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“シンゴ(45)大会”を辛くも制した片山晋呉/中日クラウンズ

すでに1番ホールから追い込まれていた

スタート前から、すでに激しいプレッシャーに襲われていた。朝食時に、何気なく広げた朝刊の見出し。記事はどれも前日3日目の片山のプレーの内容を伝えていた。
“見えた通算20アンダー大会最少ストローク”
“片山、7打差で独走”
“片山、18アンダーぶっちぎり”
“日本ツアー最少スコア記録見えた、片山V王手”7打差つけて最終日をスタートするリーダーは『勝って当然』というのが世間の目。そればかりか、3日目に記録した54ホール192の日本新に続き、72ホールでのツアー最少ストローク260の更新にも、期待が集まっていたのだ。

「今日は絶対に勝たなければいけない」と、自らに言い聞かせた。その重圧が、さっそく、1番パー4のクラブ選択を鈍らせた。
普段は迷わずドライバーを握るティショット。スプーンを選んで、右のラフだ。「まるで初優勝のときみたい。すでに、1番ホールから追い込まれてバタバタだった。今日は1日、自分の中でいちばん弱い自分がプレーしていた」。
いつもなら、優勝争いのさなかはスコアボードをほとんど見ない。が、今回はなぜか要所要所で目に飛び込んできた。

冷静な片山が気持ちをコントロール出来なかった

豪州のポール・シーハンが、前半で5バーディと爆発していた。スタート時からの差はまだ十分あったにもかかわらず、片山はすっかり慌ててしまった。「自分で自分を追い詰めてしまった」のだ。前半のうちに、自身の目標でもあった通算20アンダーに、いちどは到達させたものの、バックナインで最初の貯金を大放出。13番でボギーをたたくと、15番からはまさかの3連続ボギーだ。通算16アンダーまでスコアを落として、すでにホールアウトしていたシーハンとの差は2打まで縮まった。

日ごろから、安定性には定評のある片山が今回、垣間見せた「人間らしさ」。結局、窮地を乗り越えそのまま逃げ切って、「とにかく45回の記念大会に勝てた。歴史に名を残せた。1打差でも2打差でも、とにかく勝てばいいんです」と、苦笑まじりに振り返る一方で、めったに自分を卑下しない選手が「情けない、最後はちょっとかっこ悪い」との本音もチラリ。大量リードを持ちながらの優勝争いだったからこそ、思い通りにプレーさせてくれないプレッシャーもあることを、今回、思い知らされたのだ。

「追われる立場で、最後まで自分をコントロールできなかった」この通算15勝目は、忘れない。

キメポーズ『ハッスル、ハッスル』を披露する余裕もなく・・・

「今回は、勝って学ぶことがたくさんあった。ほんとうによい経験をした」。自らシンゴ(=45)大会と銘打った、このメモリアル年の大会初Vは必ず今後の糧とする。 2打差で迎えた18番、ティショットはベストポジションの「右のフェアウェイの平らな部分に置く」(片山)と決め、パーで切り抜け大会初制覇。その瞬間は、今週のキメポーズ『ハッスル、ハッスル』を披露する余裕もなく、「とにかく、ホっとしました・・・」。仲間の胴上げで、宙を舞った。

写真下=大会を支えてくださったボランティアのみなさんと・・・「大会の成功はボランティアのみなさんのご協力なくしてはありえませんでした。また、45回という長きにわたって大会を開催してくださっている主催の中部日本放送さま、中日新聞さま、今年もすばらしいコースコンディションに仕上げてくださった名古屋ゴルフ倶楽部和合コースのみなさまに、選手を代表して厚くお礼申し上げます!」(片山晋呉

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