キャディが後方に立って2罰打の李昊桐 物議にR&Aが見解
2019年 ファーマーズインシュランスオープン
期間:01/24〜01/27 場所:トリーパインズGC サウス&ノースコース(カリフォルニア州)
ローズ、スコット、松山英樹 大物たちが示した“存在感”
2019/01/29 16:34
前週の米ツアー「ファーマーズインシュランスオープン」は、状態が懸念された大物選手が存在感を示しました。優勝したジャスティン・ローズ選手(イングランド)、2打差2位になったアダム・スコット選手(オーストラリア)、そして2季ぶりにトップ3に入った松山英樹選手のことです。
まずは今年から本間ゴルフと用具使用契約を結んだローズ選手。世界ランキング1位、昨季のツアー年間王者という立場にありながら、さらなる前進を求めて変化することを選びました。2週間前の19年初戦、欧州ツアー「デザートクラシック」で34位。もちろん強い選手なので、それほど心配されたわけではありませんが、クラブを替えて早々に結果を残せたことは大きいと思います。
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最終日の前半7番、38歳のベテランの地力が出ました。2打目はグリーン右サイドに切られたピンに対し、右手前にガードバンカーがある状況。ローズ選手はその日の5番、同様のシチュエーション(右ピン)で、右手前のガードバンカーに入れボギーにしました。直前の6番(パー5)では3パットのパーに終わり、ラウンド前にあった3打のリードは、ジョン・ラーム選手(スペイン)に1打にまで詰められていました。
高難度のホールで、嫌な流れを断ち切るためにピン左に置いて2パットのパーを拾うのがセオリーです。しかし、ローズ選手は9Iで抑えめに打ってピン右1mにつけてバーディ。若手やはじめて優勝争いをする選手では、崩れてもおかしくない展開でした。実はローズ選手は7番を前に、「ここからもう一度リセットする」とそれまでの自らのスコアカードに線を引き、冷静さを保ったといいます。流れを自ら呼び戻しました。
そしてスコット選手も久々に優勝争いを演じました。16年のアンカリング規制後、パットに苦悩。ここ数年様々なパターをテストするなど試行錯誤しましたが、19年の規則改訂で、グリーン上で旗竿を挿したままパターを打つことが可能になりました。スコット選手は4日間、ほとんど旗竿を抜かずにパット。パターの握り方も変え、大会4日間のパット貢献度は全体14位になる「+3.594」(合計)でした。まだ1試合ですが、グリーン上で自信を取り戻せれば、今後も上位に来る可能性は極めて高いはずです。
また、松山選手にも復調気配が漂いました。3日目にスコアを落とし優勝には届きませんでしたが、最終日は1ホール以外でパーオンするなど、ショットのスタッツは軒並み上位。久しぶりの優勝争いの緊張状態でこれだけ高い数値を出すことは、間違いなく彼の実力です。良い感触を持って2季ぶりの大会優勝を目指す今週の「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」に入れると思います。
さらにはタイガー・ウッズ選手が最終日に「67」を出すなど状態の良さも見られました。ローズ選手の強さを再認識した裏で、大物たちの活躍がありました。今年も米ツアーは必ず盛り上がる。そう思えた1週間になりました。(解説・佐藤信人)
- 佐藤信人(さとう のぶひと)
- 1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。