2021年 マスターズ
期間:04/08〜04/11 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
ブライソン・デシャンボーの新ドライバー使用を目撃
「マスターズ」開幕を控えたオーガスタナショナルで、ブライソン・デシャンボーが新しいプロトタイプのコブラ ラッドスピード ドライバーを試しているところが目撃され、このクラブが極めて異質なゴルファーが求める極めて異質な解決策を追求するためのモノであることが明らかとなった。
ボール初速の平均が時速191マイル(85m/s)で、かつ時速220マイル(98.35m/s)のヘッドスピードを追求していると公言してきたなら言うまでもないことだが、その人物はゴルファーとして唯一無二の場所にいる(これまでは、ドラコンプロに用意されていた場所だ)。
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平均初速が時速170マイル(76m/s)ほどのPGAツアーという世界にいるにも関わらず、デシャンボーはそのような用具の調整と独特の解決策を必要とする方法で、ブリヂストン製ボールを強打している。
ドライバーに関して彼がやっているのは、そういうこことである。デシャンボーはコブラの現行モデルであるラッドスピードで今年を始動させたが、3月の「アーノルド・パーマー招待」では6年間使用してきたコブラ キングLTDプロに戻した(そして、優勝した)。
GolfWRXは確かな情報ではないが、自身のスイングスピードと独特のスイングダイナミクスにより、デシャンボーはゴルフボールにクラブのトウ側でコンタクトしており、旧モデルのドライバーの方が実際のところ良いパフォーマンスを見せ、ばらつきが少なかったという噂を耳にした。
しかしながら、それは一時的な解決策に過ぎない。コブラのエンジニアたちはゴルフ科学者にとってLTDプロの何が適していたのかを学び、それをブライソンに与える新しい技術に結び付けようと奮迅してきた。
我々はコブラのツアーマネジャーのベン・ショーミン、そして研究開発副部長のトム・オルサフスキーと接触し、コブラ ラッドスピード プロトタイプに関する詳細について聞いてみた。
GolfWRX.com:ブライソンがテストしている新しいラッドスピード プロトタイプのドライバーヘッドについては、色々と話題になっています。彼の高速ヘッドスピードに対し特別に調整された新しいヘッドについて、話せることはありますか?
トム・オルサフスキー:ここで重要なのはスピードであり、ブライソンはかなりのヘッドスピードの持ち主なんです。彼のダイナミクスに合わせた特別仕様を施す上で、我々は筐体の重さを軽減するために可変ウェートを取り外し、ミスヒットによる分散を軽減させようと内部な変更に注力しました。
我々がもう一つ行ったのは、ドライバーの耐久性を上げるため、フェースに厚みを増したことです。ブライソンは多くの球数を打ちますし、彼の通常の練習とスピードトレーニングのセッションの量を鑑み、我々は耐久性の懸念を払しょくするよう努めました。また、我々は練習ではヘッドを交代で使用するよう勧めましたが、ホーゼルの調整機能がこれを行いやすくしています。
フェースに関してですが、具体的にはこの新しいヘッドからはインフィニティ・フェースを取り除きました。これにより、フェースの半径を簡単に変えて、トウのミスヒットへの寛容性を高めるため、トウの半径を小さくできました。
GolfWRX.com:ともに仕事をする選手として、ブライソンはかなり異色ですよね?
ベン・ショーミン:ブライソンはロフト角5度のドライバーでボール初速200マイルを超えるショットを打つので、確かに通常我々が設計するものとは異なるボールとクラブのダイナミクスを提示します。従って、我々は自分たちのアプローチのいくつかを考え直さなければなりませんでした。このヘッドは、極度にハイスピードなブライソンにとって最も適した最新バージョンなのです。
トム・オルサフスキー:これは物理の基本です。より高速でのオフセンターヒットは、多大な力が加わることで、結果としてばらつきが大きくなります。ミスに関して我々が見てきたところによると、原因はクラブとボールの表面の接合部分の摩擦によるものであるらしいことが分かっています。これは接触物理学における不安定性にとても近いものなのです。
ブライソンとクラブが写った写真を見ても分かる通り、デシャンボー自身もドライバーのソールに独特な構成で大きな鉛テープを貼っている。これが、望み通りのスイングウェート(どれだけクラブが重く感じるか)を実現するためなのか、あるいはヘッドのパフォーマンスをさらに調整しようとしているためなのかは定かではない。
果たしてデシャンボーはオーガスタナショナルの1番ティに、新しいラッドスピード プロトタイプをバッグに入れてやって来るのだろうか? まだ定かなことは言えないが、彼の実験が続くのは確かなところであり、デシャンボーは今後もこの「エキップメント・リポート」の常連で居続けるだろう。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)