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殿堂入りに“王手” ホテルで泣くリディア・コーを立ち直らせた夫の言葉

◇米国女子◇ヒルトン・グランドバケーションズ トーナメント・オブ・チャンピオンズ 最終日(21日)◇レイクノナG&CC (フロリダ州)◇6608yd(パー72)

涙はなかった。リディア・コー(ニュージーランド)は「泣くかと思った。『あなたはよく泣く』って言われるから。でも、何も出てこない。それが何を意味するかも分からない」と言った。

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昨年12月にジェイソン・デイ(オーストラリア)とのペアでツアー外のダブルス戦を制しているが、個人での優勝は昨年2月の欧州女子ツアー「アラムコ・サウジレディース・インターナショナル」以来。主戦場の米ツアーでは2022年「CMEグループ ツアー選手権」を最後にタイトルから遠ざかっていた。

最終戦を勝った22年は14年、15年に続く3度目の年間女王、15年以来の年間最優秀選手と賞金女王に輝いた。一転して23年は米国で未勝利。年間ポイントレースでも100位に沈む大スランプに陥った。「2022年が信じられないような年だったように、2023年は大きな疑問符がついた年だった」と振り返る。

この日は見せなかった涙を流した夜を思い出す。昨年10月「ウォルマート NW アーカンソー選手権」。2位発進も、2日目以降に順位を下げて48位で終えた。「どうして次の日になると、いいプレーができないのか。自分でも分からなかった。ステイブリッジ・スイーツの部屋で『このトンネルの先には何があるんだろう?』と思って泣いたわ」

どん底から救ってくれたのは夫であるチョン・ジュンさん。「なぜ、そんなに自分に期待するの?」―。14歳だった2012年に豪州ツアーで優勝してから、エリート街道を歩んできた。自分に期待するのは当然で、いいプレーができないと感じながら試合に出るつもりもなかった。

「彼の言う通りだと思った。自分のアイデンティティとゴルフを常に結び付けて、いいスコアが出ないからといって、人間としてダメだと感じる必要はない。悩んでいたからこそ、些細なことに影響されてしまったのかもしれないけど、もっとポジティブに考えるべきだと思った」

新シーズン開幕戦も、必ずしも好調とはいえなかった。それでも、ここは毎日自宅からゴルフカートで通えるホームコース。「多くのコースメンバーが駆け付けて応援してくれた。緊張も軽減された」。単独トップから後続に2打差をつけて逃げ切った。

27歳になる前に米ツアー通算20勝に到達したのは、ナンシー・ロペス、カリー・ウェブ朴セリ、ミッキー・ライト、ロレーナ・オチョアキャシー・ウィットワースに続く7人目。ツアー優勝で1pt、メジャー優勝で2ptなどと設定されている殿堂入りのポイントも累計26ptとなり、条件の27ptに“王手”をかけた。

「文字通り、ドアの前にいる。でも、そのことはあまり考えないことにしている。去年は殿堂入りを追いかけていたと思う。人間だからね。次に出場する時、『ここで勝てば殿堂入りだ』とか、ゴチャゴチャ考えても良いことはない。私はただ、できる限り最高のゴルファーになるために努力しなければならない」。同じ“過ち”を繰り返すつもりはない。(フロリダ州オーランド/亀山泰宏)

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