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2024年 AIG女子オープン(全英女子)
期間:08/22〜08/25 場所:セントアンドリュース オールドコース(スコットランド)

金メダル、殿堂入り、8年ぶりメジャーV…リディア・コー「クレイジーな3週間」

◇女子メジャー最終戦◇AIG女子オープン(全英女子) 最終日(25日)◇セントアンドリュース オールドコース (スコットランド)◇6784yd(パー72)

美しすぎる形で節目に到達したキャリアには、なおも想像を上回る続きがあった。2週前の「パリ五輪」で金メダルを獲得してツアーの殿堂入りを果たしたリディア・コー(ニュージーランド)が、8年ぶりのメジャー優勝を遂げた。「この3週間はクレイジーで、つむじ風のようだった。これ以上いいことはないと思っていたけど、今週私はAIG女子オープンのチャンピオンになった。もちろん、オールドコースでの優勝は特別なもの。天にも昇るような気分」とパリに続いてうれし涙をぬぐった。

3打差から出た最終日は強風に加えて雨も降ったオールドコースが混戦模様を演出。首位スタートの申ジエ(韓国)、一時単独トップに立った世界ランキング1位のネリーコルダがサンデーバックナインでスコアを落とし、16番で並んだことを知った。「そこから17番をパーで切り抜けて、18番でバーディを獲ることを目標にしたの」

強烈な横殴りの雨に見舞われた17番で「私の今までのベストショットのひとつ」と胸を張る一打が出た。右からのアゲンストを切り裂くような3Wの低弾道でグリーンを捉え、難関ホールをバーディ逃がしのパー。「ある意味、コンディションのせいで選択肢はなかった。3Wか、やっぱり3Wか。ほかのクラブでは届かなかったから。アグレッシブなスイングができたのは良かった」。苦しいはずの状況を、迷いを断ち切る材料に変える強さがあった。

18番は右上から2m強のチャンスを仕留め、力強くこぶしを握った。「プレーオフにもつれようとも、勝利を逃すことになろうとも、まず自分にチャンスを与えたかった。そうすることで、勝てる勝てないを考えるよりも、ただ目の前のことに集中していたから、少し楽だった」。最終ラウンドのラスト15組では唯一の60台となる「69」で通算7アンダー。雨が上がったオールドコースで夕日を浴びながらカップを掲げた。

前回当地で行われた2013年大会は16歳でローアマを獲得した、かつての天才少女。浮き沈みを乗り越え、いま再び充実期を迎えている。金メダル獲得で殿堂入りを決めた際、取りざたされた引退の可能性は改めて否定する。

「いま起こったことを説明できる言葉は辞書にもないと思う。でも、ある人が『殿堂入りを最終目的地ではなく、最終目的地に向かう途中のガソリンスタンドのようなものだと考えてみたら?』と言ってくれた。その話を聞いて、殿堂入りして『ゴルフよ、さようなら』って言うのは違うかもしれないと視野が広がった。まだプレーするつもりよ」

2025年大会はウェールズのロイヤルポースコールで開催される。「ウェールズに行ったことがないから楽しみ。新しいコースに行けるのもワクワクしている。以前はゴルフ場とホテルの往復だったけど、少し年齢を重ねて、いろいろなレストランに行ったり、景色や会場を楽しめるようになったの」。輝かしい現役生活の幕引きはもう少し先になりそうだ。(スコットランド・セントアンドリュース/亀山泰宏)

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