2022年 RBCヘリテージ
期間:04/14〜04/17 場所:ハーバータウンGL(サウスカロライナ州)
飛距離アップを実現した48歳シンクのギア変更
「RBCヘリテージ」でタイトル防衛に臨んだが68位に終わった48歳のスチュワート・シンクは、今季の平均飛距離を304.1ydとし、ドライビングディスタンスで50位にランクインしている。これは2年前と比べると、大きな飛躍である。というのも、当時、彼のティショットの平均は295.7ydでランキングは113位だったのである。
では、そろそろPGAツアーチャンピオンズの出場資格すら獲得しようというシンクは、いかにして自身のドライビングディスタンスを伸ばしたのか?
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「(飛距離アップに)着手したのは、2年前だった」とシンクは今週、GolfWRXに語った。「僕らは、ちょっとした飛距離アップにフォーカスしてきたんだ。自分でも、まだタンクに何か残っていると感じていたんだ。ただ、ちゃんと使っていなかったので、全てを出し切れていなかったんだ。僕と僕のコーチとで、それを解決するために取り組み、2年後に実を結んだ」
シンクによると、彼の飛距離アップの秘密には2つの要素があるとのこと。ひとつ目は、飛距離に関するテクニックを向上させたこと。そして、彼はその向上した体の動きにより適合するよう、ギアを最適化したのである。
「ホットなドライバーを見つけて、遠くへ飛ばせるようになったみたいな話ではないんだ。間違いなく、テクニックとフォーム、そして生体力学ありきだった。その上で、それにマッチする効率的なギアを手にしたんだ。フィッティングは大切だけど、メカニクスとフォームを最適化させた時にこそ、特に重要なんだ」
今年、PGATOUR.comでは、ショーン・マーティンがシンクの新しく進化した、飛距離に特化したゴルフスイングに関する記事を掲載した。記事では、ドライバーを打つ際、上向きの角度でアタックする方が、下向きの角度でドライバーを打つよりもより効率的であることをシンクが学んだことについて強調している。
シンクは、この変更を機能させるため、ボールをスタンスの前方(左足寄り)へ動かした。そして、それはうまく働いた。
「僕のアタック角は、大体マイナス2度からプラス2度になったのだけど、この差は昨今のドライビングでは大きな意味を持っているからね」
「最もドライバーが達者で、一番遠くまで飛ばしている選手たちは、上向きでアタックしているんだ。僕はアタック角を変えようとしたわけではなく、セットアップをかえ、バックスイングで体の中のより大きな筋肉を使い、体の中でより力の出る場所へアクセスするようにしたのだけど、この2つの変更が初速アップとより良いアタック角につながったんだ」
その上で、ギアの調整を行なったのである。スイング変更前、シンクはロフト角10度で、ホーゼルのロフト設定が最大にセットされたピンG425マックスを使用していた。ホーゼルに刻印された記号の通り、この設定は“大きなプラス”と呼ばれており、ドライバーヘッドの標準仕様に比べ、ロフトが1.5度大きくなるようにできている。
シンクがアタック角をかえる前の2019年当時、彼の打ち出し角はわずか8.6度で、これはツアーのローンチアングルで169位に位置する数字だった。これは、ドライバーの弾道がさらに低くならないよう、シンクが余分にロフト角を必要としていたことを意味した。
しかしながら、彼が上向きにボールをとらえるスイングに改造したことで、ロフト角の大きなドライバーは、もはや最適ではなくなった。彼はスピン量が増え過ぎたことで、飛距離を犠牲にしていたのである。
この時、ピンのツアーレップ、ケントン・オーテスがシンクを手助けし、ドライバーを調整した。ドライバーはそれまでと同じピンG425プラスの10度を用いたが、オーテスは初め、標準よりロフトが1度少ない“小さいマイナス”設定に調節し、最終的に標準よりロフトが1.5度少ない“大きなマイナス”設定に移行した。
かなり低ロフト設定になったにも関わらず、2021年になると、スイング改造によりシンクの打ち出し角は11.5度となり、ローンチアングルのランキングは48位タイに上昇した。
また、2020年から2021年にかけて、シンクのボール初速は時速171.7マイルから、175.1マイルに向上している(一般的に、ロフトが低いほどボール初速は増すものであり、極端な例だが、これは3番アイアンとサンドウェッジでボールを打つ際の違いについて考えてみると、理解しやすいだろう)。
その結果、2020年には295.7ydだったシンクの平均飛距離は、昨年、306.6ydまで伸びたのである。「RBCヘリテージ」のハーバータウンは、飛距離が求められることで知られているわけではないが、燃料タンクに余裕があり、必要に応じて飛距離を少しばかり伸ばすことができるのは、悪いことではない。
加齢中のゴルファーで飛距離アップを実現し、人生で一番の飛びを謳歌したいと思っている人は、シンクのモデルケースに従うと良いだろう。まずはボールをより高く打ち出せるテクニックとセットアップを見つけるべきである。
その上で、マッチするドライバーを見つけるのだ。シンクにはこれが機能したのだから、貴方にも役立つかもしれない。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)