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渋野日向子の先輩、23歳の安藤京佳が経験した「どん底」

新型コロナウイルスのため延期された日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2020年度最終プロテストは6月に終了し、通算4アンダー20位タイまでの22人が合格した。確率「約3.9%」の狭き門だったが、壁に阻まれた選手の大半は、今月18日から始まる21年度テストに向けて練習を重ねている。彼女たちは何を思い、チャレンジを続けているのか。その素顔に迫る。

■3年前の1打をきっかけに出るようになった「プッシュ」

23歳の安藤京佳は、3年間も「プッシュ」と闘い続けている。「緊張する場面になると出てしまうんです。私の『持ち球』が…」。18年6月15日、同年度プロテスト2次予選(岡山・JFE瀬戸内海GC)最終日の最終ホール、ドライバーで放った第1打が右サイドに広がる池に吸い込まれた。「完全なプッシュでした。そのホールはダブルボギー。パーでフィニッシュすれば通過だったので、そのショックが大きすぎたせいか、そこから、プレッシャーがかかる場面ではプッシュが出るようになりました。思うように体が動かなくなってしまって…」

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今年4月2日、20年度プロテスト1次予選(香川・満濃ヒルズCC)の最終日もそうだった。通過圏内の30位タイ(通算12オーバー)で迎えたが、スタートホールのティイングエリアから違和感があったという。「練習場では問題なかったのですが、『今日はあれが出る』と感じました。なので、ドライバーは一切持たなかったのですが、3Wでもプッシュが出てしまいました」。結果、「85」の大たたきで、自身初の1次不通過となった。

かつては、「フェアウェイが狭いと感じたことがなかった」という。岡山県作陽高3年時は、1学年下の渋野日向子らと「全国高校選手権」の団体優勝を飾った。卒業1年目の16年度プロテストは最終まで進出し、第1日は5位タイだった。結果は5打差で不合格だったが、翌17年度も最終進出を果たすほどの実力があった。

「その頃までは、イケイケでしたね。すぐにツアープロになれると思っていましたし、18年度のテストも合格する気満々で受けていました。それだけにあの1打で受けたショックが大きくて、ひどい時はドライバーで打ってOB、3Wで打ってもOB、ユーティリティで打ってもOBで、最終的に7番アイアンでティショットを打ったことがありました。試合でスコアが『90』以上になったこともありました。その間に、渋野は『全英女子オープン』で優勝して、『すごい』とは思いましたが、一方の私はどん底でした」

■ゴルフ番組でつかんだ「復調」の兆し「緊張を楽しめた」

それでも、安藤はゴルフから逃げなかった。日々、クラブを握り、メンタル本を読み、「ミスを想定内のものにする」と自分に言い聞かせた。そして、今年5月、ゴルフ番組「ゴルフサバイバル 7月の陣」(BS日テレ)の収録で、ようやく「復調」のきっかけをつかんだ。同番組では、出場選手10人が9ホールで競い、各ホールごとに最低スコアの選手が1人ずつ脱落していくが、安藤はミスを恐れずドライバーを持ち続けて、7ホールまで進出した。「最後に右プッシュが出てしまいましたが、それまでは、ドロー系で飛距離の出るショットが打て、ドラコン賞も獲得できました。この番組独特の緊張感もありながら、楽しめている自分がいて、解説の方にも褒めていただいたことは本当に自信になりました」

その後は、出場した試合でも「プッシュの幅」が狭くなり、ようやく戦える状態になってきたという。「以前はテークバックの時点からOBになることが分かったり、隣のホールに打ち込むことが度々でした。でも、今はミスをしても、ボールがラフに残るという感じです。プライベートのラウンドでは60台のスコアも出ていますし、何かの試合で満足のいくラウンドができたら、さらに良くなると思います」

安藤は今、「長いトンネル」から抜け出しつつある。高校時代の同級生、逢澤菜央成澤祐美と「DSPE」(ツアープロを目指す女子ゴルファーを支援する団体)月例競技会で顔を合わせることも励みにしている。「辛いことがあっても、同じ目標を持って頑張っている仲間がいることで前向きになれます。次のテストまでにさらに調子を上げて、最終の会場でまた顔を合わせたいですね」

自身6回目となる21年度プロテストは、1次予選を福島・五浦庭園CC(8月25日~)で受験する。あえて、自宅のある愛媛県から遠征する理由は「コースが広いから」だ。目標の「合格」に向けては、「まずは、自信を取り戻すこと」。今回の1次を突破した時、さらなる光が射すことを願っている。

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