年のシードは獲れていたと思いますし、世界選手権における日本人の最高位、USPGAツアーでの自己ベスト、そしてシード権の3つが手に入ったと思うと何とも惜しい結果です。ただ、事はそう簡単には運びませんが、4位に入ったからこそ、あと20万ドル強でシード権を獲得出来る可能性を秘めたわけですから、それはそれで素晴らしいとも思うのです。さらにスポンサー推薦を受けるに際し、彼のプライオリティは非常に高い評価を受けています。それに2年前のプレジデンツカップ出場歴があるということも、彼にとっては大きな実績です。
フォールシリーズ出場に関しては、シリーズ開始前にいろいろと調整するのではないでしょうか。まったく出場する気がないのに、テンポラリーメンバーの承認はしないと思いますので、現実的に無理であっても、チャンスがあれば狙っていることは確かだと思います。石川選手がフォールシリーズに出場すれば、楽しみが増えますね。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。