新米パパ、スターリングスのゴルフ奮闘記
2013年 シェル・ヒューストンオープン
期間:03/28〜03/31 場所:Redstone GC Tournament Course
花のためにプレーする?ウェットクロフト
By Melanie Hauser PGATOUR.COM Correspondent
先週の今頃、スティーブ・ウェットクロフトは、コーチのマット・キレーンと共に練習場で試行錯誤していた。スティーブは、ウェブドットコムツアーのルイジアナ・オープンも欠場していた。不調の原因は何なのか、この際、とことん向き合うことにしたようだ。
今週の月曜日、レッドストーンの練習場に姿を現したスティーブは、3人のうち2人、あるいは4人のうち3人が本戦への出場権を得るプレーオフ・スポットの渦中にいた。午前のラウンドで5アンダーとしたスティーブは、スマホのPGAアプリでひとしきり遊んだあと、“Olympus Has Falling”というアクション映画を観て過ごした。その後、彼はドライビングレンジで親友のポール・へイリー、マイケル・パットナムらと合流して、プレーオフの結果は我々の未来に懸っていることを確信した。
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「ポールも私もこのところ調子は散々だったから」と、ウェットクロフトは言った。「我々は練習場でボールを打ち始めたんだ。すると大会スタッフがやって来て、こう言ったんだ。“みなさん、残すところあとひと組ですが、(おそらく)本大会に出場できるでしょう”」。
「僕は思わず聞いたんだ。“プレーオフはどうなったのですか? 3人のうち2人ですか? 4人のうち3人ですか? 僕はここで何をすればいいんですか”ってね。その彼が不思議そうに僕を見たので、僕はマイクを見た。すると彼は僕を見て笑ったんだ。まぁやられたって感じだったね」。
時計の針を金曜の午後に早送りしよう。謙虚で、正直者で、ペンシルバニア出身で、インディアナ・ファンのウェットクロフトは、自分が10アンダーで、シェルヒューストンで首位に立っていることを理解した。初日、2日目を共にノーボギーの「67」で回ったのだ。月曜日の予選会で記録したスコアと同じだった。
彼のゴルフは、日を重ねるにつれ良くなっている。ウェットクロフト は予選会が好きではないが、来週月曜の「バレロテキサスオープン」の予選会も出場予定だ。もちろん大きな何かが起きて、ツアーの成績が変動すれば別の話だが。
好調を保てばいいだけの話だって? 言うは易し行うは難しだ。わずか6カ月と少しの間で、彼は投資案件で3軒もの花屋さんを開店させた。実際、今週ウェットクロフトが獲得する賞金の大半は、すべて花のために消えるだろう。「生花って、意外と高いんだよ」と、彼は語った。「もしゴルフが上手くいかなくなったら、花屋になろうと思ってね」。
あながち冗談とも取れない。彼はオークモント・カントリークラブで夏場を過ごしているが、自信みなぎる成績を残しているとは言い難い。彼の唯一の勝利は2011年、ウェブドットコムのミッド・アトランティック・チャンピオンシップで12打差をつけての優勝だけだ。この時は初日から「66」「60」「64」「64」で回った。特に2日目は「59打目」のパットを決めていれば50台が出るところだった。
「最後のパットは1フィート程度の短いパットだったんだけど、打った瞬間にハズしたって分かったよ」と、彼は当時を振り返った。「そして最後に『60』パット目となるタップを決めて、(その時点では)8打差にリードを広げたんだ」。
あの大会での勝利が、ここまでの彼のキャリアハイだ。でもまてよ。まだゴルフ人生は終わっちゃいない。木曜日はドライバーもアイアンも絶好調ではなかったものの、パットでカバーしたウェットクロフトは「67」でラウンドした。このまま行けば、今週は彼が優勝してもおかしくない。
「誰が勝つかな?」と、彼は言った。「明日は『61』を出すかもしれないし『71』を叩くかもしれない。自分のプレーは本当に分からないんだ。だからあまり深く考えこまないようにしているんだ。最初のホールの最初のティショットを正確に打つこと。それから先のことはそのあとで考えるよ」。
金曜日のラウンド中、彼の頭の中はキラーズの“ランナウェイ”が無限ループを繰り返していた。「どこにも行ってくれないんだ」と、彼は笑った。「だから1日中歌い続けたよ。まぁ、お陰でリラックスできて良かったけどね」。
今季の出場トーナメントは、わずかウェブドットコムツアーの2試合のみ。今月上旬、7位タイになったコロンビア・チャンピオンシップと、21位タイに終わったパナマ・チャンピオンシップのみだ。そんなウェットクロフトに、今週は何が起きたんだ。これは夢なのか?
皮肉にも、この日の最も印象的なショットは、12番のフェアウェイバンカーからの一打だった。ショットリンクタワーを直撃した一打は、本当にひどかった。そんな一打にめげることなく、彼は最後を連続バーディで締めくくり、通算10アンダーとした。
「普段より少しいい感じでスイング出来ていたことには気付いていたよ」。彼は振り返った。「あとは賢いゴルフを続けるだけだ」。
残り2日をいかに凌ぐのか。お花屋さんゴルファーに視線が集まる。