マキロイのボール初速は83m/s ヘッド速度55m/sって…異常な飛びを数値でチェック
◇米国男子◇トゥルーイスト選手権◇ザ・フィラデルフィア・クリケットクラブ (ペンシルベニア州)◇7119yd(パー70)
シグニチャーイベントという昇格大会、朝の練習場でエリートフィールドに集った選手を観察してみた。今や計測器を打席周りにセットし、スイングチェックするのは当たり前。ほとんどの選手が球を打っては画面の数字に見入っている。
計測器は「トラックマン」派と「GC4」派(または「クワッドマックス」派)に二分されるが、どちらかというとGC4が優勢に見える(フライトスコープとフルスイングはごく少数)。GC4は打席の前にポンと置くだけ。電源を入れて設定も不要、上部モニターで数値をそのままチェックできるため利便性が高いのだろう。トラックマンとGC4の両方を並べる選手もいる。“どちらが優れている”ということでなく、データの取り方が違うから、チェック項目が違うのだ。松山英樹も2台持ち。基本的に両方置いて、どちらの数字もチェックしている。
どの項目をチェックするかは人それぞれ。キャリーの数値を見たり、ボール初速を見たり、スイングパスを見たり、気になるポイントをチェックする。スタート前に数値を確認し、その日の状態を判断、アジャストするわけだ。まあ血圧チェックみたいなものだろう。
いろいろな選手を眺めていると、ロリー・マキロイ(北アイルランド)がトラックマンを肩にぶら下げて現れた。打席の後ろに設置し、iPadを打席前に置き、画面を自分に向けて打ち始めた。マキロイのデータをいくつか紹介したい。
いちばん気になるのがドライバーのデータだろう。ボールスピードはだいたい初速185~186mph(約83m/s)。ヘッドスピードは123mph(約55m/s)前後。スピン量は2300~2500rpm。打ち出し角は11度前後。キャリー320yd前後…と、まさに飛ばし屋ならではの驚異的な数字だ。3番ウッドでもボール初速174.6mph(78m/s前後)、スピン量2775rpmと出る。この数値は並みの選手のドライバーに匹敵。キャリーが291.2ydも出ている。「もう誰もマキロイに飛距離で太刀打ちできないのでは…」。そう思ってPGAツアーのHPで調べてみた。…失礼しました。まだまだ上がいました。このツアーはモンスターだらけだ。
マキロイのボール初速は今季ランキング9位(184.87mph)。ツアー平均174.12mphよりは約10mph速い。ヘッド速度ランキングは10位(123.41mph)。こちらのツアー平均は116.37mph。ボール初速ではマキロイより上にウィンダム・クラーク、ゲーリー・ウッドランドらがいて、2位にミンウ・リー(オーストラリア)も入る。そして最速はアルドリッチ・ポットギーター(南アフリカ)の190.51mph。190超え…もはや破壊的な数字だ(彼の紹介はまた後日)。
ちなみにマキロイはどの番手のショットも、クラブパスが「-1~1」の間に収まっていて、0.2とか-0.1など0前後がほとんど。つまりターゲットに対してクラブが真っすぐ動いていることになり、かなり理想的な数値といえる。実際の打球を見ていても、理想的なフェードボールを連発していた。
マキロイは後半2日間でスコアを伸ばせず7位だった。次戦は過去4勝で相性のいいクエイルホロークラブ開催の「全米プロ選手権」。「マスターズ」に続き、メジャー連勝なるか。(ペンシルベニア州フロータウン/服部謙二郎)