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「こんな状態なら、やめなきゃいけない」 金田久美子が乗り越えた2勝目の壁

◇国内女子◇樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント 最終日(30日)◇武蔵丘GC(埼玉)◇6550yd(パー72)

ウィニングパットを沈めて緩んだ金田久美子の涙腺は、スコア提出所で崩壊した。目に飛び込んできたのは、大会名誉会長でもある樋口久子氏の涙。「アマチュアのころからトーナメントに出て、化粧が濃いとか(笑)、温かい“おしかり”の言葉もたくさんいただいてきた、あれだけ怒られていた自分が、樋口さんの大会で勝てたことがうれしかった」と感慨があふれた。

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3打のリードを持って出た最終日、前週優勝の19歳・川崎春花が最後まで食らいついてきた。後半15番の3パットボギーで、ついに1打差。それでも、不思議なほどゲームを客観視できている自分がいた。勝負どころと踏んだ17番は、前週まで大の苦手にしていた少しつま先上がりのセカンド。今週、会場入りを開幕前日に遅らせてまで猛特訓してきたライだ。「自信を持って打てた。ここで決めたら勝てるのかなと思った中で“それなり”のショットができた」。160ydを7Iで1mに絡めた一打でルーキーの挑戦を退けた。

シード喪失という表現も生ぬるいほどのどん底からはい上がってきた。1Wを握ればチーピンが出て140ydほどしか飛ばず、アイアンショットはフェアウェイから大きなグリーンを捉えることもままならない。パターも50㎝が決まらない。「(自分から)やめようとは思っていないけど、こういう状態なら、やめなきゃいけないというか…こんな恥ずかしいゴルフならやっていてもしょうがないんじゃないかって、ずっと思っていました」。ゴルフ場に来るだけで涙があふれ、吐き気を催すことすらあったのは、ほんの5、6年ほど前のことだ。

生来の負けず嫌いだけでは、逆境にあらがえたか分からない。「11年間、ずっと帯同してくれているマネジャーさんも、応援してくれているファンの皆さんも、私以上に私のことを信じてくれた」。悔しさにまみれながら、勝利への執念を持ち続けることができた。

2011年「フジサンケイレディスクラシック」以来、ツアー最長記録(1988年のツアー制施行後)となる11年189日(4207日)ぶりのブランクV。「プロになったくらいのときは、ホントに恥ずかしい話ですが、すぐに勝てると思っていたんです」。甘くない現実を知ったのは、むしろ初優勝を飾った後からだった。

開幕前はポイントランキング70位にいた。「すごく重い優勝。初優勝より、今回の方が正直うれしい」とかみ締めた後で、心の底からホッとしたようにつぶやく。「70位以内じゃないと、QTにファーストから行かないといけない。ファーストどころか、ファイナルにも行かなくていいのが一番うれしいかも」。歩んできたキャリアの苦労が、素朴なひと言に集約されていた。(埼玉県飯能市/亀山泰宏)

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2022年 樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント



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