タイガー・ウッズが単独首位!/エミレーツオーストラリアンオープン 2日目
ゴルフは、チームプレーのスポーツ ~06年ライダーカップを振り返って~
今年の全英オープンでのタイガー・ウッズの涙は非常に印象深かった。同様に今週末アイルランドKクラブで行われたライダーカップでのダレン・クラークの涙も忘れられない。この二人の涙に隠された話は大変似ており、また感動的のものである。ウッズは父の死の2ヶ月後、全英オープンで優勝を遂げ、キャディーの胸の中で泣き崩れた。そしてまたクラークも、最終ホールを終えた直後にキャディーの腕の中で泣き崩れた。それは、彼の妻が癌で亡くなってから約2ヵ月後のことであった。クラークにとって今回の勝利は、ヨーロッパチームの選手と共に勝ち得た悲しいが本当に感動的なものとなった。
本当のところ、クラークは当初今大会に出場するはずではなかった。と言うのも、妻ヘザーの死後2ヶ月間幼い二人の子供の世話をするだけで、一度もゴルフクラブを手にすることが出来なかったのだ。しかし、ヨーロッパチームのキャプテンの強い要請を受け入れ出場、最終的に勝利をもたらすことになった。
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もちろん、今大会で輝かしいプレーをしたのは彼だけではない。ヨーロッパチームの各選手はそれぞれ、素晴らしいプレーを見せ、ヨーロッパ大陸へ史上初めてとなる3大会連続で優勝カップをもたらした。今回の美しい勝利は、比較的簡単な勝利であったと言える。アメリカチームは一度もヨーロッパの勝利を脅かす様な場面を見せることが出来なかった。欧州10ポイント対米国6ポイントで迎えた最終日も、1999年の奇跡の再現をすることは出来なかった。(1999年、アメリカチームが今年と同様に4ポイント差で迎えた最終日、奮起して優勝を収めている。)
アメリカチームに奇跡は起こらなかった。賞金ランキング上位選手達を揃えても、十分ではなかった。ライダーカップは、チームで戦う大会である。個人の能力の高さではなく、チームワークが最大の武器となるのだ。バスケットの世界でも同じである。世界最高峰リーグ・アメリカNBAで活躍する選手達は、才能にあふれた選手ばかりである。しかし、アメリカバスケットのナショナルチームは、最近数年間一度も世界大会で優勝していない。ゴルフの世界でも同じであった。
タイガー・ウッズ、フィル・ミケルソン、ジム・フューリック、クリス・ディマルコは、常に世界ランク上位に君臨している選手達だが、チームで一緒にプレーをするとなると散々なものである。団結、協力は全く見られなかった。それに対し、ヨーロッパチームのチームワークの良さは、素晴らしかった。また、ヨーロッパチームのスペイン人同士のセルヒオ・ガルシアとホセ・オラサバルやリー・ウエズウッドとダレン・クラークの様にコースを一緒にまわる二人の息の合ったプレーは、アメリカチームには無かった。ヨーロッパチームには、アメリカチームのように華やかで、知名度のある選手の名前は無いが、コース上では彼らの方が間違いなく輝いていた。
MARCY JULIEN(マルシー ジュリアン)
スポーツジャーナリスト。フランス出身の30歳。
フランスの新聞、テレビ、ラジオ等で活躍後、2005年末より日本在住。
専門はスポーツ全般だが、数年前よりゴルフの世界で活動中。