全英でTOP10独占!? 知られざる“日本勢”の活躍
2014年 全英オープン
期間:07/17〜07/20 場所:ロイヤルリバプール(イングランド)
マキロイ 師匠の教えをモノにしたパッティング
By Brian Wacker, PGATOUR.COM
ロリー・マキロイがパッティングコーチのデーブ・ストックトンからレッスンを受けたのは、3カ月以上も前のことだ。今年のマスターズはまだ開催されていなかった。
みなさんが思うほどではないものの、2人はたっぷりと話をした。
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25歳のマキロイがフィアンセのキャロライン・ウォズニアッキと別れ、携帯電話とPCを捨てて以降、ストックトンは、キャディのJ.P.フィッツジェラルドを通じてしか、マキロイからのメッセージを受け取る手段がなくなっていた。
マキロイがロイヤル・リバプールで2打差の勝利を収めたとき、ストックトンは4000マイル離れたカナダのブリティッシュコロンビア州、バンクーバー島の東端のビクトリアにいた。息子のデーブJr.と10人の孫たちとカナダを横断する家族旅行の最中だった。旅行は、カナディアンロッキーからアルバータ州のジャスパーへ回り、列車でレイクルイーズを経由しバンフまで向かう行程だ。途中ではゲームハンティングも楽しんだ。
日曜日、ストックトンは、大切な生徒(マキロイ)がトロフィーを手にしたシーンをテレビで見ていた。マキロイはクラレットジャグを掲げると、全英オープンの試合中ずっと大切にしていた2つの言葉について、“プロセス(過程)”と“スポット(目標)”だったと明らかにした。
「マキロイがどんな2つの言葉を言おうとするのか分からなかった」というストックトン。「“プロセス”と“スポット”と言ったのを聞いて、椅子から転げ落ちそうになったよ。だって、スポット・パッティングは、僕が教えていることだからね」。
マキロイは翌日になり、この2つの言葉の意味を説明した。
「プロセスを守り、良い決断を下し、良いスイングをする。その一瞬を大切にする。集中して、ゲームプランを実行し、そのプランにこだわるということ」と、ESPNのマイク&マイクショーで語った。「そうするには、優勝や結果、それが自分のキャリアにどう影響するかを意識しないでいられる精神的な強さが必要だ。そうした意識は、持たないようにしないといけない。意識したら、集中力や焦点が欠如して、自分を狂わせてしまう。そうなったら、2打差だって失いかねない」。
そしてこう付け加えた。「僕にとって、メジャーレベルのゴルフとは、全てメンタル。肉体的な素質もあるよ。ツアーの多くのプレーヤーは、来る日も来る日も「65」や「66」を出せるからね。でも、そういったスコアを出さなければならないときやプレッシャーが掛かったときは、メンタルでスコアメイクする。僕はそれがうまくできると思っている」。
この数か月間のマキロイの、特にショートゲームを見れば、それを成し遂げてきたことが分かる。
しかし、このアイデア自体は目新しいものではない。1年前にはフィル・ミケルソンもこの考え方で「全英オープン」初優勝を果たした。
そして、マキロイは昨年のミケルソンと同様、このアイデアを完璧に実行した。
要するに、ストックトンの教えは、スポットに向かってシンプルにストロークし、ボールを打つのではなく転がすこと、そして結果を気にしないということだ。
ストックトンは「多くの選手はパターがボールに触れると、ヘッドが上がるかストロークを止めてしまう」と話す。「ヘッドがボールに当たっても反応しなければ、毎回すばらしいストロークができる。(パッティングは)フリースローのようなもの。ストロークそのものよりも、フォロースルーが何倍も大切だ」。
マキロイの先週の合計パットはわずか110で、27パット以上したのは1日だけだった。1パットは34回。これは出場選手中3番目に多く、3パットはなかった。ちなみにミュアフィールドで優勝したミケルソンの合計パット数は117だ。
当然ながらショットも好調だった。ティショットの平均飛距離は327ヤードで、フェアウェイキープ率は66%以上。これらが、パッティングの結果につながっている。
2011年の「全米オープン」直前からマキロイを指導しているストックトンは「マキロイにとっては、改めた分かったゴルフに対する情熱と自分の気持ちを見出そうとしたのが良かった」と話した。
「一緒に何年も取り組んできたけど、彼はようやく(ストックトンの指導を)モノにした。彼は分かっている。目を見張るものがあるね」。
ストックトンは、マキロイの最盛期はまだ訪れていないと言う。
ミケルソンとマキロイを指導し、ストックトンは2人の共通点も見出している。一方で、こうも示唆した。
「ロリーはとても独創的で、フィルもいつもそうだ。フィルは、私が見てきた中でショートゲームに関する天性の才能を持ったひとり。ティショットを真っ直ぐ飛ばすのは、ロリーが長けている。そしてロリーのアプローチは極めてシンプルだ。2人は創造的という点で似ているが、創造性を別のレベルまで引き上げられるのはロリーだ」。