永井花奈ら21人が生涯一度の栄誉を競う
元・天才少女 高橋恵がイップス乗り越えプロ初勝利に王手
◇国内女子◇LPGA新人戦 加賀電子カップ 初日(8日)◇グレートアイランド倶楽部(千葉)◇6526yd(パー72)
今年のプロテスト合格者21選手による2日間競技が開幕。20歳の高橋恵が4アンダー単独首位で滑り出した。アマチュア時代の2010年、13歳にして下部ステップアップツアー「ANA PRINCESS CUP」で優勝。その後は「天才少女」としての期待に苦しみ、不振を極めたが、後続に2打差をつけてプロ初勝利のチャンスを手繰り寄せた。
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その名をとどろかせたのは6年前。中学2年生だった高橋は下部ツアーではあるが、並み居るプロを押しのけ、下川めぐみ、金田久美子をプレーオフで破った。いまも残る史上最年少優勝の快挙。「女・石川遼」の声も上がるほどの注目度だった。
「あのときは勢いだけで…」と振り返った当時、周囲の期待は少女を飲み込んだ。不調でなくとも、好結果が出ないと「どうしたの?」と心配された。「苦しかった」と言う時期。吹っ切れるまでには5年かかった。昨年、初めて受けたプロテストは不合格。パターイップスから「50センチのパットも一切入らなかった」が、絶望の淵から転がり落ちて吹っ切れた。「もう深く考えない。パターの練習もしばらくやめよう」と気持ちを軽くしたことで、状態は徐々に上向いたという。
この日の最終18番を5アンダーで迎えた高橋は、残り140ydの2打目を8Iで左サイドの池に入れた。4打目で乗せて、残った2.5mのボギーパット。下り傾斜に対応してねじ込んだ。「決まってよかった」とニッコリしたのは、イップスを克服した証しでもあった。
今月の最終予選会では7位で来シーズンのフル出場権を手にした。今大会は不動裕理、横峯さくら、上田桃子、森田理香子らが制した若手の登竜門。「いつか賞金女王になりたい!」。迷えたかつての天才少女は、迷うことなく言い切った。(千葉県長南町/林洋平)