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「シネコックヒルズの悲劇」に学ぶ・・・近代ゴルフの大会主催者が求めるもの、求められるもの

今年6月、ロングアイランドのシネコックヒルズで開催された「全米オープン」コースのディボットの跡と傷ついたプライドは癒え始めた。だが、ここ全米ゴルフ協会(USGA)のゴルフハウスでは、「魔の日曜日」となった「全米オープン」最終日のコースセットアップについて依然議論は続いている。

もちろんチャンピオンシップの運営とセットアップを再検討することは良くあることだが、USGAが開催する13の大会の内、「全米オープン」が最も重要で、最も綿密に調査される。USGAのエグゼクティブ・ディレクターのデイビッド・フェイは、シネコックヒルズでの第4ラウンドに対するUSGAの決定が過っていたことを認識している。今後このような過ちの繰り返しを避けるためにはどうすればよいのかが問題である。

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8月中旬、フェイはゴルフハウスの片隅にある個室で座り込み、今シーズンの出来事を振り返った。「シネコックヒルズの日曜日は、晴天で、風も緩やかなゴルフには最適な日だったにもかかわらず、何故平均スコアが『79』を超えようとしていたのか考えなくてはならない。これが我々の望みではなかった。少し行き過ぎたのかも知れない。」

今思えばシネコックヒルズは非常に難しいセットアップだった。季節外れの風が強くなってしまえば、失敗の余地のないコースになっていた。そうでなければ平均スコアが最初の3ラウンドに比べ5ストロークも増すことは考えられない。

結果的に、USGAは選手、メディア、及び業界内の人間に強烈に批判された。開催前までは、世界最高峰が集う大会にしては単純すぎるのではないかと言われていたコースだった。

批判される一つの理由として考えられるのは、全米の人気と期待を背負っていたフィル・ミケルソンが比較的個性のない国際選手、レティーフ・グーセンに負けたことにあるのかも知れない。また、私営クラブの多くの意思決定に共通していることだが、農学に関する知識の欠如がもう一つの原因でもあろう。

また、USGAがパースコアに関して過剰に反応しているのではないかとの批判もあった。「全米オープン」以降のメジャー大会ではロースコアでの優勝争いが展開され、上位争いの激しい、エンターテイニングなゴルフが観客を魅了した。

メグ・マローンは「全米女子オープン」を10アンダーで優勝した。また、トッド・ハミルトンは「全英オープン」を10アンダーで優勝、ビジェイ・シンは「全米プロ選手権」を8アンダーで栄冠を手にした。それに対し、グーセンは4アンダーで優勝した。何故USGAはパーに近いスコアでフィニッシュするよう過激な手段を取ったのだろうか?

【「全米オープン=タフなコース」の方程式】

フェイが指摘するに、1951年のオークランドヒルズ開催以来、「全米オープン」のコースは一律でタフな設定で争われてきた。USGAの会長を1956、1957年に務め、パインハースト・リゾートのオーナーを長年務めたリチャード・タフツが好んだ狭いフェアウェイ、深いラフ及び硬くて早いグリーンが今でも基盤となっている。史上、男子のメジャー優勝の平均スコアは約280だとフェイは言う。ちなみに、パー72のコースをパーラウンドすると288になる。

10年間のメジャー大会の平均優勝スコアは正確に言うと277.75だが、それを維持するために大会主催者はありとあらゆる手を使ってきた。「マスターズ」の開催地オーガスタナショナルでは、コースを長くし、狭めることにより、プロゴルファーにとって常にやりがいのあるものにしてきた。285ヤードのドライブやミドル及びショートアイアンでパー5が届くのが当たり前になってきた近代、不可能に近いほど狭いフェアウェイを作る以外パースコアを守るのは難しい。正しく、シネコックヒルズがいい例となった。

「思われているほどUSGAはパーを守ることに定着していない」とフェイは言う。また最近の技術及び用具の発展を考慮し、特定のターゲットスコアを守るためにあえて嫌がらせに近いコースセットアップをしたのではない、と彼は加える。しかし、フェイは最近になってコース設定が今まで以上に困難になっていることを認めた。

「ボールは更にまっすぐ、そして遠くに飛ぶようになってきた。選手はグリーンに少ないストローク数で乗せる。今の選手はすごく自信を持っているし、必要なトレーニングなどの努力は欠かさない。それになじみないコースでも、必要な情報を収集し、トーナメントに備えることができる」と、フェイは語る。

【近代ゴルフには近代コース!?】

シネコックヒルズを終えて、フェイは広範なアプローチでコース設定を検討している。傾斜やパッティングを基にピンの位置を選択するのではなく、全般的にアプローチショットがオン可能なのか、またグリーンの特定のセグメントにショットを乗せることができるのか、などなど。考えてみれば、極めて基礎的なことだ。

このような広範な思考によって、大バッシングされた今年の7番ホール、パー3のようなホールもなくなるだろう。ピン近くに寄せるのがほぼ不可能だった。コース関係者も「あのような天候やコンディションでは絶対にありえないピンの位置だった」と言う。

シネコックヒルズでの過ちを再度起こさないためには、もっと近代的なレイアウトを使用することかもしれない。1962年以降オープンしたコースは、未だ「全米オープン」の開催地に選ばれたことはない。今年の「全米プロ選手権」が行われたウィスリング・ストレイツは2012年には開催可能になる。狙い目なのかもしれない。

「PGAのほうが上手くやっている」とフェイは述べ、「全米プロ選手権」が開催されたショール・クリーク(1984年、1990年)、ヴァルハラ(1996年、2000年)及び今年のウィスリング・ストレイツを証拠として指差した。しかし、適切なコースセットアップなくして開催地選択の解決策は見出せないことも理解している。

Golfweek

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