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415ydドライブ…ではない 世界1位圧倒の松山英樹に見えたマスターズへの“兆し”

◇世界選手権シリーズ◇WGCデルテクノロジーズ マッチプレー 3日目(29日)◇オースティンCC(テキサス州)◇7108yd(パー71)

松山英樹は世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンとのマッチを3&2(2ホールを残して3アップ)で制した。10番から4連続で奪い、後半に圧倒。前日すでに決勝トーナメント進出を逃していたが、2週後のメジャー今季初戦「マスターズ」(ジョージア州オーガスタ)前の最後のラウンドで一矢報いた。

グループステージ突破の可能性を残していたジョンソンを相手に、松山は序盤でリードした。前日まで冷え込んでいたパッティングが復調。出だしで5mのチャンスを外した後、2番から4m前後を決めて2連続バーディ。「1番は良くなくて『きのうまでと一緒かな』と思ったんですけど、2番は『入る』と思った。3番のパットがすごく良かった」。今大会で投入したパターを2日ぶりに握り直し、試行錯誤が報われた。

オールスクエアで迎えた後半の行方を決めたのもグリーン上。10番で慎重にラインを読み、スネークラインの4.5mを流し込んでバーディ。「(早藤将太キャディに)言われた通りに打ったら入りました」。すると、相手が1.5mを外して1アップ。ジョンソンは続く11番(パー3)で第1打を池に入れ、ペースを崩した。

打ち下ろしのパー5の12番では、規格外の“空中戦”でギャラリーを沸かせた。フォローの風を受けた1Wショットは415ydを記録。ジョンソンに429ydというさらに異次元の数字を出されたが、松山は残り155ydの2打目をピン右手前3mにつけてイーグルにつなげた。「415yd? うれしくないっすね。もっと前にいる人(ジョンソン)がいるんで。2打目はPWです。でもうれしくないっす。相手は52度(のウェッジ)なんで」と不満げながら、さらにリードを広げた。

16ホールで1イーグル6バーディ、1ボギー(コンシードを含む)とし、2ホールを残して世界ナンバーワンを退け、「良かったですね」と言った。ただし、得たのはこの日の勝ち点1とは違うもの。「何より、パッティングがきのうまでになかった感覚が出たので」と語った。その言葉はもちろん次戦を意識してのものだ。

6年連続8回目の出場となる「マスターズ」まで2週間を切った。パットで「きょう(2週前の)プレーヤーズ選手権で良くなったフィーリングが出た」といい、「ドライバーは悪くも良くもないが安定はしてきている。兆しは見えているかな」と思えた。「良いプレーが、プレーヤーズの3日目、4日目、きょうとできた。自信を持ってもいいと思います」。一度拠点のフロリダに戻って練習し、オーガスタに向かうつもり。どれだけ調整が万全でも不安はつきもの。13日後のティオフまで、あがき続ける。(テキサス州オースティン/桂川洋一)

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