3度の3パットも首位とは5打差 松山英樹はバーディで締めくくり
2019年 全英オープン
期間:07/18〜07/21 場所:ロイヤルポートラッシュGC(北アイルランド)
3Woodを追いかけて/塚田好宣の現地レポ(その4)
全英オープン初日。朝からポートラッシュの街はどんよりとして曇りがち。前日よりも、さらに肌寒い感じがした。昼過ぎになると、風も強く、雨も降ったりやんだりを繰り返した。10分おきくらいに、傘をさしたり、レインウェアを着たりする羽目になった。観ている方も忙しい。それでもお目当ての選手を追いかけてコースを歩くのは楽しかった。気がつけば、7時間以上も歩いていた。途中、ギャラリープラザで喉を潤したが、結局最後まで食事はとらなかった。食事をする時間がもったいなく感じるくらい夢中になっていた。
きょうは朝から3選手を追いかけようと決めていた。その3人とは自分がメジャーを獲らせてあげたいと思う選手たちだ。トミー・フリートウッド、リー・ウェストウッド、タイガー・ウッズ。
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なぜ、この3人かというと、トミーは彼のゴルフが好きなんだ。攻撃的なスタイルも、スイングも。たまたま朝食時にラウンジで見かけたけれど、長い髪と人懐っこい笑顔で話をしている姿をみて、なぜ人気があるのか分かった気がした。ピークを過ぎる前にぜひメジャータイトルを獲ってほしい。
ウェストウッドは同じPINGファミリーだから。彼はジュニアの頃からPINGを使う生粋の PINGプレーヤーだ。日本でも「太平洋VISAマスターズ」を3連覇しているから、馴染みがあると思う。ワールドランキングで合計20週以上も1位にいたことがある。実力と実績は誰もが認めるが、唯一欠けているのがメジャータイトルだ。彼ももう46歳になる。無理とは決めつけたくないけれど、もうメジャーに勝てる時間は長くはない。1回でいいから、メジャーで勝たせてあげたい。
そして、タイガー。その理由はただ一つ。ジャック・ニクラスの持つ記録に挑戦してほしいから。ニクラスの偉大な記録に挑戦できる可能性があるのはタイガーしかいない。追いつくことさえ難しいけれど、あきらめないでほしいんだ。
今日は、この“3Wood”が午後スタートだったため、なんとかやり繰りをしてプレーを観た。最初はトミーを9ホール追いかけた。急に吹いてきた雨風が原因なのかは分からないけれど、トミーはチャンスにつけられずにいた。7番で2つ目のバーディを獲り、そこでちょっと落ち着いたのだろう。8番ティでおいしそうにバナナを食べていた。そこから、終わってみれば、ボギーなしの「68」で回ってきた。ティショットはとても安定していたし、見ている限り、ミスというミスはしていない。この調子を維持できれば、日曜日にクラレットジャグを 手にする可能性のある位置にいることもできるんじゃないかな。
ウェストウッドもきょうは良かった。今週、彼のバッグは奥さんが担いでいる。重いツアーバッグを担ぐ彼女はたいしたものだ。ポートラッシュは山岳コース並みにアップダウンがキツいコースだから。キャディを雇うお金もないような新人でもないのに、大変な思いをしながらでも一緒にいたいと思う2人が微笑ましい。ただ強かった時のビリビリするようなオーラがなくなってしまったようにも感じた。
タイガーのグループについた時には、彼のスコアは6オーバーになっていた。いったい何が起こったのかは分からない。ただ、直後の15番でバーディを獲った時に、やっと入ったよ!みたいな、おどけたようなガッツポーズをしていた。前はそんなことしなかったのに。近づくだけで人を萎縮させるようなオーラを放ち、追いかける者に隙を与えず数多くの勝利を手にしてきたのに…。簡単に人を近づけてしまうような、そんな誰にでも手の届くタイガーになってしまったのかとさみしく思った。(文・塚田好宣)