「ツアー選手権」最終成績の一覧
2021年 ツアー選手権
期間:09/02〜09/05 場所:イーストレイクGC(ジョージア州)
「このフォーマットは好きじゃない」 新王者カントレーのブレない主張
◇米国男子プレーオフ最終戦◇ツアー選手権 最終日(5日)◇イーストレイクGC(ジョージア州)◇7346yd(パー70)
「僕は、まだこのフォーマットのファンじゃない。いいフォーマットだとは思えないよ。今週最も低いスコアを出した人がいて、その人が以前のツアー選手権なら優勝できていたという事実が気に入らないんだ」。パトリック・カントレーの主張はビッグボーナス1500万ドル(約16億4000万円)を手にしても、一貫していた。
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今大会4日間を最も少ない266ストロークでプレーしたのは2位ジョン・ラームと3位ケビン・ナ。それでも「ツアー選手権」のタイトルは、ポイントランキング1位の10アンダースタートから269ストロークで回ったカントレーのものになる。「好きではないフォーマットでも、僕は今週その恩恵にあずかった。それについては、とても感謝しているよ」とした上で、持論は曲げなかった。
ポイントランクに応じて最大10打のストローク差をつけて始めるハンディキャップ戦に変更されて3年目。昨年も4日間のスコアでザンダー・シャウフェレが上回りながら、10アンダースタートだったダスティン・ジョンソンが優勝している。
年間王者にふさわしい活躍だったことは間違いない。前週「BMW選手権」でただ一人のシーズン3勝目。今週も世界ランク1位のラームと2日目から2サム最終組で競り合い、この日はグリーン奥に外した後半17番で1.5m強をねじ込むナイスボギー。1打リードで最終18番(パー5)を迎えると、残り217ydから6Iの完璧なショットでピン手前3.5mに2オンして勝負を決めた。ラームも「彼が素晴らしいゴルフをした。彼が優勝したと言っていいと思う」と素直に勝者をたたえた。
アマチュアだった2011年に「トラベラーズ選手権」で「60」を出し、「RBCカナディアンオープン」で9位に入るなど、出場した試合全てで予選を通過。「プロになっていたら40万ドルの収入があった、というような記事を見たんだ。シュールな気分だった。『お金を逃した気にならない?』って聞かれもしたけど、僕はまだアマチュアだったし、お金のためにプレーしているわけじゃないから」と振り返る。
根底にある考え方は、今も変わらない。「トーナメントで勝つこと、プレッシャーの中でゴルフをすること、大歓声の中で質の高いショットを打つこと…。それこそが僕が人生をかけて練習してきた理由なんだ」。13年に発覚した背骨の疲労骨折で2年以上試合から離れたときも、自らのゴルフに対する自信は揺るがなかった。
ポーカーフェースで勝ち切る姿に前週からギャラリーが勝手に名付けたという「パティアイス」の愛称が定着。「お金は結果に過ぎない。でも、僕は幸運だ。ゴールドマンサックスっていう素晴らしいパートナーがいるから、きっと良い投資先が見つかるよ」。スポンサーに絡めたジョークで笑わせたときばかりは、表情を崩した。(ジョージア州アトランタ/亀山泰宏)