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佐藤信人の視点 勝者と敗者

勝敗を分けた一瞬の嵐

「自分に向いている」。それが、日本プロゴルフ選手権の試合前、コースセッティングについて発した谷口徹選手の感想でした。

谷口選手は、房総CC房総ゴルフ場のセッティングについて、良いイメージを持っていることを明確に語っていました。「入れると0.5罰打」とされた難易度の高い長いラフについて聞くと、「狭いフェアウェイだからこそ、狙い通りに打てないと大変なことになる。打ちたいところへ打つことさえできれば、コンパクションは高いので、転がって(若い選手と同等に)戦うことができる」と話していました。

最終日の戦い方は、まさにその目論見どおりになりました。特に予想外の大雨で、誰が打っても飛距離が出ない状況。さらにラフが難敵と化し、求められるのは、正確なコントロールと悪いライも打破する経験値となったわけです。

相手の藤本佳則選手の長所は、飛んで曲がらないショット力です。今季ここまでの平均飛距離を比べても、藤本選手291.75yd(19位)に対し、谷口選手は261.47yd(127位)(※日本プロゴルフ選手権終了時点)と、その差は歴然でした。

最終日、前半は圧倒的に藤本選手のペースでした。飛距離に定評のある武藤俊憲選手とともに、同組の谷口選手を20~30yd置いていく展開。快調に飛ばす2人の後輩の後ろを、何とか追いすがる先輩、という構図で試合は進んでいきました。

状況が一変したのは15番のティグラウンド。それまでも雨は降っていましたが、その瞬間だけ突風が吹き、嵐のような状況になったのです。このホールで両者ともボギーを叩きますが、谷口選手は嵐の影響でティショットがフェアウェイに届かないほどショート。一方の藤本選手はフェアウェイに置いたものの、ボギー。アドバンテージのあった藤本選手が、さらに差をつけるチャンスを自ら逃したように見受けられました。

一度変わった流れは、その後藤本選手に大きなビハインドとなります。17番(パー4)、18番(パー5)で、もう少し違う場所に落とせていたらと思うようなライの悪い状況が続き、一時は2打差あった谷口選手に追いつかれました。長所である飛距離を生かせなくなった藤本選手。形勢は逆転し、迎えたプレーオフ2ホール目。18番でそれまで使用していたティから、やや前に移動されました。これだけを聞くと、飛距離の差を生かせる藤本選手のほうが有利と思われますが、前に移ったことで彼の飛距離にちょうどかかるあたりにクリークが存在してしまう不運が起きたのです。それが影響したためか、ティショットを右に曲げ、通常なら2オンできる藤本選手が刻まないといけない状況に追い込まれました。

両者3オンで迎えたグリーン上。私が注目したいのは、谷口選手の残り5mのウィニングパットです。実はこのパット、簡単なようでなかなか打ちきれない距離。先にパーを決めた藤本選手の結果を見た直後で、この距離のパットを入れようとすると、余計強く打ち出してしまい、オーバーしてしまう危険性をはらんでいたからです。

特に雨に濡れた重いグリーンだと、並みの選手では、距離を合わせにいって球足が弱まり、カップ際で曲がるというパターンです。あそこでカップを狙いにいける谷口選手の精神力は、ツアー通算20勝を誇る実力者に値するものと言えると思います。自分の力を信じ、良いイメージが頭を支配していたからこそ、打つことのできたパット。これまでも何度も驚かされてきた先輩のプレーに、また脱帽させられる瞬間となりました。

少ないチャンスをものにした谷口選手。そして、最後までそこに立ちはだかった藤本選手。両雄の緊迫した駆け引きによって、ことしの国内メジャー初戦は見応えのある一戦となりました。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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