藤田寛之、今は「自分のゴルフを作っていく時」
<今やツアーのご意見番!? 横尾要が新たな心境で向かう2014年>
日大三羽がらすと呼ばれた3人衆も、揃って41歳。不惑を迎えて、三者三様。片山晋呉は6度目の賞金王を目指すと公言しているし、宮本勝昌は次の9勝目にむけて、虎視眈々。同時に「ゴルフで自分の周りの人を幸せにしたい」と、今までとはまた違った心境で、ツアーを戦う覚悟を打ち出している。
そして3番目の“カラス”は近頃、ツアーのご意見番。横尾要は先月のジャパンゴルフフェアでも、その片鱗をうかがわせる存在感で目立っていた。
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宮本と、先輩プロの藤田寛之とともにステージに立ったトークショーで、最近の若者の活躍について語る際に、その出現を歓迎するとともに、さらなる飛躍を願うコメントに終始した他の2人に対して、横尾はまったく別の視点で持論を展開。
「僕はぶっちゃけて言いますけど、まず今の若い子は挨拶がなっていな」と、ばっさりと「日本人は礼儀を重んじてきたはずなのに、今の子はそこからしてダメですね」と、熱弁をふるい始めて藤田も宮本も思わず顔を見合わせて苦笑いだ。
近頃では横尾のこんな光景は、ツアーでも名物となりつつある。生前はドンこと杉原輝雄がその役目だったが、横尾もベテランの自覚からか、ダメなことにはダメと、特に若手に意見することがめっきり増えた。
しかし、藤田や宮本とは違って、けっこう本気な横尾のぶっちゃけバナシには慣れていない観衆のみなさんは、ここは笑って聞けばいいのか。どう反応したらいいのやら、といった空気を察した宮本が、すかさずフォロー。「こうして厳しいことを言ってくれる人が、ツアーにもいないとダメですよね」と言えば、本人も「いや~、俺はこれからこれで行きますよ。このまんまで行きます」とたとえ嫌われようが、この先も“昭和の雷オヤジ”を貫くと、マイペースに宣言。それもこれも、愛するゴルフ界のさらなる隆盛を願ってこそだ。
もはや死語ともなりつつある“体育会系”を今も地でいく男は、何に置いてもこだわりの強さはハンパではない。池田勇太の代名詞でもあるスリータックパンツも、元祖は「僕」と譲らない。「勇太よりもずっと前から愛用しているので」と、何より動きやすさを重視したたっぷりとしたシルエットは、遠目からでもあぁ横尾、と分かる、ひとつの大きな個性になっている。
そのほか、帽子はつばの長いタイプが嫌い。策としてハンチングを愛用したり、プレー中にグローブをしないのも、「ラウンド中につけたり外したりすると、ベリっと大きな音がして、同伴競技者に迷惑がかかる。そういうのも面倒だから、つけなくなった」との理由もまた横尾らしい。
クラブへのこだわりも相当なもので、長年愛用し続けているという「ベンホーガン」は、もしものために、スペアの用意も万全に「いやあ、替える勇気ないだけなんです」と苦笑しつつも、「成績の悪さをクラブのせいにしたくない。悪いなら、自分の腕が悪いと思いたいので」と、男らしい。
今年こそ、7年ぶりのツアー通算6勝目については「もう無理なんじゃないですか?」と、そこはなぜだか弱気だが、それでも「最後の悪あがきをしたい」とは、やや自虐的ながらもツアーのご意見番は、自らのゴルフでも、若手に手本を示すつもり。「年寄りもまだまだ頑張っているというところを見せたい」と、気張る横尾。ベテラン勢の意地にも注目だ。