21年マスターズ覇者・松山英樹のコース解説
2024年 マスターズ
期間:04/11〜04/14 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
タイガー・ウッズが歴史的勝利を挙げた5年前からのギア変遷
タイガー・ウッズがオーガスタナショナルGCで5着目のグリーンジャケットを獲得し、メジャー15勝目を挙げたのは2019年のこと。あれからもう5年が経過した。
各メーカーが毎年のように新設計を世に出し、技術的な進歩が止まることのないゴルフギアの世界では、5年はかなり長い年月と言える。ある意味、ウッズは新しいギアへアップグレードすることで得られる恩恵をフルに活用してきた一方、19年の優勝セッティングから変わっていないギアもある。
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では、ここでウッズが19年「マスターズ」で使用したクラブと今週のセットアップを比較し、その類似点と違いを掘り下げてみよう。
19年当時、ウッズは比較的新しいセットアップでマスターズにやって来た。同年1月に行われた「ファーマーズインシュランスオープン」にて、9度のドライバーと13度のフェアウェイウッドを当時最新だったテーラーメイド「M5」に変更した。
5番ウッドに関しては、それまで使用していたテーラーメイド「M3」の19度を使い続ける決断。また、それまで使用していた“TWフェーズ1”ブレードアイアンと入れ替える形で、仕様と好みが完全にフィットするよう共同設計したテーラーメイドの「P-7TW」のアイアンセット(3番~PW)を投入した。
さらに、上記に加えてテーラーメイド「ミルドグラインド ウェッジ」(56度、60度)と長年愛用するスコッティキャメロン「ニューポート2 GSSパター」、そしてブリヂストン「ツアーB XSボール」を使用。シューズとアパレルはナイキ製を着用していた。
それでは、時計の針を今週に進めてみよう。
ウッズは現在、テーラーメイドの新しい「Qi10」メタルウッドを使用しており、これには「Qi10 LS(ロースピン)」10.5度(9.75度に調整)と「Qi10ツアー」15度(13.5度に調整)のヘッドが含まれる。1Wは23年末「ヒーローワールドチャレンジ」で、3Wは24年「ジェネシス招待」で投入した。
最新テクノロジーの利を生かしている一方で、5番ウッドは18年に一般向けにリリースされ、マスターズで前回優勝した際に使用したM3を入れ続けている。24年「ジェネシス招待」で、ウッズはなぜ5番ウッドをバッグに入れ続けているのかについて触れた。「3番ウッドに関してはかなり快適だね。僕の5番ウッドは、異なるんだ。これは古く、多少使い込まれているけれど、まだ機能しているんだ」と述べた。
ウッズは5番ウッドを色々なライで使用し、数多くの弾道を打ち分けることで知られている。ウッズにとってこのクラブで重要なのは、飛距離や寛容性ではなく、使い心地の良さと汎用性であるため、これだけ年月が流れたにも関わらず、まだ同じクラブがバッグに残り続けているのである。
アイアンに目を向けると、4IからPWに関して、ウッズは当時と同じP-7TWブレードを使い続けているが、一番上の番手となる3Iはテーラーメイド「P-770」に入れ替えることで、わずかながら寛容性を高めている。P-770アイアンは中空ボディ構造で超薄型フェースにより、マッスルバックと比較すると、ボール初速が速く、打ち出し角が高くなっている。
ウェッジについては新しいテーラーメイドの「ミルドグラインド4」へアップグレードしている。19年以降、何度かウェッジを変更してきたが、一貫してミルドグラインドシリーズを使い続けている。
パターについては変化がない。赤いドットは多少剥げかかっており、フェースのど真ん中にある打球痕はより目立つようになったが、このパターはまだバッグに収まっており、今も引き続きピンPP58グリップが装着されている。
また、ボールはブリヂストン「ツアーB」シリーズを使用し、22年にXSモデルからより低スピンのXモデルに乗り換えた。その後、24年初頭にティショットでの飛距離性能とグリーン周りでのコントロール性能が向上したXSモデルのアップグレード版に変更している。
最後はご存知のアパレルとなるが、ウッズは今年のマスターズでは、頭のてっぺんから足の爪先まで、ナイキではなく、新しいサンデーレッドブランドのアパレルに身を包んでいる。もし、ウッズがオーガスタナショナルでの日曜にトロフィを掲げることになると、完全に新しい見た目と、部分的に新しくなったギアで快挙を達成することになる。
ウッズがメジャー16勝目を挙げ、6着目のグリーンジャケットに袖を通すことができるかどうかは、今週末のお楽しみである。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)