「世界一美しいゴルフ場だった」 エビアン日本人初制覇の小林浩美が語る日本勢への期待
◇女子メジャー第4戦◇アムンディ エビアン選手権 事前情報◇エビアンリゾートGC(フランス)◇6479yd(パー71)
女子メジャー今季第4戦「アムンディ エビアン選手権」は9日(木)に開幕する。日本からは総勢16人が参戦し、2024年大会を制した古江彩佳以来の頂点を狙う。1994年に欧州女子ツアーのメジャーとして始まった本大会は、2000年から米女子ツアーとの共催となり、13年には5番目のメジャーに加わった。
特色ある歴史を持つ本大会を、1997年に日本人として初めて制したのが日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の小林浩美会長だった。単独インタビューに応じて当時を振り返り、コース攻略ポイントと新たな日本勢制覇の可能性を語った。(編集部/中村文香)
大会を制したからこそ分かる“日本勢の活躍は必然”
29年前、招待選手として初めて降り立ったフランスのリゾート地、エビアン・レ・バン。コースに到着した小林は体調不良だったが、アルプス山脈を背にレマン湖を望む景観に息をのんだ。「めちゃきれい。世界一景観が美しいゴルフ場だ」。ただし、発熱により練習はできず、ぶっつけ本番でティオフを迎えることとなる。
ローラ・デービース(イングランド)が2連覇中の大会において、コースを十分に把握していないにもかかわらず2打差4位の好発進。最終的にはアリソン・ニコラス(イングランド)とのプレーオフに持ち込んだ。当時は現在のようにグリーン前に池のなかった18番(パー5)で第2打を6mにつけると、そのままイーグルを奪って1ホール目で優勝を飾ったのだった。
自身が大会を制した経験を持つからこそ、当コースでの日本勢の活躍は必然だと語る。「ちょっと日本のコースに似ているなっていう感覚があったんです。山肌を行ったり来たりする山岳コースで、やっぱり狭い。どのポイントに何yd打つかというマネジメントが常に必要だし、グリーンの芝目がきつくて、傾斜と反対に上っていく。色んなライから距離感を合わせる技術も求められる。単に飛距離だけでは勝てない」。攻略のポイントとして挙げたのは、大きな打ち下ろしもある4つのパー3での距離感と、「バーディを獲らないといけない」というパー5。
注目はメジャー2勝目が懸かる山下美夢有
そのコースで最も注目する選手を問うと、山下美夢有の名前を挙げた。「ショット精度は世界トップレベルです。グリーンが止まるときはキャリーだけを考えればいい。でも硬いと、着弾してからどれだけ転がるかまで計算しないといけない。美夢有ちゃんは、それができる選手」。2025年のAIG女子オープン(全英女子)制覇にも、その技術が凝縮されていたという。「だから今回も期待しています」と言葉に熱がこもった。
もちろん、注目は山下だけではない。24年大会覇者の古江については「本来の調子を取り戻せばまた勝てるチャンスがある」と話し、日本ツアーから出場する佐久間朱莉、桑木志帆、高橋彩華にも「期待大だ」と熱い視線を送る。
「3人とも日本を代表する選手で、ショットの安定感があります。広くて飛ばしていくコースではないので、セカンドショットの精度が求められる。いい状態で入ればハマると思います」
16人の後輩に歴史の新たな一歩を託す
1997年、小林が頂点に立った時、この大会はまだメジャーではなかった。「メジャーだったら良かったという思いはない。だって、しょうがないもん(笑)。当時はメジャーじゃなかったけれど、ヨーロッパで一番大きい大会だったからうれしかった」。当時34歳。国内ツアーで9勝、米ツアーでも「JALビッグアップルクラシック」「ミネソタLPGAクラシック」とすでに2勝をマークしていた。「ヨーロッパでも勝てたということ。日本、アメリカに続いて違う国で勝てたっていうのは、すごく自信になった」。称号では測れない、1勝の価値があった。
ところで、日本ツアーの国内メジャーは「ワールドレディスサロンパスカップ」「日本女子オープン」「ソニー 日本女子プロ選手権」「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」の4試合。本大会と同じように“第5のメジャー構想”の可能性を問うと「(海外)メジャーはアメリカに3つ、イギリスとフランスに1つずつと国が違う。日本の今の4つはそれぞれ特色と歴史がある。これらを今以上に盛り上げていかないとね」と笑顔で否定した。
小林の勝利のあとには、米ツアーとなってから2009、11年に宮里藍が、そしてメジャーとなってからは24年に古江と節目で日本勢がトロフィーを掲げてきた。「日本選手には本当にチャンスがある。みんなして上位に行って、根こそぎ席巻してほしい」。小林が大会の歴史に名を刻んで29年。16人の後輩たちが新たな一歩を刻んでくれることを願っている。