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全米女子OPをディフェンディングとして迎えるカリー・ウェブ

人生には波があると、カリー・ウェブは考えている。それは何よりもゴルフにおいて顕著だとオーストラリア出身の26歳は思うのだ。3年前、ウェブは圧倒的な強さのアニカ・ソレンスタムを目の当たりにして、大いに刺激を受け、自分も同じレベルで戦いたいと考えた。そして、自分でも願った以上の成績を実現したのだった。過去二年間、ウェブには向かうところ敵なしだった。13勝をあげ、2年連続賞金女王に輝いた。しかし、今季のウェブは優勝者リストにまだ名を列ねていない。いまスポットライトを浴びているのは再びソレンスタムの方なのだ。

「2年前には、彼女がすばらしいプレイを続けていたので、私ももっといいプレイをしたいと思っていました。こういうことにはサイクルがあると思います。だからたぶん、今年の夏は私の活躍できる番ではないかしら」

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5月31日から6月3日まで、ノースカロライナ州サザンパインズのパイン・ニードルズ・ロッジ&ゴルフクラブで開催される全米女子オープンを前にして、その活躍のサイクルはいま、ディフェンディング・チャンピオンであるウェブではなく、ソレンスタムの方にある。そして、パイン・ニードルズはソレンスタムが1996年に全米女子オープン連覇を果たしたときの舞台でもあるのだ。

今年、ソレンスタムは揺るぎない自信をもってオープンに臨もうとしている。春先から4連勝しており、コース攻略法も5年前の勝利で自分のものにしている。一方、ウェブはといえば今年はオーストラリアと日本では勝っているもののアメリカではまだ優勝はなく、なんとしても勝ってからパイン・ニードルズへ乗り込みたいと願っている。去年は全米女子オープンの優勝を含めメジャーを2つとったウェブにとって、殿堂入りの条件も整った。ソレンスタムとともにLPGA在籍期間が10年となれば殿堂入りを果たすことになる。

「今年は過去2年と同じように好調だとは言えませんが、それほど事態が悪いとは思っていません」 ウェブは今年、トップ10に6回入っている。

「実際、優勝3回と2位が3回とで何が違うかと言えば、パットのミスが2、3回か、あるいは要所でドライバーに失敗しているというだけのこと。去年、おととしにはそれが起きなかったというだけなのです」

しかし、ウェブはミスをしたために流れがかわって、ボギーにしてしまうことのあるのを認めている。それは彼女が最初に全米女子オープンに勝った時以来、克服しようと取り組んできている弱点だ。彼女にとって1996年のパイン・ニードルズでのオープンは19位タイに終わった。それは悪くない成績なのだが、イライラしながらプレイをしたという最初の経験だったのだ。キャディーと激しくやり合うことも1度ならずあったことを思い 出す。タフなコース設定のなかで自制心を失ってしまったのだ。

「コースが難しくなるとは思っていましたが、だからどういう考え方でプレイすべきかということをわかっていませんでした。攻めていってスコアを悪くして、スリーパットが出た時にはもう冷静さを失っていました」

しかし、昨夏、シカゴ郊外メリットクラブでのオープンに勝ったことによって、ウェブは今年のオープンをより穏やかな気持ちで迎えている。ソレンスタムの快進撃のおかげでスポットライトがあたるのを免れていることは、彼女にとって歓迎すべきゆとりを生んでいる。春先には予定通り5週間もの休養期間をつくったこともあって、しっかり充電することができた。ウェブとしては「しかるべきときにピークをむかえられるよう」望んでいる。ソレンスタムが活躍しているのをみて焦るようなことはないという。

「彼女だけが私のモチベーションになっているわけではありません。私は彼女に勝つために努力しているわけじゃなくて、自分のゲームをより良いものにしたい。今のアニカみたいなすばらしいプレイを私もしたいのだけれど、それは私自身のためなのです」

一方、ソレンスタムは過去2年間のウェブの圧倒的な成績が励みになって、この2001年のシーズンに向けて努力してきたと言っている。結果は驚くべきものだ。ツアー4試合連続優勝。そこには3つめのメジャーとなったナビスコ・チャンピオンシップと、LPGA記録を塗り替えたフェニックスでの59、そしてロサンゼルスでの10打差を覆しての逆転優勝が含まれている。彼女の自信はこれまで以上に大きなものとなっている。ソレンスタムは高速グリーンも厭わず、深いラフも距離の長いコースも恐れない。反対に彼女はそうした全米女子オープンのセッティングこそ自分のゲームの真価を問うものだと考えている。1995年、そして96年に連覇を遂げた後、ソレンスタムは二度、予選落ちをした。勝ちたいというモチベーション、そして完璧であろうとする気持ちが、ときとして障害になったのだった。しかし、ソレンスタムはそれを乗り越えて、今年の驚異的な成績につなげたのだった。

