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銀メダリスト稲見萌寧を「尊敬」、同世代の木村怜衣が月25ラウンドで目指すスタートライン

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2021年度プロテスト1次予選が、18日からスタートする。コロナ禍の影響で延期され、6月25日に終了した20年度最終テストは通算4アンダー20位タイまでの22人が合格。全受験者のうち「約3.9%」しか突破できなかったが、壁に阻まれた選手の大半が再度、今年2回目のテストを受ける。彼女たちは何を思い、チャレンジを続けるのか。その素顔に迫る。

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■「どん底」後、練習の質を見直して飛距離270ydに

21歳の木村怜衣は、東京五輪で銀メダルに輝いた稲見萌寧と同学年だ。稲見以外に目立った選手はおらず、1998年度生まれの「黄金世代」と2000年度生まれの「ミレニアム世代」の間で、「はざま世代」とも呼ばれている。木村は過去3回プロテストを受け、4回目の21年度テストに向けて準備中。初挑戦だった18年度1次予選は12位で通過、同じ会場で稲見は1位通過だった。あれから3年。日本代表になり、銀メダリストになった稲見を見て、木村は思った。

「『すごい』のひと言です。テレビからも、『静かに燃えている』感じが伝わってきました。連続バーディを獲っても喜び過ぎず、淡々としている。それでいて、プレーはアグレッシブ。そして、何よりも大舞台で自分の力を出しきれるところを尊敬します」

稲見がツアー初優勝を飾った19年、木村はどん底の状態だった。18年度は2次で不通過となり、「今年こそ合格する」と思って挑んだテストは、1次さえ突破できなかった。「気持ち的に病んでいました。1次で落ちて『ゴルフで生きていくことは無理なのか』とも思いました」。その後、台湾ツアーの予選会を受けたが出場権を得られず、悩んだ末、練習の質から見直すことに行きついた。

「『芝で打つ』大切さを考え、とにかくラウンドを重ねるようにしました。東北高時代からお世話になっている泉パークタウンGCや他のコースで、計25ラウンドした月もあります。その中でコースマネジメント力がつき、スイングが変わってきました。以前はクラブが下から入って、振り遅れのミスが出るドロー打ちでしたが、芝で打ち続ける中で打ち込む大切さが分かり、今では意識してフェードも打てるし、ほぼストレートの球筋になりました。そして、日々のラウンドで足腰が鍛えられたことに加え、トレーニングの成果でドライバーの平均飛距離が20yd伸びました」

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■かつて「恋をしたら終わり」も、今「イケメンに目が」

167㎝の恵まれた体格で、もともと240yd~250ydを飛ばしていたが、今では世界の飛ばし屋に匹敵する260yd~270ydにスケールアップ。打ち込むショットを手に入れたことで、グリーンでボールが止まりやすくもなった。「この2年でゴルフが大きく変わりました。かつては、ノートに『恋をしたら終わり』なんて書くほど、自分を追い詰めていましたが、練習の充実で気持ちに余裕が出たせいか、イケメンには目がいくようになりましたね(笑)」

そして、自信を持って臨んだ20年度テストでは、1次、2次を順調に通過。初めての最終は、第1日に「75」を打ったのが響き、通算1オーバーで32位タイ。合格ライン20位タイの4アンダーに5打及ばなかった。「冷静でいたつもりでいて、緊張していたことに気づいていませんでした。修正したはずの振り遅れのミスも出ました。第2日以降は良いショットが打てたのに、バーディパットが入らずに焦りました。通るチャンスがあっただけに、悔やまれました」

ショックで、不合格から約1カ月は「ゴルフに身が入らない」状態が続いていたが、21年度テストが近づき、今では「あの最終の独特な緊張感を経験できて良かった」と思えるようになったという。20年度テストで最終に進出したことで、次は1次が免除。2次の会場は、茨城県のザ・ロイヤルGC(10月12日~)と決めている。「コースが長いので、飛距離のアドバンテージを使えると思います。ここを良い成績で通過して、今度こそ最終で合格を果たしたいです」

それまでは、今年7月に加入した「DSPE」(ツアープロを目指す女子ゴルファーを支援する団体)の月例競技会で、同じ志を持つライバルたちと競っていく。稲見らを追うためのスタートラインに立つのは、合格証書を得てからだが、パワーアップした木村は、その日を信じて今日もコースに立つ。

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