選手コメント集/東建ホームメイトカップ3日目
2010年 東建ホームメイトカップ
期間:04/15〜04/18 場所:東建多度カントリークラブ(三重)
名俳優の名を持つ異色の新人登場!!
2010/04/19 10:31
ジャパンゴルフツアーは4月15日にいよいよ開幕。先週の「東建ホームメイトカップ」の会場で、18歳の賞金王以上(!?)に話題にのぼった選手がいた。わたり哲也、27歳。
本当は、名字はもちろん漢字で「和足」と書く。しかし、それでは「誰も“わたり”と読めない」と、ツアーの登録名を平仮名にしたのだが、これが、いっそう目を引くことに。
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当然だ。あの名俳優、渡哲也さんと漢字は違えど同姓同名。
組合せ表にその名を見付けたギャラリーは、みな目を輝かす。“遼くん”の観戦をいったん中断して「どんな選手か一目でも」と、わたりの組を見に行く人が続出。「おお、あの青年か!」と、感心しきった声が、あちこちから漏れ聞こえたものだ。
スラリと188センチの長身は、それだけでもインパクト大だが、実際に話をしてみると、キャラも期待を裏切らない。やっぱり真っ先に聞きたいのは名前の由来。すると、軽妙な語り口で喋るわ喋るわ! 若手芸人顔負けの弾丸トークで笑わせてくれるのだ。
“名付け親”は、6歳上のお兄さんの憲明さんだという。当時、大人気の刑事ドラマ「西部警察」の大ファンで、中でも渡さん扮する“大門刑事”がお気に入りだった。いかついサングラスでライフル銃を構える姿に惚れ込んで、次に生まれてくる子の名前は「絶対に“哲也”にして!」。その一言で、弟の運命は決まった。
また当人も、一度“その気”になったことがあるという。お兄さんからドラマのビデオを見せてもらったのは小学校のとき。銃を構えた渡さんが、凶悪犯人を追って単身、建物の中に乗り込んでいくシーンは直後に大爆発、そして炎上・・・・・・・。このシーンに感動した。
「ちょーかっけえ(超かっこいい)」と叫んだ少年は、堂々宣言。「俺も渡さんのような俳優になる!」。いいや、この名前を授かったのならならねば男がすたるというものだ!それくらいの気持ちだったという。
すっかりその気になって、小3の学芸会では主役をつとめた。「でも、俺にはその才能がないって気がついたのもこのときでした・・・・・・。それに、この顔じゃあダメでしょう?」と、浮かべた笑顔は愛嬌たっぷり。
なかなか100を切れなかった父親が、「お前は将来、ゴルフで苦労しないように」というユニークな理由から、地元熊本県の「坂田塾」に入れてくれたのは10歳のとき。そこですっかりゴルフにハマリ、それからはトントン拍子でまっしぐら。
「活躍するならやっぱり海外でしょう」と、東海第二高卒業後は単身、オーストラリアへ。留学中の2006年は22歳でプロ転向を果たした。
昨年の出場優先順位を決めるファイナルQTでランク8位に入って今季の出場権を手にするまでは、豪州や韓国のツアーを渡り歩いていた。昨年は、時給680円のフィットネスクラブで食いつなぎ、辛抱強く出番を待った。
いよいよ迎えた先週のデビュー戦は、荒天にも耐えてイーブンパーの17位につけた初日の貯金を生かして、見事に予選を突破。そればかりか紙面にも、その名前が躍った。ことのほか喜んだ本人は、「遼くんみたいに、ちょっとは有名になれましたかね」と鼻高々。「いや、そんなわけないか」と笑ったが、今後の活躍次第では、それもありうる。
目下の夢は、本家本元の「渡さんと会うこと」だ。10月のキヤノンオープンの会場の神奈川県・戸塚カントリー倶楽部は渡さんのメンバーコースでもあるそうで、昨年大会のマンデートーナメントにエントリーの電話をかけた際に名を名乗ったら「先日はありがとうございました」と丁重に礼を言われたという。
「ちょうど前週の水曜日に渡さんが回りにいらしていたそうなんです。僕とご本人とを勘違いされたんですね」と、これまた微笑ましいエピソードで笑わせた。けっして名前倒しではない男・わたりに注目だ!