首位はジム・フューリック。タイガーは75を叩き、後退。
今日のタイガー/スタートホールでハプニング。リズムを崩し、まさかの失速!
全米オープン3日目
午後2時30分、アルゼンチンのE・ロメロと同じ組でスタートした。午後は気温は25度前後まであがり、風は昨日と同じ北北東の風が吹く一日となった。トップと3打差の5位タイでスタートしたタイガーは6つのボギー、1つのバーディで 75、通算1オーバーに後退した。
追いかける立場のタイガーはドライバーを18番ホールまで使わず、3番ウッド、2番アイアンでティショット。 フェアウエーを捕らえたのは昨日と同じ14ホール中、10回(71.4%)だったが、距離は昨日ほどでていなかった。結果的にグリーンを狙うクラブは昨日より長いクラブが多く、パーオンのデータは「12/18」で67%、5メートル以下のバーディトライは3回。アイアンは左右だけでなく縦の距離もずれており、パット数はなんと35。 昨日までよかったグリーンのタッチも影を潜めてしまった。風が午後から強くなりグリーンを硬くしたことも、パッティングを難しくしたようだ。
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3日目のコースセッティングは厳しかった。グリーンエッジから4ヤード以内に切ったピンは18ホール中8ホール、6ヤード以内は16ホールと厳しい全米ゴルフ協会のセッティング。朝のスタート前にそのピンの位置を確かめてからウォームアップを始めたタイガーはドライバーを使わず、クロスバンカー越えを狙わない作戦に徹した。昨日は平均280ヤードは出ていたスプーンのティショットは、アゲンスト風に弱く距離が出ていなかった。同じ組で回っていた49歳のロメロのドライバーよりも40~50ヤード後ろから攻めることが多かった。さらに問題だったのがアイアンの距離感。これが悪かった。理由はグリッププレーシャーが硬くなっていたからだ。
1番ホール、スプーンでフェアウエーを捕らえて残りは313ヤード。ロングアイアンで刻むショットのスイング中、トップから切り返しの時、右のラフからギャラリーの口笛が・・・。タイガーのリズムは壊された。インパクトを迎えるとともに右手を放し、ボールは右のバンカーへ行った。ムービングデーの3日目、スタートの緊張感でいっぱいの状況の下、予想もしていない奇音はその後のショットに予想以上の影響力を持っていた。タイガーはその後、奇音がしてもクラブをしっかり振り切れるように強めに握っていた。その分、全体のリズム&バランスに微妙な迷いを生じた。
グリーン上でも同じだった。今日のグリーンはすごく遅かったと語っていたタイガーだったが、パッティング時に左の肘が詰まって左の肩が早くあがっていた。フックラインは出球から低く出てアマラインに下った。ほとんどの選手がスタートから6番ホールまでに2、3個のバーディを取っていたが、タイガーは14番までバーディを取れず。皮肉なのことにこの14番は3日目に一番難しいとランクされた。
順位を大きく下げてしまったタイガーウッズ。3度目の全米オープン制覇の可能性は低くなったがまだミラクルはある。ティータイムが最終組より2時間半近く早まったということで風が吹く前の初めの6ホールでロケットスタートし、午後から南西の風が吹けば可能性はある。タイガーの自力だけでは難しいが、風、そしてトップが全米オープンというプレッシャーでスコアーを伸ばさないという条件が必要のようだ。
テキスト/アンディー和田
1968年11月 東京出身、アリゾナ大学卒業(チームメイトには ジム・フューリック、クリスチャン・ペーニャ、ロバート・ガメス)、1991年プロ転向、アジアツアー、カナダツアー、南米ツアー などを経験、1998年シンガポール キャリアー オープン優勝。 青木功、中嶋常幸、大町昭義、芹澤信夫、加瀬秀樹、横尾要、海老原清治など ツアーキャディーの経験や 2000年から3年間 ゴルフチャンネルのトーナメント解説で ライダーカップ、ヨーロピアンツアー、女子ツアー、ネイションワイドツアーを担当。