来季の国内男子ツアーは25試合に増加! 海外ツアーとの共催も
3年ぶりのツアー通算5勝目!!<今野康晴> サントリーオープンゴルフトーナメント
2005/09/12 12:00
サントリーモルツのビール・シャワーがアーチを描き、チャンピオンに降り注ぐ。妻・崇乃子さんが夫のためにと、親戚・知人をかき集めて結成した大応援団が、次々とプルトップを引く。あっという間に全身ビールまみれになった。
久しぶりの“美酒”はまた格別だ。「勝てなかった3年間。長かったですから・・・」。ずぶ濡れのまま、しみじみと喜びをかみ締めた。
2002年に2週連続優勝を挙げて賞金ランクも9位につけたが、その直後から体の故障に苦しんだ。深刻な左肩痛を患ったあと、翌2003年には「そのツケが回ってきた」。原因不明の“むくみ”に悩まされ、不振が続いた。普段はあまり物事に頓着しない性格だが、ことゴルフとなると「完璧を求め、とことん突き詰めるタイプ」(妻・崇乃子さん)。
<< 下に続く >>
特に手のむくみには、敏感になった。グリップのフィーリングが「まるで、太いタオルを握っているみたいで気持ち悪い」。握力は55から30㎏台にまで落ち込んで、「そのせいで思うようなスイングができない」と、病院を転々としたが原因がわからない。
2002年に偶然ジムで知り合って以来、チームを組んできたトレーナーの菅原賢さんと、手探りで回復につとめるしかなかった。この週は、今年から千葉県市川市に構えた3階建ての新居で菅原さんと寝食をともにして、20畳もあるというトレーニングルームで毎晩3時間以上も入念なマッサージを受けるなど、万全の体作りに励んだ。
首位タイで迎えた最終日は、小山内護と1打差の大接戦。前半には1打リードを許す「ハラハラ、ドキドキの展開」にも支えとなったのは、「あれだけ練習してきたのだから」という自信。どんなに体調が悪い日も、練習だけは怠らなかった。理想のスイングを追い求め、クラブを握った。この週、練習日には深いラフからのアプローチを繰り返した。
大接戦で、この入念なリハーサルが生きた。再三のピンチも、アプローチでしのぐ。2打差首位で迎えた16番パー3。グリーン奥の深いラフに打ち込んだ第2打を1メートルにピタリ、と寄せてみせた。追いすがる小山内を、振り切った。
日大で当時、3強と呼ばれた片山晋呉、横尾要、宮本勝昌らのひとつ後輩。95年に日本オープンのベストアマチュアに輝くなど、将来を嘱望されて96年にデビューを果たした。ツアーきってのショットメーカーとして注目され、99年の中日クラウンズで尾崎直道を下して初優勝をあげた。
ツアー2勝目は2000年のミズノオープン。伊沢利光に競り勝った。思わぬアクシデントでしばらく優勝から遠のいていたが、ツアー5勝に甘んじている選手ではない、という自覚もある。
今年は伊沢、片山、谷口ら、ここ3年の歴代の賞金王たちの元気がない。「みなさんに、もっと頑張ってもらわないと。だってレベルの高い人たちと、もっと競り合いたいから」。
この優勝で賞金ランク2位に浮上。初の賞金王を狙うにしても、ビッグネームが揃わないと張り合いもない。
写真中=大会主催のサントリー株式会社、佐治信忠・代表取締役社長より、サントリーの「ザ・プレミアムモルツ」1年分の優勝副賞を受け取る今野。
ちなみに、「ザ・プレミアムモルツ」は、世界の「モンドセレクション」で、最高金賞を受賞した逸品でもある。