【GDO EYE】平塚哲二、酒と涙で頬をぬらした復活勝利
苦手だった大洗をとうとう征服!?平塚哲二/三菱ダイヤモンドカップ2004
「ボギーさえ打たなければ勝てる」
大洗の最難関、16、17、18番は魔の3ホール。それまで順調に来ていても、毎回、この3ホールにやられてきた。
昨年初日。いつも温和な平塚が、頭から湯気も上げんばかりに怒っていた。17番でボギー、18番でダブルボギーを打った。あまりの悔しさ、不甲斐なさに、ホールアウト後は、誰に何を話しかけられても足も止めず、練習もそこそこに、逃げるようにしてコースを飛び出していた。結局4日間、この3ホールだけで6 オーバーを叩いている。
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やはり、ここで行われた98年の日本オープンが、レギュラーツアーのデビュー戦。そのときから、もっとも苦手なコースのひとつとなった。だからこそ、2打差首位に立った前日3日目は、「ここでは、ほかの誰かと争っても、通用しない」と、平塚は思った。
「とにかく明日は、人とではなく、コースとの戦い」と、心に決めて迎えた最終日。平塚は、難攻不落の大洗に、真っ向勝負を挑んだのだ。
再三のピンチに見舞われたが・・・「それでいいんだ」
途中、何度もショットが右に曲がった。アドレスした時点で、無意識に右を向いていた。プレッシャーがかかってくると、途端に顔を出す悪いクセ。何度も林に打ち込んだ。10番で2位の谷原がイーグルを奪い、2打差まで詰め寄られた。
対する平塚は、特にパー5のチャンスホールで再三のピンチに見舞われていた。そのせいで、前半の3バーディのあと7番から伸び悩んでいたが、本人は、「それでいいんだ」と、気にかけてはいなかった。
「もともと、パーを重ねていくのが、僕のゴルフだし」。ここ大洗の、特に上がりホールでは、無理してバーディを狙っていくよりも、自分の持ち味を生かしたゴルフが求められている。ここ何年間か、痛い思いを繰り返しながら、つかんでいった攻略法だ。
「このままボギーさえ打たなければ、勝てるはず」。そう信じて、しぶとくパーを拾っていったのだった。