「私は本当に難しいコースでプレイするのが好きです。そこでうまくプレイすることが私にできるかどうか見てみたい」

「いくつかの試合では集中力を維持して自制できたおかげで、すばらしいプレイができましたが、初日に崩れてしまった試合もあるのです。つねにコントロールできているようにしなければならないのです」

コントロールするということがパイン・ニードルズではキーになると彼女は考えている。最近、彼女は夫であるデイビッド・イーシュとともにパイン・ニードルズで2度の練習ラウンドを行っている。それは5年前の優勝の記憶を呼び起こすためだけではなく、2001年の新たなゲームプランを作るためだ。

「いろいろ思い出すことができました」

ソレンスタムは今年30歳。これまで28勝しているが、そのうちの24勝は96年の全米女子オープンに勝って以降のものだ。

「気持ちを抑えておくのがむずかしいでしょうね。だけど、ナビスコで勝った時のように自分の心理状態をコントロールしなくてはいけません。あの時は、自制できていて、穏やかでいられた。まさにそれが優勝につながったんです。私は疲れ切っていましたが、経験を積んだプレイヤーとしてプレイできた。それがパイン・ニードルズでは不可欠なのです」

ソレンスタムはサザンパインズでの前回の優勝の記憶は不鮮明だという。練習ラウンドを何度かしたこと、最終日に10番で他のプレイヤーの望みを断ち切るイーグルをとったことは思い出せる。しかしその8ホール後の18番でのパットを思い出せないというのだ。

「正直にいって、あの週のことはあまり覚えていないのです」 実際には最終ホールもパットを決めて4アンダー66で回り、クリス・チェダーに6打差をつけて勝ったのだった。

「あの週はまったくゾーンにはいってしまっていました。同伴競技者だったブランディー・バートンに、私はパットを決めたのかどうか聞かなければならなかったのです。彼女は『決めたわよ、あなたは』って。そのくらい、あの週は何も考えずにただ集中してプレイをしていました。私は結果のことも、なにも考えなかったのです。ただ、いいショットを打つことだけを考えていました」

ソレンスタムは、パイン・ニードルズでフェアウエイをはずしたのが4日間を通じてわずかに5回。8アンダー、トータル272は全米女子オープンの最少スコア記録となった(1999年にジュリー・インクスターがミシシッピ州のオールド・ウエイバリーGCで16アンダーの272を記録している)。96年のパイン・ニードルズではほかにアンダーパーで回ったのはクリス・チェダーのみ。チェダーは「いったい彼女はどこのコースをプレイしているのよって、私は何度も思ったわ」と語る。

距離がのび、少し改修されたパイン・ニードルズがソレンスタムとウェブを待ち受ける。歴史はくり返すのかどうか、始まってみないと分からない。しかし彼女たちは寄せては返す波のように勝ち名乗りをあげ続けてきた。両者ともにソレンスタムの成し遂げた記録を追い掛けることになるのは皮肉だが、ソレンスタム自身は自らの過去の成績を再現しようとしているし、ウェブの方はなにかハッキリとしない運のようなものを求めているのかもしれない。

歴代の54人のチャンピオンのように、ウェブにも優勝のトロフィーを開催コースへ送り返さなければならない日が来たが、主催者はディフェンディング・チャンピオンへの配慮を忘れなかった。

「おかしいんです。私がトロフィーを送り返すためにパッキングした日に、箱が一つ届いて、なかにはトロフィーのレプリカが入っていたの」 メディアデーのためにパイン・ニードルズへやってきたときウエッブはそう言った。陳列棚に穴をあけなくてすんだというわけだ。

「レプリカは本物とほとんど同じで、少しサイズが小さいだけ。だから、入れ替えただけで返した気がしません。1996年にアニカがディフェンディング・チャンピオンとしてここへやってきて勝ったことも考えれば、幸先がいいことですね」

「私はアニカの後をついていければと願っています。彼女が成し遂げたことをね。彼女と競うのは楽しそうだわ」 Lisa Antonucci (GW)

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